「Itaniumは確実に受け入れられている。それは市場が証明している」そう語るのは、米Intelバイスプレジデント、サーバープラットフォームグループ ジェネラルマネージャーのカーク・スカウゲン氏。Itaniumの開発にも携わったスカウゲン氏に、サーバービジネスの今後について伺った。
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米Intelバイスプレジデント、サーバープラットフォームグループ ジェネラルマネージャーのカーク・スカウゲン氏
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―Itaniumが好調とのことですが、具体的な数字を教えてください。
スカウゲン氏
あまり知られていないことですが、Itaniumベースのシステムの売り上げは、サンやIBMを上回っているのです。特に日本市場はメインフレームからのリプレースやRISCからのマイグレーションでリードしています。Itaniumベースのシステムの売り上げは、SPARCベースのシステムの1.6倍に、POWERベースのシステムの1.17倍という数字が出ています。
―メインフレームベンダーによるItanium採用が大きな要因ですか?
スカウゲン氏
そうですね。日立、富士通、NECといったベンダーでItaniumを採用していただいたおかげで、急速に切り替えが進んだ結果といえます。また、お客さまから見た場合、サンのSPARCからIBMのPOWERへ移行するのは、プロプライエタリへの切り替えでしかありません。Itaniumならオープンな世界への移行となります。実際、サポートしているOEMベンダーは70社以上、対応OSも10を超えています。
また、アプリケーション重視も大きな成果となっています。2003年第4四半期と比べると、対応アプリケーションの数は5.8倍、5500を超えるアプリケーションがネイティブに動作しています。Itaniumの成長の勢いを生かせるよう、エンジニアも活動しています。
―次期ItaniumのMontecitoの出荷は大幅に遅れていますが。
スカウゲン氏
出荷が遅れたのは、大量生産に対応できるだけの妥当性を確認するためです。第1四半期分生産を遅らせますが、それほど影響はないとみています。
―パートナー企業は出荷の遅れをどうみていますか?
スカウゲン氏
パートナー企業からは高いパフォーマンスの製品をできるだけ早くほしいとはいわれています。シードユニットはすでに提供していますので、開発面では問題ないとおもいます。Montecitoの正式出荷にあわせて、来年中ごろには各社製品も出荷されることでしょう。出荷が始まれば、性能が2倍に、消費電力効率が2.5倍に向上していますので、Itaniumシステムの出荷はさらに伸びるでしょう。
―逆にXeonの出荷は前倒しとなりましたね。また、64ビット化も短期間で進みました。やはり、ライバルの存在は大きいということでしょうか?
スカウゲン氏
そうですね。ライバルは重要です(笑)。64ビットに関しては、ハードウェアチップだけでなく、ソフトウェアの切り替えも重要です。Intelでは、ツールを提供することでソフトウェアの開発を支援しています。
―2006年にはBensleyプラットフォームも登場しますね。
スカウゲン氏
そうです。Bensleyは、65nmテクノロジーを導入したデュアルコアプロセッサ(Xeon 5000番台)に対応しています。これにより、すべての価格帯のサーバーでデュアルコアが使えることになります。また、ワットあたりのパフォーマンスも向上しています。これはデータセンターにおいて非常に重要なことです。そのほか、メモリアーキテクチャもFB-DIMMへ移行します。FB-DIMMを用いることにより、プラットフォームのパフォーマンス、帯域幅、信頼性などが向上します。
また、Intelとしては企業の競争力向上に貢献できる技術も開発しています。
調査結果によると、企業のIT予算のうち、8~9割は既存機器の保守・維持のために使われています。残りが新規技術への投資です。Intelとしては、この割合を5対5に変えることで、企業の競争力向上に使えるようにすることを目標としています。これを実現するため、Intelでは、「Virtualization Technology(VT)」や「I/O Acceleration Technology(I/OAT)」、「Active Management Technology(AMT)」などの新しい技術を発表しています。VTによる仮想化は企業のサーバーの最適化につながり、I/OATによりCPUのI/Oトラフィックを向上でき、AMTによりクライアントPCの管理性能を高めることができます。
―AMDのOpteronからの挑戦状には何も反応していませんが、その点についてはどうお考えですか?
スカウゲン氏
会社としてはノーコメントです。私がいえるのは、Intelはナンバーワンベンダーであるということです。性能、消費電力効率、プラットフォームにおいてリードしていきます。これらは、お客さまがIntelに期待していることでもあります。
■ URL
インテル株式会社
http://www.intel.co.jp/
( 福浦 一広 )
2005/12/16 12:00
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