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NEC、2005年度第3四半期連結決算は増収減益

SI事業は好調なものの携帯電話、半導体の減収がネックに

第3四半期業績

取締役 執行役員常務の的井保夫氏
 日本電気株式会社(NEC)は1月26日、2005年度第3四半期の連結決算を発表した。

 同期の連結売上高は、移動通信システム、PCの売り上げが増収となったことで対前年同期比2.6%増の1兆1447億円となったが、営業利益は販売費及び販売管理費の増加により対前年同期比8.1%減の190億円に止まった。税引き前利益は13%減の240億円、当期純利益は47.3%減の208億円となった。

 この結果について、取締役・的井保夫執行役員常務は、「エレクトロニクス業界では、価格下落傾向が継続しているものの、PC、SIサービス事業が堅調に推移。携帯電話事業も買い換えが進んだために、売上高増となった。計画通りの業績となっており、通期見通しについては10月時点の発表から変更は行わない」と説明している。

 セグメント別では、ITソリューション事業の売上高は4%増の5123億円、営業利益は前年同期に比べ92億円減少して168億円となった。

 ITソリューション事業内の売り上げ高の内訳は、SIサービスが1%増の1699億円、ソフトウェアが8%減の215億円、コンピュータ・プラットフォームが7%減の1138億円、PCを含むパーソナルソリューションが16%増2071億円。

 ITソリューション事業のどの事業も利益率が低下しているため、「事業が堅調とはいえない状況なのではないか」という厳しい質問も飛んだ。

 これに対し的井執行役常務は、「パソコン事業の収益悪化は為替差益インパクトによるものだが、第4四半期にはこれが改善すると見ている。SIサービスについても、例年、第4四半期に仕事が集中する傾向にあり、実際に第4四半期に行う仕事が残っていることから、改善ができる見通し」と説明した。

 SIサービス事業は比較的堅調としているものの、「厳しい価格低下圧力は依然続行している」(的井執行役常務)状況が続く。その中で、通期の営業利益率9%を目指す方針は変更しない。プロジェクトマネージメントの徹底、NECソフト、NECシステムテクノロジーの完全子会社化、アビームコンサルティングとの戦略的資本提携の活用などにより、価格下落圧力に対抗していく。

 コンピュータ・プラットフォーム事業は、IAサーバーの出荷台数が伸張。「国内でのIAサーバーシェアでトップを奪回することができたのではないか」(的井常務執行役)。今後の施策としては、ブレードサーバー、省スペース型サーバー、水冷式静音サーバーなど高付加価値製品を継続的に強化し、サーバー統合などプラットフォーム最適化要求に応えるソリューションの提供などによって、通期での黒字化を目指す。

 パーソナルソリューションは、PCの出荷台数は16%増の68万台となった。これは通常は1月に発売する新商品の投入時期が12月に前倒しとなったことの影響。ただし、部材を輸入する際の為替損益が出た結果、収益は悪化している。


ITソリューション事業の状況 SI/サービスの状況

 ネットワークソリューション事業の売上高の内訳は、ブロードバンド分野が前年度に大型案件があった影響を受け14%減の1215億円、社会インフラは地上デジタル放送設備が好調だったため13%増の562億円、モバイルインフラは新サービスやネットワーク拡充のためにインフラ投資が引き続き好調に推移し1235億円、モバイルターミナルは海外での価格下落の影響で1071億円となった。

 モバイルターミナル分野は、携帯電話が主力商品となるが出荷台数はワールドワイドで約310万台となった。国内については上期から市場が回復傾向にあり、今後はNTTドコモ向け製品のラインアップの拡充、ボーダフォン向け製品の強化など品数を増やしていくことで売り上げ増加実現を目指す。一方、海外はキャリア向けに製品を出荷している欧州の販売状況は堅調なものの、中国市場では従来の上位機種だけでなく、中位機種、下位機種にまでラインアップを拡充したために在庫が増加したことが収益を悪化させる大きな要因となった。そのため、「中国での携帯電話販売は、再び上位モデルに製品を絞り込み、流通在庫を年度内に圧縮する」(的井常務執行役)と戦略を大きく変更する。

 エレクトロンデバイス事業の売上高の内訳は、電子部品が8%増の270億円、ディスプレイが産業用液晶ディスプレイが大型から小型まで堅調に推移したことにより23%増の178億円、NECエレクトロニクスが担当する半導体はLCDドライバICおよびデジタル家電向け半導体の売り上げが増加したものの、国内の携帯電話向けシステムLSIの減少などの影響で2%減の1627億円。

 「エレクトロンデバイス事業の詳細については、昨日発表されたNECエレクトロニクスの発表を参照してもらえばいいが、来年度の黒字化実現に対してはNECとしても協力していく」(的井常務執行役)と次年度の黒字化を目指していく。



URL
  日本電気株式会社
  http://www.nec.co.jp/
  平成17年度第3四半期および9ヵ月通算連結決算概要
  http://www.nec.co.jp/press/ja/0601/2601.html

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( 三浦 優子 )
2006/01/26 19:53

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