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米Microsoft マルウェア対策技術チームのアーキテクト兼グループプログラムマネージャ、Jason Garms氏
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マイクロソフト株式会社は11月22日、セキュリティに関するラウンドテーブルを開催し、米Microsoft マルウェア対策技術チームのアーキテクト兼グループプログラムマネージャ、Jason Garms氏が、同社がリリースを予定しているセキュリティ製品についての説明を行った。
Microsoftではここ数年セキュリティ企業の買収を繰り返しており、その資産を元にセキュリティ製品を多数リリースするとしている。具体的には、ルーマニアのGeCAD Softwareが持っていたウイルス対策の技術や、米GIANT Company Softwareのスパイウェア対策技術などを入手しており、スパイウェア対策ソフト「Microsoft Windows AntiSpyware」(正式版はWindows Defenderの名称になる予定)のベータ版を提供しているほか、コンシューマ向けのセキュリティサービス「Windows OneCare」を2006年にも提供する予定だ。
一方企業向け製品としては、10月に企業向けのウイルス/スパイウェア対策ソフト「Microsoft Antigen for Exchange」を発表している。これも、同社が買収した米Sybariの製品をもとにしたもので、2006年の前半にベータ版が提供されることが明らかにされているが、Garms氏は「デスクトップ対策だけで企業のセキュリティは十分でない。エッジのメールサーバーが企業に被害を与えることもある」と語り、多層防御の考え方が企業セキュリティにとって大事だと主張した。
また、「当社のエンジンはもっとも良いものだと思ってはいるが、現実にはどのウイルス対策エンジンも(すべての場面で)最速、最良とはいえないので、複数のエンジンを同時に走らせている」と述べ、自社製だけでなく、ソフォス、アンラボ、CAなど計8つのエンジンをMicrosoft Antigen for Exchangeに搭載することを明らかにしている。
さらに、Microsoft Antigenと同時に発表されている企業内クライアント向けのウイルス/スパイウェア対策ソフト「Microsoft Client Protection」についても触れた。この製品は、コンシューマ向けのWindows OneCareに対する企業向け製品という位置付けだが、統合管理用のコンソールが提供される点や、Active Directoryとの統合、パッチ配布管理サーバーのWindows Server Update Services(WSUS)との連携をサポートする点などが異なり、企業内での集中管理・運用を強く意識した製品になると見られる。2005年末にも、限定されたユーザーへベータ版が配布される予定とのこと。
なおMicrosoftはこれまで、本格的なセキュリティ分野の製品を提供してこなかったため、セキュリティソフトのベンダとは純粋なるパートナーとして協力をしてきた。しかしこれらの製品によってセキュリティ市場へ参入することにより、従来のパートナー企業と本格的にぶつかることになる。
Garms氏はこの点に関して、競合だけでなく協力関係も継続していくとした上で、Microsoftの製品は品質、ユーザビリティなどの面で高いレベルにあるとの自信を示し、既存ベンダの中に埋もれてしまうことは心配していないと述べた。またマイクロソフト セキュリティレスポンスチームのマネージャ、奥天陽司氏は「Active Directoryによる統合管理にウイルス対策ソフトがインテグレートされてくるのはこれからの流れとして当然なのではないか」と述べ、管理性に注目すると、Microsoftがセキュリティ製品を提供する意味が大きいとの考えを示していた。
■ URL
マイクロソフト株式会社
http://www.microsoft.com/japan/
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( 石井 一志 )
2005/11/22 18:25
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