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Skype Technologies S.A CEO ニクラス・センストローム氏
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Skype Technologies S.Aの創業者でCEOのニクラス・センストローム氏は11月7日、国内では初となる公認イベント「Skype Day in Japan 2005」の開催に合わせて来日し、記者会見を開いた。
同社はP2P技術を活用した通話ソフト「Skype」を2003年より無償で提供開始し、これまでに1億6400万ダウンロードを記録、現在は世界で300万人が同時利用しており1日15万人のペースでユーザーが増加中など、急速に拡大している。また、9月には米国のオークションサイトeBayに26億ドル(現金13億ドル+株式13億ドル分)で買収されたことも話題を呼んだ。
センストローム氏は、eBayによる買収について「戦略パートナーとして、8700万人ものPayPal(eBayが持つ少額決済システム)ユーザーを持つeBayがベストと判断した」と述べた。買収後も会社は存続し開発は従来どおり続けられるという。また、2008年までにeBayが提示した財務目標を達成した場合に15億ドルものオプションを受け取ることになっている。
同社は、固定・携帯電話との通話を可能にする「Skype Out/In」を収益源とし今年度6000万ドル、2006年度には2億ドルの売上を見込んでいる。センストローム氏は、こうした有料サービスの利用率は全体の5%くらいだと述べ「ただし我々はネットワークインフラへの投資を必要としないため(事業継続には)十分」とした。ただしSkype単独での黒字化の見通しは立っていないともいわれている。
Skypeが広くユーザーに受け入れられた理由としてセンストローム氏は「ユーザー側で手を加えることなくファイアウォールを超えて通話ができる」点を挙げた。SIPとの互換性はないが、利用者や管理者側で基本的に設定変更することなく利用できるため、コンシューマだけでなく企業ユーザーでも導入するケースが増加している。
Skypeは開発者向けにAPIを公開しており、同社によると、これまで400種類の対応ハード・ソフトが提供されているという。国内ではいくつかのグループウェアがアドオンとしてSkypeとの連携機能を提供している。ただし、大企業向けの管理機能などを提供できるものは、まだ用意できていないため、今後こうしたエンタープライズ向けの開発環境を充実させていくとのことだ。
また、同社は現在、「Skypeの携帯端末への実装に力を入れている」と述べた。Windows CE/Mobile、Linuxなどをプラットフォームとする携帯電話やPDAなどに実装されると、無線LANが利用できる場所でSkypeユーザー同士の無料通話が可能となる。パートナー契約を結んでいるライブドアは都内で公衆無線LANサービス「livedoor Wireless」の正式サービス開始に向け準備を進めており、これと組み合わせたサービスが来年にも実現しそうだ。
国内向けの展開としては、現在、販売代理店としてライブドア、ネットワークサービスの展開としてフュージョン・コミュニケーションズらと提携しているが、センストローム氏は「今後も分野ごとにパートナーを開拓していきたい」と述べ、企業向け展開においても積極的にパートナーを募っていく意向を示した。
■ URL
Skype Technologies S.A
http://www.skype.com/intl/ja/
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( 朝夷 剛士 )
2005/11/07 18:58
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