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先ごろ公開された小型指静脈認証装置をかかげて戦略を語る、執行役副社長 情報・通信グループ長&CEOの古川一夫氏
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指静脈認証とそのほかのバイオメトリクス認証との比較
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株式会社日立製作所(以下、日立)は10月11日、グループをあげて推進している指静脈認証技術を、本格的にグローバル展開すると発表した。同社ではこの第1弾として8月に、統括組織「指静脈グローバルビジネス推進センタ」を情報・通信グループIDソリューション事業部内に設置したほか、11月1日には、北米、欧州、アジア、中国の各地域における現地法人に専門組織を新設する。
日立ではすでに入退室管理装置や銀行ATM、PC向け認証装置などで多数の指静脈認証装置の導入実績を持っている。同社ではさらに2005年度内でのノートPC搭載、また将来的な携帯電話、自動車への搭載なども視野に入れているとのことで、現在100億円に満たない関連事業も含めた指静脈認証関連事業からの売り上げを、2006年度に200億円、2006~2008年度までの3年間では1000億円まで拡大したい考え。
指静脈認証は、人間の生体情報を利用して認証を行うバイオメトリクス認証の一分野。近赤外線を指に透過させて静脈パターンを取得し、あらかじめICカードやデータベースなどに登録しておいたデータと照合して認証を行う。バイオメトリクス分野では、もっとも一般的な指紋認証のほか、目の虹彩や顔貌を用いるものなど、さまざまな方式が開発・運用されているが、指静脈認証はその他の方式と比べて認証精度が高い、偽造が困難、といったメリットを持つという。
一方、指静脈認証装置の大きさやコストを指紋認証装置と比べた場合、現在ではまだ大型、高コストになってしまっている。日立でもこうした課題を克服すべく、小型化・低コスト化に注力した技術開発を行っており、グローバル展開によるすそ野の拡大や、技術開発・応用面での課題抽出を目的とした指静脈コンソーシアムの立ち上げといった施策とあわせて、将来的には指紋認証に代わるバイオメトリクス分野のスタンダードを目指す。
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指静脈認証装置を搭載した銀行ATM
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指静脈認証装置部分のアップ
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指静脈認証装置を内蔵したノートPCの試作機。製品化は、今年度中の予定だ
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情報・通信グループ IDソリューション事業部長の小坂満隆氏
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なお、指静脈グローバルビジネス推進センタを率いる立場にある、情報・通信グループ IDソリューション事業部長の小坂満隆氏は「欧米ではまだ指紋認証が強いが、指静脈認証の存在感を出すためにセミナーやイベント出展などを行っていく。(既存バイオメトリクス認証の)欠点をご存じの方も多いので、(指静脈認証の)良さがわかっていただけると市場に相当入っていける」との見解を示した。
加えて小坂氏は「この技術はグループ全体の事業に幅広く応用可能。研究開発・事業戦略をグループで共用する」と述べたほか、執行役副社長 情報・通信グループ長&CEOの古川一夫氏は「(指静脈認証が)現時点では世界のマイノリティだということは自覚しているが、グローバル活動を通じて、日本発のグローバルスタンダードにしていきたい」と意気込みを語っていた。
■ URL
株式会社日立製作所
http://www.hitachi.co.jp/
ニュースリリース
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2005/10/1011z.html
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( 石井 一志 )
2005/10/11 18:35
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