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ジュニパー、Redline・Peribit製品を傘下に入れたメリットを説明


米Juniper Networksのアプリケーション・アクセラレーション担当プロダクト・マネージャ、ショーン・ティペット氏
 ジュニパーネットワークス株式会社(以下、ジュニパー)は10月27日、アプリケーションアクセラレーション製品に関する説明会を開催。新たに同社の製品ラインアップに加わった2つの製品ラインについて、米Juniper Networksのアプリケーション・アクセラレーション担当プロダクト・マネージャ、ショーン・ティペット氏が説明を行った。

 ここでいうアプリケーションアクセラレーション製品とは、かつて米Redline Networksが提供していたWebアプリケーションのアクセラレーションアプライアンスと、米Peribit Networksが提供していたWAN最適化アプライアンスの両製品群のことだ。両社とも、2005年にJuniper Networksが買収した企業で、買収完了に伴い、日本でもジュニパーの製品ラインアップに組み込まれて販売されるようになったのである。

 このうち、Redline系は「DXシリーズ」として販売が開始されている。この製品は、Webサーバーの手前(インターネット側)に設置されるもので、クライアントからのTCPコネクションを集約して、サーバー側に渡すプロセスを最小限に抑えることで、サーバーの負担を軽くする。また「SSLコネクションの終端作業などをサーバーからオフロードすることで、サーバーのリソースを解放する役割を担う」(ティペット氏)とともに、圧縮によって帯域幅を保護する役目も持つ。

 特筆すべきはOverDriveと呼ばれる機能で、すべてのトラフィックを検査し、可能であればリライトすることで、たとえば本来クライアント側でキャッシュできない画像をキャッシュできるようにしてしまい、サーバーと回線の負荷を軽くすることができるという。このほか、WebサーバーをDoS攻撃から防御するセキュリティの機能や、ロードバランスの機能も備える。

 一方、Peribit系の製品は「WXシリーズ」の名称で提供されている。これは本社・データセンターなどの中央拠点側と、支店・営業所などの地方拠点側に設置して対向で使用するもので、両拠点間のWANトラフィックを最適化し、帯域を最大限に利用できるようにする。手法としては、ネットワーク内を何度も同じデータが流れる「反復パターン」を圧縮・削減して効率化を図っており、こうしたやり方は、レイテンシが大きな環境で特に有効に働く。

 さらにすべてのトラフィックはWXシリーズを経由して流れることになるため、どういったトラフィックが流れているか、それらがどういった状態なのか、を把握するモニタリングや、アプリケーションの違いを意識してのQoS実施を非常に有効に行えるとのこと。ティペット氏は「すべてのIPアプリケーションを加速できる」と誇る。


「包括的なソリューション」であることの優位性を強調

 市場において、こうした製品を提供しているベンダはほかにもあるが、そうした競合についてティペット氏は、「顧客のニーズに応えるには、包括的なソリューションが必要。それを持つのはジュニパーだけだ」と主張する。また、個々の製品を見たとき、DXシリーズについては「(上位レイヤである)アプリケーションレイヤを手がけていたRedlineの技術から派生している点が長所。他社は(より下位であるレイヤ4の)ロードバランサーから派生したものが多く、インテリジェンスを持ったDXシリーズはそれらと比べると、パフォーマンスは数段上だろう」とする。

 また、MXシリーズと一部共通するアプローチに見える、ファイルサーバーの集約を目指すWAFS(Wide Area File Services)との違いについて、「WAFSはある一部だけを見ているもの。WXシリーズでも、ネットワークで大きなファイルを移動させることは可能だし、(WAFSの多くが備える)CIFSの最適化、圧縮機能も持つなど、WAFSを包含しているといえる。それにWAFSには、広域ネットワークに必要なQoSやモニタリングという視点が欠けている」と述べ、違いを強調した。

 実際に、食品卸の国分では25台、ジェイ・パワーではダムを中心に約50台のWXシリーズが導入されており、非常に効果をあげているとしたほか、58拠点でWXシリーズを採用したキャセイパシフィック航空では「WAN容量を68%増加させることができた」(ティペット氏)と効果を説明している。

 なおジュニパーの製品として再編成された後の戦略としては、ジュニパーでET営業開発本部 本部長を務める末松秀明氏が「今後は、ルータ、セキュリティ製品ラインと管理面で統合を進める」としたほか、ティペット氏も「DXシリーズとセキュアアクセス製品との統合なども計画しており、より密に連携できるようにする」と述べ、総合ソリューションとして提供できるようにしていくとの考え方を明らかにしていた。



URL
  ジュニパーネットワークス株式会社
  http://www.juniper.co.jp/

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( 石井 一志 )
2005/10/27 17:52

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