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HDD製品別の出荷台数予測
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経営執行役常務 ストレージプロダクト事業本部長の古村一郎氏
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富士通株式会社は1月13日、今後のHDD市場に対する取り組みを発表した。それによると同社では、今後の拡大が見込まれる1.8型HDD市場に参入し、2007年前半より販売開始するほか、現在主力となっているモバイルPC向け2.5型HDDの高性能化や、サーバー向けHDDの小型化などを進めるという。2008年度の出荷目標は現在の2倍強にあたる5400万台で、売り上げも、2005年度2800億円(見込み)から2008年度4000億円に拡大したい考えだ。
富士通では2001年度にデスクトップPC向け3.5型HDD市場から撤退し、経営資源をモバイルPC向け2.5型HDD、サーバー向け3.5型HDDに絞って事業を行ってきた。そうした中、一時は900万台/年まで落ち込んだ出荷台数が、2005年度(見込み)には2600万台を超えるところまで回復しており、モバイルPC向け2.5型ではHGSTに次ぐ24%のシェアで第二位、サーバー向け3.5型でもSeagateに次ぐ21%のシェアで第二位を獲得するに至っている。
そうした状況において、富士通はさらなる成長を目指すため、既存分野における取り組みに加えて、新たに1.8型HDD市場への参入を決めたという。このサイズのHDDは、iPodをはじめとする携帯型音楽プレーヤーやビデオカメラなどのコンシューマエレクトロニクス市場で広く利用が見込まれ、市場が拡大しているほか、PCのダウンサイジングに伴ってノートPCでの採用増も見込まれるとのことで、十分な成算があるとした。
また開発のスピードアップを図るため、1型HDDで実績のある米Corniceと提携。共同でCE-ATAインターフェイスなどの開発を進める。新製品の容量は、60GB(1プラッタ)/120GB(2プラッタ)モデルが予定されており、同社では、2008年5800万台規模が想定される市場のうち、約20%のシェアを獲得したい意向だ。
富士通の経営執行役常務 ストレージプロダクト事業本部長の古村一郎氏は、「1型やそれ以下のサイズでは、競合するフラッシュメモリと比べて価格面などの優位性がなくなってくる」と説明したほか、デスクトップPC向け3.5型市場への再参入に関しても、「市場がシュリンクしている中ではリスクがある」とし、1.8型HDDへの参入を決断した理由を説明した。
一方、モバイルPC向け2.5型分野では、高容量化・高速化を推進。AV対応PC向けの200GBモデル、ハイエンドPC向けの7200rpmモデル、高密度記録を実現可能な垂直磁気記録方式を採用した製品などを2006年度に投入する。あわせて市場拡大の著しいHDDレコーダ向け、車載向け、ゲーム機向け、といった非IT市場向け製品にも注力していく。
またサーバー向けHDD分野では、現在の主流である3.5型から2.5型への小型化を進めるとともに、SATAインターフェイスに集中し、147GB・10000rpmの2.5型HDDを2006年度中に製品化する。古村氏は「サーバー向けではこれ以上の大容量化は望まれていないので、小型化に注力していく。HDDが小型化すれば装置全体のフットプリントも小さくなり、データセンターの面積、消費電力などでメリットが出る」と述べ、小型化がユーザーメリットにつながっていくとの考えを示した。もちろん3.5型も生産を継続し、2006年度には300GB・15000rpmの高性能HDDを提供する予定だ。
■ URL
富士通株式会社
http://jp.fujitsu.com/
プレスリリース
http://pr.fujitsu.com/jp/news/2006/01/13.html
( 石井 一志 )
2006/01/13 15:51
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