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トレンドマイクロ、2006年はネットワークインフラへのセキュリティ統合を促進

2005年度連結決算は増収増益

代表取締役COO兼CFOのマヘンドラ・ネギ氏
 トレンドマイクロ株式会社は2月10日、2005年度通期の連結決算を発表した。2005年度通期の売上高は、前年比18%増の730億3000万円、営業利益は6%増の275億7200万円、税引前利益は11%増の291億800万円、当期純利益は18%増の186億7000万円となった(いずれも米国会計基準)。

 地域別売上高を見ると、日本が前年比16%増の294億1600万円、北米が30%増の154億1700万円、欧州が12%増の183億7900万円。売上高に対する地域別の構成を見ると、日本が全体の40%を占め、欧州が25%、北米が21%となっている。同社代表取締役COO兼CFOのマヘンドラ・ネギ氏は、「現在、日本の割合が大きいが、将来的には、1/3ずつの割合にまで高めていきたい」と、北米・欧州でのさらなる売り上げ増を目指す考えであるとした。

 2006年度第1四半期の業績予想について、ネギ氏は「欧州は平均成長率を下回るが、日本と北米は平均成長率を上回る見込み」と説明。売上高は前年同期比13%増の195億円、営業利益は7%増の78億円、当期純利益は3%減の44億円を見込んでいる。


代表取締役社長兼CEOのエバ・チェン氏
 同社代表取締役社長兼CEOのエバ・チェン氏は、2005年を振り返り、「セキュリティ業界へのマイクロソフトの参入や、スパイウェアやボットなど新しいネットワークの脅威などがあった。また、ワイヤレス接続の普及から、ネットワークの境界がなくなり、より脅威にさらされる環境となっている」と説明。また、同社が2005年4月に起こしたパターンファイル障害にも触れ、「成長を停滞する出来事も起きたが、その後乗り越えることができた」と、引き続き業績が好調に推移していると強調した。

 今後の戦略については、ネットワークへの脅威にどう対応するかにフォーカスした対策を充実させる考えを示した。「私たちの強みは脅威から顧客を守ることにある。それをさらに強化するためにも、セキュリティをネットワークのインフラに統合することで、悪いコードが入らないようにする」(チェン氏)。これを実現するための同社のソリューションとしてEPS(Enterprise Protection Strategy)を紹介。EPSは、ゼロデイアタックなどの脅威から守るために、新たな脅威を監視し、ポリシーを徹底し、大規模感染を予防し、感染機器を復旧させるというサイクルにより、企業のネットワークを防御するというものだ。チェン氏はEPS実現のための製品として、シスコと共同開発するNAC対応ソリューションやウイルス検知アプライアンス「Network VirusWall」などを紹介した。


同社のエンタープライズ戦略概念図 シスコとの製品ロードマップ

日本代表の大三川彰彦氏

2006年の製品ロードマップ
 日本国内の戦略について、日本代表の大三川彰彦氏は、「2005年は新製品が少なかったが、今年は多くの製品を発表する」と紹介。「これまでは、セキュリティソフトが中心であったが、今後アプライアンスやコンサルティングなど、トレンドマイクロが持つコアテクノロジーを生かしつつ、さまざまな形態の製品や専門性を追求した製品を投入したい」と、幅広い分野で同社の強みを生かして展開すると述べた。

 日本で1月より提供を始めたシスコとの協業製品については、「OEM提供している製品そのものの売上は大きいものではない。ただし、それに関連してデスクトップ向け製品などで弊社製品を採用していただけるとみている。シスコ製品のシェアは非常に高いので期待している」(大三川氏)と、企業での採用増につながるとした。

 また、米Microsoftが発表したPC向けセキュリティサービス「Windows OneCare Live」については、「われわれも同様の製品を出しており、OneCareよりも安く提供しているので価格面でのプレッシャーは感じない。あくまでも競合が1社増えただけ。きちんと対応していく」(チェン氏)と語り、大きな影響はないとした。




URL
  トレンドマイクロ株式会社
  http://www.trendmicro.co.jp/


( 福浦 一広 )
2006/02/10 17:19

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