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日本IBM、「Workplace Forum」開催-戦略とロードマップなどを紹介


Lotus事業部・澤田千尋事業部長
 日本アイ・ビー・エム株式会社は2月24日、人・プロセス・情報のフロントエンド統合環境「IBM Workplace」にフォーカスした初めてのイベント「Workplace Forum」を開催した。

 このフォーラムでは、「人・プロセス・情報の高度な連携~IBM Workplaceが実現する企業変革とは」をテーマに掲げ、3トラック14セッションを設けてIBM Workplaceの最新情報や製品戦略などを紹介した。

 Lotus事業部・澤田千尋事業部長は、「何年か前にIBM Workplaceの製品体系を発表したが、当時は技術的な部分が完全に整っていなかったため、ユーザーに多少の混乱を招いた経緯があった。ここにきて技術面が追いついてきたのと同時に、ユーザーの認識も高まってきたことから、今回のフォーラムでIBM Workplaceを大きくアピールすることにした」とその狙いを語った。


Notes/DominoとPortal/Workplace Productsの統合
 各セッションに先立って行われた基調講演「今明かされるIBM Workplaceの全貌と日本IBMにおける実践例」では、「Lotus SoftwareとIBM Workplace戦略」、「IBM WorkplaceのテクノロジーとLotus Notes/Dominoの進化」、「IBMにおけるワークプレース実践例」という3つのテーマに分け、詳しく内容説明を行った。

 「Lotus SoftwareとIBM Workplace戦略」では、まず「Lotus Notes」のビジネスが好調に推移していることを挙げ、「ワールドワイドでNotesのクライアントライセンスの売り上げは1億2500万本を突破しており、2005年の1年間で競合製品からの乗り換えが1000件以上あった。また、すでに最新版のNotes/Domino 7に300万ユーザーがバージョンアップしている」(澤田事業部長)という。

 そして、「こうしたNotes/Dominoの勢いを発展させるかたちで、IBM Workplaceへと集約させていく。IBM Workplaceによって、プロセス統合や情報統合をフロントエンドで行える環境を提供することで、個人個人の生産性を高め、より企業の競争力を高めていく」(澤田事業部長)と、その目指す方向性を語った。

 IBM Workplace実現へのロードマップについては、まずクライアントサイドの動きとして、現時点では「Notes 7」がリッチ・クライアントの「Workplace Managed Client 2.5」にプラグインの形で統合できる段階だが、2007年初頭には「Hannover」と呼ばれる新しいNotesクライアントを投入し、この時点でNotesクライアントとリッチクライアントを完全統合する計画を明らかにした。

 一方、サーバーサイドの動きでは、Hannoverが出荷された時点で、「Domino 7サーバー」の次期バージョン「Domino 8サーバー(仮称)」を投入し、Web系のポータル製品「WebSphere Portal 6.0」、Web系のコラボレーション製品「Workplace Products 3.0」との製品連携を行う計画。そして、2008年のタイミングで「Domino 8+サーバー(仮称)」を発表し、これらを完全統合させるとした。


テクニカル・セールス・サポートの関孝則技術理事
 次のテーマ「IBM WorkplaceのテクノロジーとLotus Notes/Dominoの進化」では、テクニカル・セールス・サポートの関孝則技術理事が、より技術的な観点からIBM Workplaceについて解説した。

 関技術理事は、「これまでNotesはクローズドの世界でシステムが構築されていたが、ようやくオープンの技術が準備できた。Workplaceのオープンな環境において、これからNotesはさまざまなシステムと融合していくことになる」と語る。

 また、リッチクライアントへの統合による製品レベルでのメリットとしては、「操作性と機能性が高く、TCOの低い、ポータル的アプリケーション」の実現を挙げた。「ブラウザベースのアプリケーションは、TCOは低いが操作性や機能性には劣る。一方、クライアント/サーバーアプリケーションは、操作性や機能性に優れているが、各個人への配布が必要などTCOは高くなる。この両者のメリットを得られるのがリッチクライアントだ」(関技術理事)とした。


コンサルティング・SI事業 SOA事業推進の高橋和子部長
 最後のテーマ「IBMにおけるワークプレース実践例」では、実際に日本IBMが利用しているオンデマンド・ワークプレースの導入経緯や、導入後のワークスタイルの変革などについて、コンサルティング・SI事業 SOA事業推進の高橋和子部長が説明した。

 高橋部長は、「IBMの業態はこの10年間で大きく変化してきた。1990年はハードウェア中心だったが、2004年にはソフトウェアがビジネスの中心になっている。これにともない、社内のイントラネットシステムも変革が進み、現在のオンデマンド・ワークプレースへと進化していった」という。

 具体的に、オンデマンド・ワークプレースへの進化にあたっては3つのフェーズがあったという。第1のフェーズ(1996~1999年)は、情報提供にフォーカスにした「Webサイトモデル」。第2フェーズ(1998~2002年)は、Web上での機能実行を実現した「オーディエンスモデル」。そして、第3フェーズ(2002~2006年)でオンデマンド・ワークプレースとなる「ロールモデル」へ進化したという。

 そして、同社のオンデマンド・ワークプレースの特徴とメリットについて、1)IBM資源へパーソナライズされたアクセスの“場”を提供、2)コンテンツ・学習・経験・コラボレーション・ビジネスアプリケーションの統合を実現、3)ロール(役割)ベースの資料配付による生産性向上、4)再利用により開発&適用のコストを削減、という4点を挙げた。



URL
  日本アイ・ビー・エム株式会社
  http://www.ibm.com/jp/
  Workplace Forum
  http://www-06.ibm.com/jp/software/lotus/events/workplace/


( 唐沢 正和 )
2006/02/27 09:04

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