Enterprise Watch
最新ニュース

FJB、中期経営3カ年計画を策定-踊り場から持続的成長への転換を目指す


中期経営方針

鈴木國明社長
 富士通ビジネスシステム株式会社(FJB)は2月22日、2006年度(2007年3月期)から2008年度(2009年3月期)までの中期経営3カ年計画を策定したと発表した。

 今回の中期経営計画では、「持続的成長を実現する企業への変革」を基本方針に掲げ、過去のディーラーモデルからの完全脱却とITソリューションプロバイダ事業モデルへの変革を行うための具体策を示した。具体的な目標としては、2008年度に連結売上高1870億円、営業利益56億円、経常利益44億円、純利益22億円を目指す。

 鈴木國明社長は、現在FJBが抱えている経営課題について「ソフトウェアサービスは高い利益率を確保している一方で、ハード/保守サービスの利益率は減少を続けている。そのため、2001年度以降、売上・利益ともに踊り場状態から抜け出せていない」と指摘。「3カ年計画では、この状況を打破するために、経営資源の選択と集中を進め、持続的に成長できる基盤づくりに力を注いでいく。2008年度には営業利益率を3.0%まで引き上げ、次の段階で5.0%以上を目指す」とした。

 そのための施策として、まず重点対象市場を明確にしたビジネスゾーン別の戦略の立案と営業活動を推進していく方針を掲げ、「中堅中小企業ビジネス」、「自治体(中小規模)ビジネス」、「医療(中小規模病院等)ビジネス」、「大手企業向けビジネス」の4つの市場をセグメント化し、それぞれマーケティングを強化することで売上の拡大と収益性の向上を目指す。


 「中堅中小企業ビジネス」については、成長分野・地域、成長企業をビジネスゾーンとし、コンサル型提案スタイルによるビジネスアプローチ、自社ソリューションの展開強化などによって、2008年度に600億円の売り上げを見込む。

 「自治体ビジネス」は、30万人未満の市町村をターゲットに、住民・利用者向けソリューションおよび、それを支える自治体システムを全国展開するほか、複数自治体による共同運用アウトソーシングへの取り組みを進めていく。2008年度の売り上げ目標は160億円。

 「医療ビジネス」では、300床未満の中小規模病院をビジネスゾーンに設定。電子カルテやオーダリングシステムの集中展開、介護「WIN CARE」と調剤「WebAS/調剤名人」のビジネス推進などにより、2008年度に80億円の売上高を目指す。

 「大手企業向けビジネス」については、富士通グループとしての強みを生かし、大手顧客の部門・部局および大手顧客の関連会社・取引先をターゲットに、ITマネジメントサービスを中心としたソフトサービスにより収益性向上を図る。2008年度の売上は630億円を見込んでいる。

 また、利益成長に向けた事業戦略としては、自社ソリューション「WebASシリーズ」と「ITマネジメントサービス」の徹底強化を図る方針。

 「WebASシリーズ」では、業種別ソリューションの新規開発や専門分野に特化したソフトベンダーとのアライアンスを進めることで品揃えを強化。「従来までは蓄積した事例を基にビジネス展開をしていたが、今後は積極的に投資を行い、ラインアップを拡充していく」(鈴木社長)考えで、2008年度には、部品(コンポーネント)数3500、ソリューション数50業種業務、売上100億円、販売本数700本を目指す。この分野に向けては約30億円の投資を行う考え。

 さらに、コンサル型提案スタイルによるビジネス拡大を目指し、コンサルティング営業を2005年度180人から2008年度には450人まで増やす計画。

 「ITマネジメントサービス」については、アプリケーション運用マネジメントサービスの強化、セキュリティ運用マネジメントサービスの拡大、コンサルティングサービスの確立などによって商品力の強化を図るとともに、戦略的アライアンスの推進、サービス品質の強化・標準化を進めていく。2008年度には総売上高230億円、年平均伸長率115%を見込む。


 中期経営計画を実現するための組織力の強化ポイントとしては「フォーメーションの変革」をテーマに、1)営業部門の成長市場への重点配置、2)システム部門におけるプロジェクトマネジメントの強化と生産性向上、3)サポートサービス部門の再構築の3点を挙げた。

 とくに営業部門の重点配置については、東京地区へのシフトをさらに進めるとともに、地域における都市圏への人員集中を行っていく。これによって、2005年度の東京地区の売上比率58%、人員比率48%を2008年度には売上比率60%、人員比率50%まで高める予定。

 サポートサービス部門の再構築では、利益率の悪化しているハードウェア保守サービスの要員を専門分野へシフトさせるとともに、マルチベンダー保守の強化やコンストラクション部門との連携強化による新分野保守の拡大を図っていく方針。

 なお、今回の中期経営計画では、内部統制とコンプライアンス強化への取り組みにも着手。具体的には、日本版SOX法を視野に入れた業務プロセスの見直し・標準化と、より安定性、信頼性、効率性の高いマネジメントシステムの再構築を目指す。また、自社を事例モデルとした内部統制ソリューションの構築も進めていくとしている。



URL
  富士通ビジネスシステム株式会社
  http://www.fjb.fujitsu.com/
  プレスリリース
  http://www.fjb.fujitsu.com/news/2006/20060222_02.html


( 唐沢 正和 )
2006/02/23 11:12

Enterprise Watch ホームページ
Copyright (c) 2006 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.