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エリソンCEO、米Oracleの顧客志向を強調

~Oracle OpenWorld 2005基調講演

 Oracle OpenWorld 2005の基調講演で最後に登場したのは、米OracleのCEO、ラリー・エリソン氏だ。エリソンCEOはこの講演の中で、今回のイベントにおいてOracleのエグゼクティブたちが主張したこと、特に「顧客志向」という同社の立場を、繰り返して説明した。


米OracleのCEO、ラリー・エリソン氏
 まずエリソンCEOが言及したのは、他社製品との接続性だ。「ホット・プラガブル」機能として紹介されてきたこの機能に基づき、ユーザーは「たとえばJavaコンテナなら、当社のものを外して、IBMのWebSphereやオープンソースのソフトを代わりに使えるようになる」(エリソンCEO)のだという。

 これは、Oracleのソフトウェアが、「SQLという標準に基づいて商用データベースの提供をはじめて以来、すべてオープンスタンダードに基づいて提供してきているからこそ実現できた」(エリソンCEO)とのことで、同CEOはさらに「SOA(サービス指向型アーキテクチャ)こそ、アプリケーションを構築する上での標準的アプローチ」と主張。そのアプローチを採用することで、「顧客が持つ既存アプリケーションはOFM(Oracle Fusion Middleware)製品群と共存可能。これによって、顧客の投資も保護される」と述べた。

 また、Oracle社長のチャールズ・フィリップ氏や、アプリケーション開発担当上級副社長のジョン・ウーキー氏らが何度も触れてきた、買収した企業の製品に対する取り組みを、もう一度エリソンCEOの口から説明。PeopleSoftなどのアプリケーションに対するOracleの姿勢として、「(現在進行中のProject Fusionによって開発される)次世代のアプリケーションを魅力的なものにしていくことはもちろん行う。しかしだからといって、それに強制的に乗り換えさせる、ということはしない」と述べ、顧客のペースにあわせて適切なマイグレーションを行っていけるという、“顧客志向”のメッセージを繰り返した。

 「サポートはどうなるのだろうか、ということを不安に思っていた人もいるだろうが、古いOracleのツールも含めてライフタイムサポートをしていく。(PeopleSoftの開発ツールである)PeopleToolsの利用を希望するのであれば、10年でも15年でも使い続けていい」(エリソンCEO)。

 一方セキュリティでは、暗号化の重要性を主張する。最近発表されたばかりのOracle Database 10g R2では、アプリケーションに対して透過的な暗号化機能が追加されており、そのインパクトについては、Oracleの上級副社長、チャック・ロズワット氏らが再三言及していたことだ。また、侵入検知機能にも力を入れているとして「アプリケーションの会社でこれだけセキュリティに注力しているのは当社だけ」と述べた。「(バックアップメディアが)失われたときには、暗号化されていなければクレジット番号などが読み取られてしまうかもしれない。暗号化してないバックアップにはノーといいたい」(エリソンCEO)。

 さらに同CEOは、BIについても言及。「新規顧客の増加よりも、サービスリクエストの増加が顕著なのか、などといったことをエンジニアに知らせたい。管理者から来たメッセージに注目するのではなく、市場から来るものに注目することが重要」と述べ、きちんとした分析を、フロントエンドの人間までができるようにすることこそ大切だとした。加えて、自動化も注目すべき分野だと語り、「データベースの管理はストレージ部分が大変。これが簡単になるかもしれない。自動化によってコスト、人的エラーの削減効果が見込める」と述べている。



URL
  Oracle OpenWorld 2005
  http://www.oracle.com/openworld/


( 石井 一志 )
2005/09/22 18:25

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