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大塚商会、2005年度連結決算も絶好調-3年連続で増収増益で過去最高益に


大塚裕司社長

2005年12月期の連結売上高と利益の状況

売上高の四半期推移
 株式会社大塚商会は、2005年12月期の連結決算を発表した。

 連結売上高は、対前年同期比9.9%増の4094億1300万円、営業利益は28.8%増の219億1100万円、経常利益は30.4%増の222億1000万円、当期純利益は4.4%増の117億4700万円で、増収増益となった。

 「3期連続で増収増益となり、過去最高益を達成することができた。連結売上高で4000億円を超え、経常利益、営業利益ともに200億円を超え、当期純利益も連結、単独ともに100億円台となり、それぞれが節目となる金額を超えた」(大塚裕司社長)

 業績好調の外部的要因を、「企業のIT投資が引き続き堅調に推移」と説明。具体的には、(1)景気回復が鮮明となり企業収益の改善が継続、(2)情報セキュリティ対策関連投資が本格化、(3)各種リプレース需要の継続、(4)IT投資減税制度などの政府支援策、という4点をあげている。

 「個人情報保護法は、5000件以上の個人情報をもつ企業でなければ対象にならないといわれていたが、法律の全面施行後、企業側に個人情報をどう扱っているのかという問い合わせが増加した結果、中小企業や零細企業でも対応を行う企業が増加し、セキュリティ関連事業の売り上げ増に貢献した」(大塚社長)

 内部的要因としては、(1)社内営業支援システム「SPR(Sales Process Re-engineering)」の進化と徹底活用により、提案力アップと効率的営業活動をさらに推進、(2)複合提案、総合提案による競争力の向上、(3)旬な情報セキュリティビジネスを強化、(4)「たのめーる」による顧客開拓効果、(5)原価管理強化、販管費率の改善で収益性が向上、(6)「営業支援センター」による営業活動の効率化、の6点をあげている。

 「内部要因も昨年の流れと変わらない。複合提案は、コピー、コンピュータ、FAXと幅広い取り扱い商材をもっていることが時代にフィット。利益率拡大に寄与した。たのめーるは、顧客との接点としての役割を順調に果たし、年間6万口座が増加している。営業支援センターは設立によって営業マン一人あたりの実働時間が1カ月で2日ほど減っている」(大塚社長)


セグメント別売上高
 セグメント別売上高の内訳は、システムインテグレーション事業が8.2%増の2582億7500万円、サービス&サポート事業が13.9%増の1491億円、その他の事業が27.0%減の20億3700万円。

 「サービス&サポート事業の売り上伸張が収益拡大の柱となった」と説明している。

 顧客となる企業の年商別の売り上げ構成としては、売上高100億円以上の企業の割合が40.75%と初めて40%を超え、売上高10億円から100億円未満の企業は29.03%、10億円未満の企業が30.22%となった。これは大企業向け営業を重視しているためではなく、「売り上げの金額ベースではどの層の顧客売り上げも伸びているが、売り上げ100億円以上の企業は案件額が大きくなる傾向があるため、シェアとしては売上高100億円以上の企業の割合が高くなった」(大塚社長)ことが理由だとする。

 顧客の業種別売り上げ構成比では製造業の比率が増加し、25.05%となった。ただし、「それを実証する結果となった。その他の業種も金額ベースでは売り上げが伸張している」と全業種で売り上げ増加傾向が出てきている。

 大塚商会単体での重点戦略事業の業績は、たのめーるを代表とするMRO(Maintenance, Repair and Operations)事業が21.5%増の636億1800万円、オリジナル業務システムSMILE事業が0.3%減の205億7600万円、そのうち保守事業まで含めたものは19.9%増の141億1200万円、ドキュメントマネジメントシステムODS21事業が30.0%増の330億6800万円、セキュリティのOSM事業が93.0%増の191億600万円となった。

 同じく単体のハードウェアの販売台数は、複写機が1.5%増の3万26台、うちカラー複写機が11.0%増の1万6395台、サーバーが29.1%増の3万3477台、パソコンが25.8%増の55万2587台となった。


大塚商会単体での顧客企業の年商別売上構成は、年々年商100億円以上の企業の割合が増加し、2005年度はついに40%を突破 大塚商会単体での顧客企業の業種別売上構成 営業支援システムSPRの活用浸透によって社員一人あたりの売上高、営業利益が確実に向上している

 今後の計画としては、2006年12月期は、連結売上高が430億円、営業利益が238億円、経常利益が240億円、当期純利益が132億円と予想している。

 「企業には増収増益を果たす義務がある。従前にはなかったメニューを新たに加え、引き続き増収増益を達成したい」(大塚社長)

 セグメント別では、システムインテグレーションが2851億円、サービス&サポートが1865億円、その他の事業が24億円となっている。


2006年12月期以降の連結売上高および利益の計画
セグメント別売上高計画

 単体の重点戦略事業の計画では、MROが17.9%の750億円、SMILEが10.5%増の156億円、ODS21が20.1%増の397億円、OSMが57.0%増の300億円。ハードウェアの販売台数は、複写機が1.6%増の3万500台、うちカラー複写機が11.0%増の1万8200台、サーバーが6.0%増の3万5500台、パソコンが4.2%増の57万6000台。パソコンの伸び率が低いのは、「前年に大型商談があったために、伸張率を低く抑えたため」となっている。

 これら数値目標を実現するための中期経営目標については「社長に就任してからの方針はほとんど変わっていない」(大塚社長)と大きく変更する意志はないことを強調。その上で、人員計画は現状のまま横ばいを継続するが、増収・増益による業績拡大、顧客データの活用による需要開拓、人・物・金の効率活用による生産性の向上などを目標として掲げる。

 「営業利益率、経常利益率ともに6%台を目指す。これまでオフコンを販売していた時代の最高値である4%を目標としていたが、一昨年度に4.6%となり、昨年度は5.4%と4%をクリアしたため、6%という目標を掲げる。企業によっては10%を目標とするところもあるが、当社の場合。顧客と直接接することが多いために、業績が好調というニュースを見て値下げ要求も起こるし、利益をあまり独り占めしてしまえば、お客様からの支持も失う。今後はむやみに目標値をあげることよりも、絶対額伸張を目指したい」(大塚社長)

 今後の目標施策としては、(1)66万社の既存顧客との取引深耕、(2)「たのめーる」戦略による新規顧客開拓推進、(3)「SPR」のさらなる進化と活用推進、(4)営業支援センター対応拡大による効率アップ、(5)新規事業への取り組み、の5点を掲げている。

 施策目標も昨年と大きく変化はないが、「毎月、1万社ペースで取引企業の数が増えている。オフィス、コピー、インターネットはどの企業にも必要なものであるが、このうちどれかひとつだけしか大塚商会からは導入していないという企業も多く、本当のワンストップソリューションには届いていない」とより、取引商品を拡大することを目指す。

 たのめーるは企業との取引口座拡大に大きく寄与し、2005年には44万8812口座となったが、「企業との接点としての役割は順調に果たしており、今後もこの戦略は継続していく」方針だ。

 そのために、営業支援システムであるSPRの活用の浸透をはかり、顧客のプロフィール、過去の取引、提案状況、ニーズなどを的確にとらえていくために、掲載する情報件数を増やすことで受注率向上につなげていく。

 2006年度に計画している新事業としては、すでにスタートしているたのめーるの仕組みを使って企業の購買支援をおこなう「たのめーるプラス」が現状では契約社数136社、稼働企業数15社を今期500社を目標とする。

 企業のビジネスを代行する「たよれーる」事業は、現行の経理業務振り込み代行サービスから、データ入力業務、人事管理業務、社内教育支援など拡大し、企業活動全般を支援する内容へ拡大することを目指す。

 また、ITの導入にまつわる調査や管理から、運用サポート、利用している状況の管理などすべてをワンストップでサポートする「おたすけくん」を新たに開始する計画だ。



URL
  株式会社大塚商会
  http://www.otsuka-shokai.co.jp/
  ニュースリリース
  http://www.otsuka-shokai.co.jp/company/release/news1809.htm


( 三浦 優子 )
2006/02/03 00:00

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