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東工大 学術国際情報センター長 酒井善則氏
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国立大学法人東京工業大学(以下、東工大)は、11月16日に発表したスーパーコンピューティンググリッド導入の詳細を11月29日に行った記者説明会で明らかにした。
スーパーコンピューティンググリッドは、学内に分散配置したコンピュータを連携してスーパーコンピュータ(スパコン)クラスの処理速度を実現するキャンパスグリッドを刷新し、2006年晩春までに100TeraFlops(毎秒100兆回の浮動小数点演算、以下TF)の処理能力を実現しようというものだ。現在、国内最速とされる地球シミュレータ(40TF)を抜き「世界でもトップ5以内に入る期待ができる」(東工大 学術国際情報センター長 酒井善則氏)という。
新システムは、OpteronベースでLinuxが稼働するサン・マイクロシステムズのx64サーバー「Sun Fire」、サンおよびNECのストレージ、英ClearSpeedのSIMD(Single Instruction / Multiple Data)アクセラレータ、およびInfiniBandネットワークなどを組み合わせて構築される。また、従来型アプリケーションとの互換性を確保するため、NECのベクトル計算機「SX-8」も導入される予定。システム構築はNECが担当する。
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全体構成のイメージ
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PCと比較すると、それぞれ万単位の性能比がある
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2006年春の稼働後も継続的に拡張し、米国に肩を並べる性能を実現する計画
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注目されるのは、汎用性の高いアーキテクチャのOpteronやLinuxを搭載するサーバーを使ってグリッドを構築しようとする点だ。今回採用されたサンのサーバーは、9月に発表された新設計のSunFire(コードネーム:Galaxy)の未発表の新製品。デュアルコアの2.4GHz(一部2.6GHz)Opteronを8基搭載する。これを合計655ノード(計10480コア)接続し、50TFを実現する。なお、残り50TF超はx86に比べて専門用途向けのSIMDアクセラレータ「CX600」を使う。
酒井氏は、x64アーキテクチャを採用した理由について「誰もが使えるHPC(High Performance Computing)を目指した」と語った。従来のスパコンは独立した環境で、限られたユーザー、特殊な用途にしか利用できなかったところ、新システムではキャンパス内のすべての研究室から接続可能とし、東工大全体にスーパーコンピューティングパワーを解放するという。「東工大に入学する新入生がいきなり日本一のスパコンユーザーになれる」(酒井氏)。
加えて、デスクトップや研究室クラスタと連続性のあるソフトウェアを利用可能とし、研究・教育・産学連携目的の用途に対しコンピューティングパワーの提供を容易にする。
東工大ではスーパーコンピューティンググリッドの随時拡張を予定しており、2010年には次世代グリッドとして1PetaFlops、2011年には10PetaFlops(毎秒1京回の浮動小数点演算)の実現を目標としている。
■ URL
国立大学法人東京工業大学
http://www.titech.ac.jp/
プレスリリース
http://www.gsic.titech.ac.jp/Japanese/Publication/pressrelease.html.ja
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( 朝夷 剛士 )
2005/11/30 00:00
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