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日本市場に本格進出した米PGP、「短期的な利益は求めない」


 「日本での市場開拓に、日本語版と日本法人が大きく貢献するだろう。短期的な収益を目指すことなく、着実に日本市場を開拓していきたい」、そう語るのは米PGP社長兼CEOのフィリップ・ダンケルベルガー氏。1月に日本法人を設立し、本格的に日本市場で展開する同社の製品や今後の戦略について話を伺った。


米PGP社長兼CEOのフィリップ・ダンケルベルガー氏
 同社は、メール暗号化ソリューションやデジタル署名ソリューションを提供するベンダー。メールの暗号化と、暗号化や電子署名に必要となる暗号鍵の管理を行うゲートウェイ型製品「PGP Universal」、クライアント向けの暗号化製品「PGP Desktop」などの製品を用意している。

 PGP Universalの最大の特長は、メールサーバー間に配置することでユーザーに負荷をかけることなくメールの暗号化・復号化を実現できる点にある。「これまでは送信するユーザー自身が暗号化を行う必要があり、負担がかかっていた。PGP Universalでは、メールの暗号化・復号化をサーバーで行うことで、ユーザーに負荷をかけることなく利用できる」とダンケルベルガー氏は説明する。

 メールサーバーの外部に置いて利用することから、システム構成を変更することなく導入できる。また拡張性も高く、十万規模のアカウントにも対応できるとしている。「メールセキュリティの管理が非常に簡単なので、専任の管理者等人員を増やす必要がない」と管理面でのメリットも強調する。

 ワールドワイドで3万社で利用されている同製品だが、日本ではこれまでに200社への導入にとどまっている。その大きな理由として、製品のローカライズができていなかったためだとダンケルベルガー氏は話す。「ローカライズは必要であり、現在販売しているバージョンでは同じコードベースで各国語版を作成できる体制にしている。これにより、英語版投入後30日以内に日本語版などが出荷可能になった」と説明する。

 また現地法人の設立も製品の採用に大きく影響するとダンケルベルガー氏は話す。「2005年3月にドイツ法人を設立したが、それ以降ドイツでの採用が大きく伸びている。2005年第4四半期を見ると、ドイツを含むヨーロッパの売上が米国を上回るまでに成長している」と、現地法人の設立が製品販売に大きく貢献するとした。

 同社では、この日本語版と日本法人設立により、本格的に日本市場に展開する考えだ。「重要なのは、あわてずにじっくりと取り組むということだ。特に日本市場はクオリティを非常に重視する。こうした市場で、短期間の成果を求めると日本のパートナーに失望され、結果として失敗する」と、パートナーに対して短期的な成果を求める考えがないとした。

 ダンケルベルガー氏は、「他社と同じものは作らない。データセキュリティの専業企業として、一番セキュリティの高い製品を提供しつづける」とオンリーワンの製品を提供する強みを強調。「それぞれの国ごとにビジネスパートナーを持っているのを強みとして展開していく」とした。



URL
  日本PGP株式会社
  http://www.pgp.co.jp/

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( 福浦 一広 )
2006/02/03 13:42

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