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日立、2005年度上半期連結決算は増収減益-HDD事業は不振続く


 株式会社日立製作所は10月31日、2005年度の中間期連結決算を発表した。それによると、売上高は前年同期比2%増の4兆4133億円、営業利益は同39%減の777億円、税引前利益は同40%減の821億円、純損益は前年同期のプラス411億円からマイナス109億円となった。

 売上高の海外比率が前年同期比1ポイント増の38%と、過去最高を記録。また営業利益は期初の予測を77億円ほど上回り、税引前利益も計画に対して上ぶれしているが、「赤字の子会社の損失増加に加え、法人税などの税金充当率が74%まであがったことなどで、純利益が黒字化できなかった」(執行役専務 財務部門長の三好崇司氏)。


2005年度中間期実績(売上高) 2005年度中間期実績(損益) 執行役専務 財務部門長の三好崇司氏

情報通信システム部門の実績
 セグメント別では、情報通信システム部門が売上高で前年同期比1%減の1兆571億円、営業利益で同20%減の232億円。このうちソフト/サービス分野は、アウトソーシングが好調で増収増益を記録したが、ハードウェア分野は、RAIDディスクなどが伸長したものの、旧日立プリンティングソリューションをリコーに売却したこと、ならびにサーバーやPCが価格下落の影響を受けたことなどによって、前年同期を下回った。利益面では、HDD事業において歩留まりの改善遅れなどから赤字幅が拡大し、同事業単体では244億円の赤字となっている。

 電子デバイス部門は、売上高が前年同期比16%減の5831億円、営業利益が同69%減の92億円と大幅な減収減益。競争激化による液晶の低迷を受けてディスプレイ分野が大幅な減収となり、営業損益がマイナス128億円となったことが大きく影響しているという。

 部門として大きく赤字に振れてしまったのはデジタルメディア・民生機器部門で、売上高が前年同期比5%減の6118億円、営業損失が前年同期のプラス106億円からマイナス162億円へと大幅に減少した。これは、「富士通日立プラズマディスプレイ子会社化の影響に加え、プラズマテレビなどの薄型テレビ、白物家電が価格低下の影響を受けたもの」(三好氏)だとした。

 このほか、電力・産業部門は、売上高が前年同期比14%増の1兆2789億円、営業利益が同130%増の232億円、高機能材料部門では売上高が同3%増の7604億円、営業利益が同19%増の480億円と増収増益になっているが、一方で物流及びサービス他部門では売上高が前年同期比7%減の5705億円、営業利益が同8%減の68億円と減収減益。また金融サービス部門では、売上高が前年同期比4%減の2608億円、営業利益が同60%増の160億円で減収増益となっている。


2005年度通期の見通し
 日立では、上半期の純損益が赤字という厳しい状況を受け、2005年度通期の連結決算見通しを下方修正した。売上高は、前年比2%増、期初見通し比300億円減の9兆2200億円とあまり変化はないが、営業利益は前年比14%減の2400億円、税引前利益は同17%減の2200億円と減益の見通し。純利益は、前年比61%減、期初見通しより350億円減の200億円とされた。

 なお今後については、通期で360億円の赤字が見込まれるHDDや、ディスプレイ、薄型テレビといった事業における赤字の早期解消に最優先で取り組むという。HDD分野では、第4四半期に見込んでいた黒字を赤字見込みに訂正したが、「今年度はHDDの需要は旺盛。部品の外注なども含めて引き続き歩留まりを高める努力をしていく」(三好氏)ほか、今後は開発力の強化、品質向上、SCM強化などに取り組み、「強い(競争力のある)製品が投入できる2006年下期の黒字化を目指す」(同氏)とのこと。



URL
  株式会社日立製作所
  http://www.hitachi.co.jp/
  ニュースリリース
  http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2005/10/1031.html


( 石井 一志 )
2005/10/31 18:53

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