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RSSフィードはビジネスにどうやってつながる?-フィードビジネスカンファレンス


 RSS/Atomフィード(以下、フィード)のビジネス活用を推進する企業連合「FBS(Feed Business Syndication)」は12月8日、2回目となる公開会合「フィードビジネスカンファレンス」を開催した。ここではその内容から、フィードがどのようにビジネス活用されるかを中心に取り上げる。


フィードは拡張することでビジネスへの適用範囲が広がる

サイボウズ・ラボ株式会社 奥一穂氏
 ブログをはじめとしたWebサイトの更新情報を通知するツールとして定着しつつあるフィードだが、これがどのようにしてビジネスにつながるのだろうか。そもそもフィードはRSSやAtomといった文法に沿って記述したXMLファイルで、更新のほか、ブログに書き込まれた内容のジャンル分けなどの属性情報をメタデータとして記述されている。

 サイボウズ・ラボ株式会社の奥一穂氏は、こうしたフィードは独自で拡張可能であり、すでに拡張されたフィードがさまざまな用途で利用されていると説明する。最も有名なものとしては、音声配信のポッドキャスティングが挙げられる。また、Yahoo!やAppleは音楽配信サービスにおいてジャケット画像や演奏時間などの情報をフィードに埋め込んで提供している。Googleは緯度・経度といった情報を「Google Map」に、職種や住所、有効期限といった求人情報を「Google Base」に活用している。さらにMicrosoftは、スケジュールやブックマークの同期を目的とした「Simple Sharing Extensions」を11月に提唱した。独自の拡張が乱立するなどの問題もあるが、目的に合った情報を一定の形式で送受信できるXMLの特性がフィードとして活用されているということだ。


ポッドキャスティングに利用されているenclosureタグや、Yahoo!・Appleが利用している拡張タグ Google Baseの採用情報に使われている拡張タグの例 Microsoftが提唱しているSimple Sharing Extensions

 現在、フィードはブログやニュースなど公開情報の配信として利用されているが、サイボウズ・ラボでは、さらにグループウェアや商品発送通知など非公開情報やパーソナライズされた情報の配信が可能となるような研究を進めているという。非公開情報をフィードとして配信する場合、RSSリーダーにIDとパスワードなどを伝えなければならず、特にWeb型RSSリーダーなどは危険性をともなう。この問題を解決するソリューションとして、RSSリーダー専用の認証トークンを開発している。これにより非公開情報をセキュアに取得し、本人のみが情報を閲覧することが可能となる。こうした技術拡張により、フィードの用途は大きく広がる。


API型とフィード型の違い
 ちなみに情報資産の公開手法としてフィードのほかにAPIが公開されたWebサービス(例として、Google MapやAmazonの商品データ提供など)がある。有限会社グルコースの大向一輝氏はフィードとAPI公開の違いを次のように説明する。「API公開型は、データをすべて提供するのではなく、逐次処理を行って必要なデータを提供するため、提供元のコントロールが効く」。「フィードは自由度が高く利用のされ方がさまざまで、提供元が想像のつかない場合もある」。例えばブログが生成するフィードは、個人が利用するRSSリーダーのほか、ブログ専用の検索エンジンなどさまざまな用途に利用されている。


フィードを使った社内情報共有システムが拡大

 フィードの利用はインターネットだけでなく、イントラネットにおいても拡張しているようだ。ブログエンジン取締役COOの後藤康成氏は、グループウェア、社内ブログなどによる情報の収集や発信をRSSリーダーに統合し、さらにメール、VoIP、IM(Instant Messeaging)などのツールとも連携して、Webブラウザ上から社内外の情報を一元管理する「エンタープライズポータル」の構築が可能となると述べた。また、検索エンジンサイトが公開しているAPIを利用することで、社内外の情報を1個所から検索することがすでに可能であるとした。ブログエンジンではブログやRSSリーダーを活用した社内情報共有システムを開発・販売しているが、ここにきてユーザー企業の業種を問わず導入が広まっているという。

 Web 2.0という言葉に代表されるように、ネットワークを利用した情報発信・取得する手段やツールが多様化している。後藤氏は「フィードおよびXMLが、Web 2.0を構成するサービスとサービスとをつなぐ血液になる」と述べている。


ブログエンジン 取締役COO 後藤康成氏 ブログエンジンが示すWeb 2.0型エンタープライズポータル


URL
  FBS(Feed Business Syndication)
  http://www.feedsphere.com/
  ブログエンジン株式会社
  http://www.blogengine.jp/

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( 朝夷 剛士 )
2005/12/09 00:00

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