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各種機能が強化されたFirefox1.5
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Mozilla Japan理事 瀧田佐登子氏
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有限責任中間法人Mozilla Japanは12月16日に会見し、日本国内での活動内容を紹介するとともに、今後、企業向けにFirefoxをはじめとするWebブラウザ・メーラーの普及、およびサポート体制を構築していく意向を示した。
米Mozilla Foundationが開発したFirefoxは、2004年11月にバージョン1.0を発表後、累計で1億を超えるダウンロードがあり、今年11月には新版となるバージョン1.5をリリースした。ワールドワイドにおけるWebブラウザシェアで10%を超えたという調査結果もある。国内では米国と比較して利用率がやや少ないとのことだが、IEのセキュリティ上の不安からFirefoxの利用を推奨する企業もある。ただし一般に問題が発生した場合のサポート体制がないため、あくまで個人のツールとして認識されていることが多い。
この現状に対しFirefoxの普及を図る同社は、自社によるサポート体制の構築とともに、パートナー企業と連動して、企業ユーザーへの導入推進を開始している。同社理事の瀧田佐登子氏によると、すでに「1万人規模の企業でのFirefox・Thunderbirdの導入実績がある」という。
こうした事例には、単にダウンロードしたFirefoxなどにサポートがつくだけでなく、ユーザー企業の要望に応じてカスタマイズされたものが導入されているものもあるようだ。FirefoxやメーラーのThunderbird、およびMozilla Suiteには「Extentions」と呼ばれる機能拡張が容易に行える仕組みが備えられており、世界中のプログラマーが作成・公開しているプログラムをアドオンして、IEなどでは実現できない便利な機能を搭載できる。もともとFirefoxは、本体の機能を最小限にとどめ、足りないものは後から追加していけばいいという思想のもとで生まれたWebブラウザだ。
このExtentionsをユーザー企業の要望に応じてパートナーが開発し提供している。例えば特定のWebページしか閲覧できないようにしたり、特定のページに特定のポートからアクセスする、などといったものがあるとのことだ。こうしたサービスを行っているパートナーとしてテンアートニ、グッディ、バーチャルコミュニケーションが挙げられた。
Mozilla Japanとしては、直接ユーザーをサポートするのではなく、パートナーやコミュニティ、各種プロジェクトより寄せられた情報や意見などをまとめ、技術部隊や米Mozilla Foundation / Mozilla Corporationに提出する「後方支援」を行う。
同社内にも日本語化などへのローカライズや修正などを行う技術部隊がおり、さまざまな対応を行っているが、現状では人数が少なく、Firefox 1.5を日米同時リリースしたときには「徹夜でLanguageファイルを作った」というエピソードもあり、現在も「寝る暇がない」という。
2004年に活動を開始した同社だが、今年は米Mozilla Foundation理事の伊藤穣一氏、奈良先端科学技術大学院大学教授の砂原秀樹氏を迎えるなど体制を強化しており「米国から日本の活動を支援しようという話もある」(伊藤氏)とのこと。ただし、Mozilla設立目的は変えず「営利目的ではなく、イノベーションの促進」をかかげ、Web標準化などの各種中立的な取り組みも行っていくという。
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Mozilla Japanの体制と主なミッション
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Mozilla Foundation理事兼Mozilla Japan理事 伊藤穣一氏
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■ URL
Mozilla Japan
http://www.mozilla-japan.org/
関連記事:「Firefox 1.5」日本語版を含む各国語版が正式公開(INTERNET Watch)
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2005/11/30/10029.html
( 朝夷 剛士 )
2005/12/16 17:55
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