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ノーテルなど3社、HSDPA、WiMAX、WiFi間でのトリプルプレイの実証実験
大宮デモルーム内の実験システム。WiMAX端末用PC、HSDPAカードやWiFi機能を搭載したハンドオーバー用PC、Pico BTSと呼ぶノーテルの小型TV電話など、マルチメディアアプリケーションの伝送処理ができる十分なキャパシティをもったインドア向け基地局などが並ぶ
ビジネスデベロップメントマネージャー ワイヤレスデベロップメント テクニカルセールスサポートの原孝成氏
ノーテルネットワークス株式会社は10月25日、BBモバイルやLG電子とともに、WiMAX、HSDPA(High-Speed Downlink Packet Access)、WiFiの3方式のワイヤレスブロードバンドネットワーク環境において、音声・TV電話・データ通信のいわゆるトリプルプレイに関するシームレスなハンドオーバー実証実験を行った。
ハンドオーバーとは、携帯電話/PHSなどのユーザーが、それぞれのサービスを利用しながら移動する際に、自動的に接続する基地局を切り替えること。この実験ではHSDPAがノーテル、WiMAXとWiFiがノーテルおよびLG電子、WiFi APがソフトバンクBBのFTTHサービス用ブロードバンドルータ無線LANパックのものがそれぞれ使用された。
これまでノーテルとBBモバイルでは、2005年6月に、日本で初めて1.7GHzという周波数帯でHSDPAにより14.4Mbpsという高速ワイヤレスデータ通信を成功させたほか、同月に1.7GHz UMTS(Universal Mobile Telecommunication System)とIEEE 802.11無線LAN間においてもハンドオーバー実証実験を行っている。
HSDPA、WiFi、WiMAXの3方式は、本格化するワイヤレスブロードバンドネットワークで大きな期待が寄せられている技術だ。ノーテルのソリューションではHSDPAの通信範囲は35kmと広くとることも可能で、伝送速度は0.3~8Mbps(先の実証実験では最高14.4Mbpsを記録)、車両や電車など高速移動中でもハンドオーバーが可能。またWiFiは通信範囲150m以内と限定されるものの、伝送速度は1~10Mbpsである。そしてWiMAXは通信範囲4km以内だが、QoSがHSDPA並で、伝送速度も1~10Mbpsと高速、さらに価格はHSDPAよりは安いところが魅力といえる。
ノーテルネットワークス ビジネスデベロップメントマネージャー ワイヤレスデベロップメント テクニカルセールスサポートの原孝成氏によると「つまりは、WiMAXはHSDPAとWiFiからいいところどりをした方式」という。WiMAXはIEEEが定めた無線通信の標準規格で、移動中における通信を実現するもの。ここでは実験局免許により2.5GHzを使用した。ノーテルでも、このWiMAXにはかねてより力を注いでおり、同社のOFDM、MIMOといった変調方式などはWiMAX標準に組み込まれているほどだ。
今回の実験は、さいたま市トライアルエリアのHSDPA環境とエリア内大宮デモルームにおけるWiMAX基地局、および東京・汐留のBBモバイルにおけるW-CDMA/HSDPAのコアネットワークシステムとの間で行われた。またメインとなった実験システムは、デモルームのWiMAX基地局およびWiMAX無線アクセスシステム、PC内蔵のWiFiそしてデモルーム建物屋上のHSDPA(WCDMA)基地局がそれぞれ設置されるなど、3つのワイヤレスブロードバンドネットワークを共存させた環境になっている。
実際のハンドオーバー技術は、下の図1の大宮デモルーム内モバイルIPクライアントPCと屋上との間を1.7GHzのHSDPAで接続、また大宮コンテナとの間を2.5GHzのWiMAXで接続、さらに大宮デモルーム内アクセスポイント(AP)との間を2.4GHzのWiFiで接続、それぞれの間をハンドオーバーして実験を行った。このとき、モバイルIPクライアントPCは3つの各ネットワーク配下におけるアドレスを使い分けることになるが、モバイルIPクライアントに組み込まれたフォーリンエージェントと呼ぶ機能により、どのネットワークのIPアドレスを使用中かの情報を汐留のホームエージェント(Nortel Shasta)にレポートする。これを受けてアプリケーションサーバーからのトラフィックが、各ネットワーク配下のクライアントに転送、TV電話やストリーミング、インターネットからのダウンロードなどのアプリケーションがもたらす機能がスムーズにハンドオーバーされているさまが紹介された(図2)。これらは「ご覧のように、画像や音声、データのうちどのようなアプリケーションであれ、まったく中断されていない」(原氏)というほど、スムーズなハンドオーバーといえた。
【図1】 WiMAX/HSDPA(WCDMA)/WiFi間におけるハンドオーバー・デモのネッワーク構成
【図2】 ハンドオーバー技術のしくみ
ワイヤレスビジネスデベロップメント 事業部長 エマニュエル・ソーケ氏
この実験の成功により、「携帯電話事業者は、3GネットワークであるHSDPA、WiFiである無線LANそしてWiMAX間をローミングしトリプルプレイを展開することで、モバイルユーザーはどこででも、どのようなモバイル環境においても、VoIPをはじめTV会議、モバイルTV、マルチメディアサービスなどをシームレスに利用できるようになる」とワイヤレスビジネスデベロップメント 事業部長 エマニュエル・ソーケ氏は今後の順調な見通しを展望した。またソフトバンクグループでも、音声や映像などのコンテンンツをより高品質かつスムーズに提供でき、生活するすべての場所と人にブロードバンド環境を提供するユビキタス社会の実現に向けて大きく前進することができた、としている。
昨年行われたソフトバンク孫正義氏による新球団発足記者会見の様子を、ソフトバンクホームページからダウンロードさせた。ADSLやFTTHなど固定網だけでなく、ワイヤレスブロードバンドでも鮮明にしかも3つのネットワーク環境でハンドオーバー可能なことを実証
屋外のWiMAX基地局。デモルーム内に向けて電波を出している
各基地局から飛んでくる電波強度、スループットなどを測定する電測車
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URL
ノーテルネットワークス株式会社
http://www.nortel.com/corporate/global/asia/japan/index_jp.html
プレスリリース
http://www2.nortel.com/go/news_detail.jsp?cat_id=-8055&oid=100189854&locale=ja-JP
( 真実井 宣崇 )
2005/10/26 20:05
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