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マイクロソフト、ソフト資産管理を支援する無償コンサルティングキャンペーン


 マイクロソフト株式会社は10月17日、「ソフトウェア資産管理」に関する支援活動を本格化すると発表した。同社ではその第1弾として、11月1日より「ソフトウェア資産管理支援 強化月間キャンペーン」を開始。専任の「ソフトウェア資産管理アドバイザー」を当初6名割り当て、「ソフトウェア資産管理をしたくてもやり方がわからない」、中堅・中小企業を支援するという。

 企業が業務で利用しているソフトウェアはクライアントPCのOS、Officeアプリケーションから、会計、人事などの業務アプリケーション、メーラー、画像管理、などまで多岐にわたっており、一部のフリーウェアを除けば商用ソフトウェアを利用しているケースがほとんどだろう。当然、各ソフトには使用可能台数など利用法の制限があり、それにのっとって使わなくてはならないのだが、残念ながら、100%の企業でこれが正しく行われているわけではない。

 その理由の1つには、自社が保有するソフトウェア資産の状況を正確に把握する「ソフトウェア資産管理」の難しさがある。ソフトウェア資産を適正に使用するためには、まず「何をどのくらい購入して」「そのうちどのくらいが使用(インストール)されているのか」を調べなくてはいけないのだが、マイクロソフトでは、その方法がわからないために手つかずになっている企業が相当数あるのではないかと分析し、今回無償の支援サービスを提供することにしたという。

 マイクロソフトがこのキャンペーンで対象とするのは「PC50台以上を保有する組織」で、「著作権保護団体からソフトの不正使用に関する法的措置に関してコンタクトを受けていないこと」が条件。また、地域が東京・大阪・名古屋に限定される。この条件を満たす企業は、11月1日から11月30日までの期間に登録を済ませると、12月1日から2006年2月28日までの期間に、ソフトウェア資産管理に関するコンサルティングなどを無償で受けることができる。


マイクロソフトのゼネラルビジネス本部 IT推進統括部 統括部長 ライセンスマーケティング担当、石澤一良氏
 具体的には、ソフトウェア管理台帳/ライセンス管理台帳の作成に関するアドバイスや支援、同管理体制確立に必要な組織の方針や規定作成に関するアドバイスや支援、またこれを運営していくために必要な体制作りについてのコンサルティングが提供される。またあわせて、効率的なソフトの調達方法についてのアドバイスも行う。

 もちろん、マイクロソフトはあくまで1ソフトベンダという立場であるから、他社製品のライセンス内容までに詳細に踏み込むようなアドバイスはしにくいが、資産管理に関するノウハウは共通して応用できる部分が多いため、「企業のソフト全体を見据えた体制作りの支援ができる」(同社)と考えているという。

 「適切なソフトウェア資産管理が実現すれば、違法コピーによる訴訟などのリスクを回避できるだけでなく、ソフトの買いすぎといった無駄があれば、それも削減できる。当社製品に関しては、適切なライセンスの購入法も案内可能だ」(マイクロソフトのゼネラルビジネス本部 IT推進統括部 統括部長 ライセンスマーケティング担当、石澤一良氏)。

 また今回のキャンペーンで特筆すべき事項としては、ソフトウェア資産を洗い出した結果、不足分が見つかったとしても、「違反状況を解消していただけるのであれば、過去にさかのぼっての損害賠償請求などは行わない」(石澤氏)ことが挙げられる。

 ソフトウェアの違法コピーを取り扱った過去の判決では、違法コピーした時点で賠償責任が発生し、またその後正規品を購入したとしても賠償責任が消えるわけではないと判断された例がある。つまり、正規品を購入するだけでなく賠償もしなさい、ということなのだが、マイクロソフトではこのキャンペーン中に対象企業で違反が見つかっても、同社製品に関しては「過去を追求しません」、と表明したのである。


社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会 戦略法務室 室長、葛山博志氏
 これは、「相談したいと考えている企業に対して“壁を破る”必要があると考えた」(石澤氏)からだという。「いわゆるエンタープライズ企業ではソフトウェア資産管理がきちんと行われていると考えているが、その下の中堅・中小企業では、する気はあってもどうしたらいいかがわからずできない、というところがかなりあるだろう。しかし、『万一違反していたら大変』、と思って敬遠されては、その企業のためにも、業界のためにもならないとの姿勢から、免責を決めた」(石澤氏)。

 なお、著作権保護団体の1つである社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS) 戦略法務室 室長、葛山博志氏は「ソフトウェア資産管理をきちんとしたいが、どうしたらいいのか、と悩んでいる人は多い。ACCSでも、ソフトウェア資産管理に関する基盤的な資料は配布しているが、公益法人であるため、ベンダ各社のライセンスの中身にまでは踏み込めないのが現状。そうした中で、マイクロソフトがこういう取り組みをされるのは歓迎したい。(ACCSのサービスなどと)うまくマッチングすれば、エンドユーザーにとって負担の少ないものができるのではないか」と述べ、歓迎の意を示している。



URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/
  社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会
  http://www2.accsjp.or.jp/
  ニュースリリース
  http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=2444


( 石井 一志 )
2005/10/17 11:09

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