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SQEジャパン設立、「日本のソフトウェア開発手法の改革に貢献」


代表取締役社長の山中義晴氏
 「日本のIT産業には製造業が持つ生産管理の考え方がない。国際的な競争力もなく、産業そのものが負のスパイラルに陥っている」、そう警告するのは、2005年10月に設立したエス・キュー・イージャパン株式会社 代表取締役社長の山中義晴氏。1月16日に行われた同社の設立会見では、日本のソフトウェア開発手法を改革し、IT業界の活性化と国際競争力のあるSEの育成という同社の目標などについて説明が行われた。

 「日本のシステム導入を見ると、およそ4つのうち3つは失敗プロジェクトという調査結果がでている。リスクマネジメントができないなど日本人の特性が失敗の原因となっている」と山中氏は述べ、エンドユーザーおよびSIerの意識改革、IT教育の変革などを行うことが日本のIT産業には必要だという。「欧米では要求仕様書はエンドユーザーが書いているが、日本ではSIerが書いている。しかし、SIerがすべての要求を聞き出してくれるわけではない。日本でも、エンドユーザーである企業自身で要求仕様書をまとめるようにしていくことが(システム導入を成功させるためにも)大切だ」と述べる。SIerに対しては、「工数積み上げ方式を改めないといけない。今のままでは、どんな成果物を作っても工数分だけ請求することになり、原価削減につながらない。昔のようにSIerの言いなりになって支払ってくれるわけではなく、結果として利益が得られない仕事を続けていくことになる」と今後の成長のためにも現状を改善することが重要であると説く。

 同社はこうした問題を改善するために米SQE社のプログラムを採用。トレーニング、コンサルティング、アウトソーシング、ジョブマッチングなどのサービスの提供のほか、パブリケーション事業、コンソーシアム運営などを業務範囲とし展開するとしている。

 教育プログラムでは、プロジェクトマネージャ向けの「体系的ソフトウェアテスト」と、テスト技術者向けの「テスト設計マスター」の2つのプログラムを実施。今後ラインアップを拡充する予定としている。

 また、アウトソーシングサービスでは、トヨタ生産方式として製造業で注目されている手法をソフトウェアで採用した「ソフトウェア・ジャストインタイム(SW-JIT)」をSIer向けに提供する。山中氏は、「これまでのソフトウェア開発では、テストは最終段階で行っていた。そのため、問題が発生した場合、さかのぼって修正することになり無駄な工程が発生している。これを改善するために各作業工程を可視化。これにより、要求の追加・変更も追跡可能になる。また、開発とテストプロセスを並行に行うことで、各フェーズでの問題点を早期に発見し対応することができる」と説明する。

 同社プリンシプルコンサルタントの前田卓雄氏は、「日本のソフトウェア開発は、これまで人を大量に投入することで問題解決をしてきたが、人口減少が始まった日本では続けられないモデルだ。その人の持つ能力に加えて、人の力を最大限に引き出す仕組みが必要」と、業界の構造の変革が不可欠であるとした。

 なお同社では、ソフトウェア品質の向上を目指すベンダーニュートラルな組織「ソフトウェア品質診断 SQEコンソーシアム」を同日付けで発足したことも発表している。



URL
  エス・キュー・イージャパン株式会社
  http://www.sqe.co.jp/


( 福浦 一広 )
2006/01/16 18:02

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