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米Novell エグゼクティブバイスプレジデント&ワールドワイドオペレーションズ プレジデントのロナルド・ホブセピアン氏
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ノベル株式会社は9月28日、米Novellのワールドワイドの新戦略「Software for the Open Enterprise」についての説明会を開催した。説明会には、米Novell エグゼクティブバイスプレジデント&ワールドワイドオペレーションズ プレジデントのロナルド・ホブセピアン氏、ノベル代表取締役社長の吉田仁志氏が出席した。
Software for the Open Enterpriseは、オープンスタンダードをベースとするソフトウェアを組み合わせることで、ユーザーに合わせたIT環境の管理や簡素化、統合、セキュリティの確保などを実現するもので、「小規模企業から大企業まで、幅広く対応するもの」(ホブセピアン氏)と説明する。
これを実現するために、同社ではユーザーが抱える6つの課題に取り組んだとしている。まず1つめは、企業が抱えるハードウェア・ソフトウェアのコストという課題。「この課題は、われわれが一番目に注目した点。特にデスクトップの視点から見ると、選択肢が限られており、この選択肢をSUSE Linuxを提供することで解決する」と述べる。現在、ニューヨーク証券取引所で株式売買の端末としてSUSE Linuxのテスト導入が行われるなど、企業のデスクトップ環境の改善に取り組んでいるとした。また、.NETアプリケーションをLinuxで動作可能にする「Mono」を提供するなど、柔軟に対応できる環境も提供していると説明した。
2つめの課題として、運用コストの増大を挙げる。ホブセピアン氏は、「これを解決するために、データセンターを利用するなど集中管理が求められている」と説明、データセンター向けパッケージを開発することで対応するとした。「データセンターでは高いセキュリティが求められる。SUSE Linuxは、ISO標準のCommon Criteriaで定義される国際的セキュリティ基準、EAL(Evaluation Assurance Level)の4+という高い格付けを得ている」と、高いセキュリティ性能をアピールした。
3つめの課題として、多様なオープンソースソフトをどう活用するかという専門知識が必要である点を挙げる。「さまざまなベンダーが存在するため、どれを選択すればよいか非常にむずかしい。これを解決するために、検証済みの構成をパッケージ化して提供している。ユニークなのは、有名なソフトだけでなく、小さな会社の製品にも対応しているという点」と、同社が実施しているMarketStartプログラムを紹介。MarketStartプログラムは、自社で販売やサポートといったインフラを持たないベンダーに対し、同社がマーケティング、販売チャネル、サポートなどのサービスを提供するプログラム。「これにより、魅力的なソフトを市場価格の半額で導入できる」とメリットを強調した。
4つめの課題として、エンタープライズ全体の管理を挙げた。「ZENworksを使うことで、企業は設定や管理などを自動化できる」と紹介した。5つめの課題として、セキュリティを挙げる。「企業が抱えるセキュリティ問題として、外部からの侵入と社内でのアクセス権限の2つの課題がある。Novellでは、社内でのアクセス権限製品を提供している」とした。
6つめの課題として、ホブセピアン氏はエンタープライズレベルでの生産性を挙げる。「生産性向上に向け、Novellではコラボレーションソリューションを提供している」とし、同社がオープンソースソフトとして公開した「Hula」を紹介した。Hulaは同社のコラボレーションサーバー「NetMail」から取り出したコードを基盤に、SMTP、IMAP、iCalendar、CalDAVなどのオープンなインターネット標準に基づいて構築されており、「次世代のコラボレーションソフト」とホブセピアン氏は紹介する。
ホブセピアン氏は、企業が抱えるこうした課題をOpen Enterpriseにより解決すると説明。Open Enterpriseは企業ごとに定義が異なるものの、「Novellは、企業がOpen Enterpriseに移行するのをお手伝いする」と、同社が掲げるSoftware for the Open Enterpriseに沿って活動すると強調した。
■ 「Fedoraとは違う」openSUSEプロジェクト
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openSUSEプロジェクトと同社製品との関係を説明するホブセピアン氏。「オープンソースプロジェクトからopenSUSEに入りやすくなっており、その成果はSUSE Linuxに反映される。そしてSUSE Linuxを基盤とした製品群に反映される」と、重要性を強調する
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また同日発表されたSUSE Linux 10.0の開発にも貢献したオープンソースプロジェクト「openSUSE」についても説明。「openSUSEの最大の特徴は、参加者がSUSE Linuxの開発に自由でオープンなアクセスが可能である点。パッケージのコードを見ることができ、フィードバックもできる。Red HatのFedoraプロジェクトは、製品に反映されるとは限らないので、それが大きな違い」と、Fedoraプロジェクトとの違いを強調した。
日本からopenSUSEプロジェクトに参加している開発者もおり、その成果がSUSE Linux 10.0にも反映されていると吉田氏は話す。「SUSE Linuxに縦書き印刷で問題があることを、日本の開発者が報告しており、これはすぐに10.0に反映した」と、openSUSEプロジェクトの成果がすぐに反映されているとした。
■ URL
ノベル株式会社
http://www.novell.co.jp/
( 福浦 一広 )
2005/09/28 17:44
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