米サンフランシスコで開催中のOracle OpenWorld 2005は、連日盛況が続いている。9月21日(米国時間)の基調講演には、トップバッターとして米Network Appliance(以下、NetApp)の社長、トマス・メンドーザ氏が登壇。ストレージ市場に、同社がここ最近投入した製品・技術についてのアピールを行った。
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米Network Applianceの社長、トマス・メンドーザ氏
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メンドーザ社長は、「これまではストレージの稼働率があまりにも低かった。Gartnerの調査によれば、3~4割しか使っていないということだ」とストレージの問題点を指摘し、その理由として、システムごとに容量を余分に調達してしまうから、とした。
その点、同社が国内では2004年11月に発表したNAS用OS「Data ONTAP 7G」には、ボリュームを自動的に再構成する機能が備えられており、こうした問題を解決できるという。また同OSにはあわせて、データセットのイメージを瞬時に複製するFlexClone機能が搭載されており、この機能を利用すると、作成されたデータクローンに対しては変更される差分のみが反映されるため、例えば全体の10%のテストをするために、データ全体を複製する必要がなくなる。メンドーザ社長は「(ほかのソリューションでは)100GBのうち10%の変更をテストするだけでも、また(100GB分以上を)買わねばならない。そんなにお金をかけるべきなのか?」と述べ、この機能の有用性を主張していた。
さらに、「ストレージが大きくなると、(一部にアクセスが集中して)トラフィックが多くなりすぎる」とし、この問題を解決するために、NetAppがSpinnakerという会社を買収したことを紹介。複数のOS間やロケーション間でデータアクセスを可能にするクラスタファイルシステムを持つ、同社の「Spin OS」の機能をData ONTAPに統合することで、「グローバルなネームスペースをあたかも1つのデバイスのように運用できる仮想化の技術によって、この問題に対応した」と説明した。
また、すでにテープデバイスによるデータ運用は時代遅れだとし、ディスクを使ったリカバリが有用であると強調。過去に行われていたダークファイバーでの同期ミラーリングではなく、今日では非同期で、しかもプライマリストレージでない安いATAストレージを有効に使えるとして、そのバックアップのために「SnapVault」ソフトウェアを開発したと述べた。
加えて、こうした際の安価なディスクを利用するデメリットを減らすため、RAID 4ベースのダブルパリティRAID「RAID-DP」を開発したと語り、システムダウンの危険性がこれによって低減できたとした。
一方、セキュリティに関しては、データ保護ソリューションを手がける米Decruを6月に買収した点を成果だと語る。「コンプライアンスやセキュリティは非常に重要。データ漏えいの50%は社内からであり、ストレージは暗号化するべきという指摘がある。オーバーヘッドもかかるしアプリケーションも変更しなくてはならないと主張する人たちもいるが、そんなことはない。すべてのクライアントは、テープも含めて暗号化するべきだというGartnerの指摘もある」(メンドーザ社長)。
■ URL
Oracle OpenWorld 2005
http://www.oracle.com/openworld/
( 石井 一志 )
2005/09/22 16:13
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