|
執行役専務の三好崇司氏
|
株式会社日立製作所(以下、日立)は2月3日、2005年度第3四半期の連結決算を発表した。それによると、売上高は前年同期比6%増の2兆2588億円、営業利益は同14%増の391億円とともに増加している。一方で、前年同期にプリンタ事業の売却益とエルピーダメモリの上場による持ち分変動損益があった関係で、営業外収益が減少。その影響などもあり、税引前当期純利益は同16%減の596億円、当期純利益は同79%減の54億円に減少している。
セグメント別では、ストレージ、サーバーの売り上げ増の影響などにより、情報通信システム事業が売上高で前年同期比6%増の5113億円を記録。特にストレージの中のSAN/NASソリューション事業では、同35%増と大幅に増加しており、年間の目標を期初見込みより200億円増の3100億円に上方修正している。一方、74億円と大幅な赤字だったHDD事業やPC事業が不振だったこと、また前年同期に子会社の代行返上益が計上されていたこともあって、営業利益は前年同期から75%減少した5億円となった。
それでもHDD事業は、日立グローバルストレージテクノロジーズの10~12月期(決算期の違いによって日立の連結決算では第4四半期に含まれる)に業績が改善し、売上高1508億円、営業利益48億円の黒字化を達成したという。「当初見通しでは同期の黒字化が難しいと見ていたが、2.5/3.5型で需要が旺盛だったほか、歩留まりの改善、生産効率の向上などによって黒字化を達成できた」(執行役専務の三好崇司氏)。なお通期でも売上高4965億円、営業損益がマイナス270億円と期初計画より上ぶれしている。
また電子デバイス事業は、売上高が前年同期比1%減の2966億円、営業利益が同186%増の65億円。日立ハイテクノロジーズの液晶関連製造装置やディスプレイが中小型液晶を中心に堅調に推移し、売上高はほぼ前年同期並みとなった一方、ディスプレイの赤字幅が前年同期よりも減少したため、大幅な増益を記録している。
デジタルメディア・民生機器は売上高が前年同期比11%増の3623億円、営業損益がマイナス58億円。前年同期より10万台増の17万台を出荷したプラズマテレビをはじめとするデジタルメディア製品や、日立マクセルが伸長して売り上げ増となったが、「富士通日立プラズマディスプレイの赤字などによって全体でも赤字になった」(三好氏)。
高機能材料は売上高で前年同期比9%増の4142億円、営業利益で40%増の309億円、電力・産業システムは、売上高で前年同期比8%増の6057億円、営業利益で同117%増の129億円といずれも好調。そのほか、物流およびサービスは売上高が同2%増の3171億円、営業利益が同54%減の11億円と増収減益、金融サービスは売上高が同3%減の1268億円、営業利益が20%増の96億円と減収増益になっている。
なお三好氏は、「(第3四半期は)全体として期初計画よりも上ぶれしている」としたものの、「通期についてはこれから慎重に見極めたい」と述べ、今回の通期見通しの修正は見送っている。
■ URL
株式会社日立製作所
http://www.hitachi.co.jp/
ニュースリリース
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2006/02/0203.html
■ 関連記事
・ 日立、情報通信事業の悪化で通期予想を下方修正(2005/02/02)
・ 日立、2005年度上半期連結決算は増収減益-HDD事業は不振続く(2005/10/31)
( 石井 一志 )
2006/02/03 19:22
|