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米Intel副社長が語る「Napaプラットフォームが与えるメリット」


 Intelは、新たなモバイルパソコン向けプラットフォームとして、Napaプラットフォームを年明け早々にも正式に発表する予定だ。ITマネージャーやITプロと呼ばれる人たちにとって、Napaはどんな世界を提供してくれるのだろうか。そして、エンタープライズユーザーにとって、どんなメリットがあるのだろうか。米Intelモビリティグループ・ワイヤレスネットワーキンググループジェネラルマネージャーであるジム・A・ジョンソン副社長に話を聞いた。


米Intelモビリティグループ・ワイヤレスネットワーキンググループジェネラルマネージャーのジム・A・ジョンソン副社長
―Napaプラットフォームに対応した製品がいよいよ出荷直前となっています。いま、社内はどんな雰囲気ですか。

ジョンソン氏
 これまでの準備は我々の予定通りに進んでいます。複数のベンダーから、複数のプロダクトが投入されようとしています。少し前までは、最後の段階に向けて、なにか問題がないか、という解決を図っていましたが、いまは万全な準備ができています。新たな製品投入を前にワクワクしている、といったところです。ハードウェアベンダーも、大型プロダクトの投入を前に大変盛り上がっている、という声を同僚から聞いています。久しぶりの大型プロダクトとしての展開になりますし、人々の仕事の仕方を大きく変えることができるプラットフォームでもある。報いが大きな仕事だと、胸を張っていえます。


―Napaプラットフォームは、どんな変化をもたらしますか。

ジョンソン氏
 Intelは、Ethernetへの取り組みを皮切りに、過去15年間にわたって、コミュニケーションチップを開発してきました。そして、その間、常に改善を繰り返し、最適なものを市場に提供してきています。ここ数年は、とくにワイヤレスに力を注いでいるのは周知のとおりです。もともとモバイルとはいっても、結局は有線で接続したモバイル利用しかできなかったものが、Centrinoによって、いよいよワイヤレス環境であらゆる場所でできるようになった。この変化は大きいといえます。そして、Intelがそれをプラットフォームという形で提案を行っている点も大きな変化です。こうした長年の経験が、ワイヤレスモバイル環境での新たなプラットフォームを生み出した。さらに、Ethernetの半分の期間で、新たなワイヤレスモバイル環境を浸透させることができた点も見逃せません。Napaプラットフォームは、これまでのモバイル環境の提案をさらに進化させたものとして、Ethernet同様に、ミッションクリティカルエンタープライズ領域においても活用されるものだといえます。


ジョンソン副社長が持っているのが、無線LANカードの「Intel PRO/Wireless 3945ABG Network Connection」。開発コードネームで「Golan(ゴラン)」と呼ばれていたものだ
―NapaプラットフォームはビジネスシーンでITを利用するユーザーに対して、どんなメリットを与えますか。

ジョンソン氏
 デュアルコアプロセッサによる性能向上、省電力技術によるバッテリ持続時間の向上といったメリットは、これまでの進化に比べても大きい一歩だといえます。また、30%以上小型化されたパッケージによって、新たなフォームファクタを提供することができる。より自由度の高い筐体設計によって、モバイル環境でより利用しやすいものが提供されることになります。また、WiFiの環境において、パソコンを起動し、認証し、VPNを起動させて、ネットワークに接続するという一連の動作が大幅に簡略化されている。Napaプラットフォームを利用しているユーザーは、Ethernet環境で利用しているのと同じような気軽さでWiFiに接続できるようになります。ワイヤレスということを意識するのは、つなげるコードがないと気がついたときではないでしょうか(笑)。さらに、ビデオ、音声といった利用シーンにおいても、ストレスなく利用できるほか、よりよいアルゴリズムを使って、最適なアクセスポイントを選択することもできます。ノイズのある環境においても、安定した利用ができるような改善も図られています。


―一方、ITマネージャーにとっては、Napaプラットフォームはどんなメリットを及ぼしますか。

ジョンソン氏
 Napaプラットフォームは、ITマネージャーやITプロフェッショナルと呼ばれる人たちにとっても、大きな価値を提供できます。デュアルコアやチップセットによる性能の向上はもちろんですが、ワイヤレス機能の強化も大きなメリットを享受できます。いわば、ワイヤレス接続環境におけるセキュリティの強化、管理性の向上、接続性の簡易性という点でのメリットです。例えば、ワイヤレス環境においても、有線と同様のネットワーク接続環境を実現し、さらに、ユーザーが不在の時にもITマネージャーがアクセスして管理できるパーシスタントコネクションも実現している。デスクトップの管理で実現していたものと同様の管理環境がモバイル環境のクライアントに対しても実現できるようになる。管理という点での進化は大きいといえます。


―Napaプラットフォームによって、日本のユーザー企業はあらゆる価値を享受できそうですね。

ジョンソン氏
 日本は都心部であれば、5分も歩けばWiFiのポイントを見つけだすことができる。しかも、少し離れたところでも同様の環境が実現されようとしている。そうした意味でも日本は、大変恵まれた環境にありますから、Napaプラットフォームが果たす役割も大きいといえます。世界各国の主要都市において、こうした環境を早期に実現したいですね。

 Intelは、ワイヤレス技術の標準化に対して積極的な働きかけをしてきました。また、同じ2.4GHzを使用するBluetoothと、WiFiについても、技術的に共存を可能としたり、他のワイヤレスネットワーク同士が干渉しないようにする技術にも取り組んできました。WiFiは、グローバルスタンダードの技術として利用できるものです。しかも、誰でも、どこでも使える。このメリットをもっと生かしていかなくてはならない。公衆のWiFiは、まだローミングといった考え方が少ないですから、一度移動すると、再度ログオンしなくてはならないという手間がある。こうした点も解決していく必要があるでしょうね。

 いまや、エンタープライズユーザーにとっては、モバイルコンピューティングは欠かせないものとなっています。Intelは、よりセキュアな環境を提供し、より簡便に、ワイヤレスによるモバイルコンピューティングを利用できる社会づくりに、今後も貢献したいと考えています。



URL
  インテル株式会社
  http://www.intel.co.jp/

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( 大河原 克行 )
2005/12/26 17:59

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