シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社は11月29日、「iForum 2005 Japan」を開催した。基調講演には、米CitrixのCEO兼社長のマーク・テンプルトン氏、米Citrixアドバンストテクノロジー担当副社長のマーティン・ダーズマ氏など、米Citrixの幹部が出席、同社が進めるアクセスプラットフォーム戦略を紹介した。
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米CitrixのCEO兼社長のマーク・テンプルトン氏
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米Citrixアドバンストテクノロジー担当副社長のマーティン・ダーズマ氏
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「日本でのiForumは、2年ぶりの開催になった」とテンプルトン氏は述べ、その間に行った戦略的買収について説明を行った。「この2年の間、オンラインサービスのExpertcity、SSL VPN&VoIPアクセスゲートウェイのNet6、Webアプリケーション配信システムのNetScalerの3社を戦略的に買収」したと紹介。同社の戦略にとって非常に重要な買収であったと強調した。
また企業のIT予算の伸びが低くなっている現状に触れ、「企業が抱えるアプリケーションをひとつに統合することは不可能。それぞれのアプリケーションの特性に応じた対策が必要」と述べた。また、「アプリケーションに関して、エンドユーザーと経営者によって求めるものが異なる。エンドユーザーは、簡単・速い・常に使えるといった点を、経営者は効率・迅速性・セキュリティといった点をアプリケーションに求めている」と、異なるニーズに対応する必要があると指摘する。
こうした課題への解決策としてテンプルトン氏は、「クライアントサーバーアプリケーションにはCitrix Presentation Serverによる仮想化、WebアプリケーションにはNetScalerによる最適化、デスクトップアプリケーションには“Project Tarpon”によるストリーミング、によってそれぞれ解決する」とした。
基調講演では、Microsoftの次期サーバーOS“Longhorn Server”向けのアプリケーション仮想化技術である「Constellation」も紹介された。Constellationは、10月に開催された「iForum Global 2005」で発表された技術。Constellationによって実現される機能についてダーズマ氏は、「ヘルプデスクやコンプライアンスに効果的なポリシーベースのセッション記録、モニタリングによるエンドツーエンドのレポーティング機能によるユーザー体験の管理、CADやPLなどのデータを一元管理可能にするグラフィックの高速化」などを主な特長として挙げた。
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米Citrixアプリケーションネットワーキンググループ副社長兼ジェネラルマネージャーのビー・ヴィ・ジャガディーシュ氏
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また基調講演には、NetScalerの前社長兼CEOで、現在米Citrixアプリケーションネットワーキンググループ副社長兼ジェネラルマネージャーのビー・ヴィ・ジャガディーシュ氏も登壇。Webアプリケーションの最適化を実現するNetScalerの特長について触れた。
ジャガディーシュ氏は、「データセンターは集約化の方向に進んでいる。そのため、ユーザーはサーバーから遠くなり、Webプロトコルの交信は頻繁になり、セキュリティの向上が求められることになる。その結果、パフォーマンスの低下、複雑さの増長につながっている」と指摘。機器の増加や帯域を拡げるなどしても対処できないとし、「最適化が必要」と述べた。
NetScalerは、データの圧縮とキャッシュ、プロトコルと接続の高速化、エンドツーエンドのセキュリティの強化などを特長とするアプリケーション配信システム。基調講演では、Oracleのファイナンシャルアプリケーションを例に「導入前は10秒以上かかったレポート生成処理が、導入後は同じレポートに1秒以内にアクセスできるようになった」と説明、NetScalerを導入するメリットを紹介した。
アクセス速度が向上することで、サーバーへの負荷も軽減できるため、「Webアプリケーションサーバーは、より少ないリソースでさらに多くのタスクを処理できるようになる」と、パフォーマンス面でもメリットがあるとした。
そのほか、デスクトップアプリケーションの問題を解決する方法として、同社が開発を進めているProject Tarponを紹介。Project Tarponは、アプリケーションストリーミング技術の1つで、アプリケーションの配布とアップデートに「プル型」の技術を利用しているのが特長で、「アプリケーションのインストールの煩雑性や互換性の問題に対応」(テンプルトン氏)していると紹介した。
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代表取締役社長の大古俊輔氏
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基調講演の最後には、シトリックス・システムズ・ジャパン代表取締役社長の大古俊輔氏が登壇。同日発表されたx64対応のCitrix Access Suite最新版やNTTドコモのFOMA M1000への対応などを紹介した。また、ウィルコムのモバイル情報端末「W-ZERO3」向けのCitrix Presentation Serverクライアントモジュールも開発中であることを明らかにした。
大古氏は最後にMetaFrameのイメージがいまだに根強い現状に言及し、「シトリックスは、セキュアにアクセスできるアクセスプラットフォームベンダー」であるとあらためて宣言し、講演を締めくくった。
■ URL
シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社
http://www.citrix.co.jp/
iForum 2005 Japan
http://www.citrix.co.jp/iforum2005/
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( 福浦 一広 )
2005/11/30 00:00
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