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ブラザーら、グリッド技術を活用したコンテンツ配信システムを開発


 ブラザー工業株式会社は12月12日、独立行政法人産業技術総合研究所グリッド研究センター、早稲田大学 村岡研究室、株式会社エクシングと共同で、グリッドの技術を応用したコンテンツ配信システム(以下、CDGシステム)の開発に成功したと発表した。音楽や映像、ゲームの配信などに活用できるという。

 CDGシステムは、既存のサーバークライアント方式による配信システムでは困難な多数ユーザーへの大容量コンテンツの配信を、低コストかつ高セキュリティで行うことができるというシステム。

 今回、この実現に向け、ネットワークに接続したPCやセットトップボックス、デジタル家電などのユーザー端末のリソースを、システム全体で共有するコンテンツの配信を行うためのアルゴリズムを開発した。これにより各端末が、アクセス頻度に応じてコンテンツをキャッシュ内に最適配置し、協調して自律的にシステム全体の負荷を分担することが可能になったという。

 同時に、各端末がネットワーク的に一番近い端末を選択し、共有するキャッシュの中からコンテンツを自律的に取り出すことを可能とし、配信サーバー自体が不要となる。さらに、端末の増加に伴って共有するリソースが増えるので、利用するユーザーが増えても、システムの安定性が保たれ、ネットワーク容量などの増強も不要だという。

 システムのイメージはP2Pソフト「Winny」に近いが、セキュリティ機能として既存のDRM(著作権保護技術)や、グリッド技術に使用されている電子認証システムに独自のコンテンツ保護セキュリティ技術を適用し、「業界における最高レベルのセキュリティを実現した」としている。

 同社では、CDGシステムを、大容量・多様化するデジタルコンテンツの配信システムにおける標準化を目指し、アライアンスも含めたさまざまなビジネスモデルを検討していきたいとしている。なお、共同開発したエクシングはブラザーの子会社で、通信カラオケ・コンテンツ事業を行っており、今後CDGシステムが適用される可能性が高い。



URL
  ブラザー工業株式会社
  http://www.brother.co.jp/
  プレスリリース
  http://www.brother.co.jp/jp/news2005/cdg/n_cdg_ove.html


( 朝夷 剛士 )
2005/12/12 18:16

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