|
Levantaのマーケティング&プロダクト担当ディレクタ、デービット・デニス氏
|
Linuxシステム管理のベンダである米Levantaは2月27日、Linux管理に関する調査報告書「Get the Truth on Linux Management(Linux管理の実情)」についての記者説明会を開催した。
この調査報告書は、Open Source Development Labs(OSDL)と同メンバー企業であるLevantaが共同スポンサーとなり、調査会社の米Enterprise Management Associatesが2005年10月、11月に調査を実施したもの。200以上のエンドユーザーからの回答をもとに、Linux管理に関する詳細な分析結果が報告されている。
Levantaのマーケティング&プロダクト担当ディレクタ、デービット・デニス氏は、「今回の調査は、数年前にMicrosoftが実施した調査“Get the Facts”に対抗するものになる。Microsoftの調査では、WindowsよりもLinuxの方がTCO(総所有コスト)が高く、システム管理コストもかさむと報告されているが、これは中小規模企業におけるLinuxへのマイグレーションを阻止することが目的。現在のLinuxディストリビューションは管理性が向上しており、その事実を裏付けるために新しい調査が行われるべきと判断した」と、今回の調査を実施した背景を述べている。
そして、「実際に調査結果をみると、Linux環境の管理状況は、コスト効率も信頼性もWindowsよりも優れているとの回答を得た」(デニス氏)として、Microsoftの調査結果と異なるポイントをいくつか指摘した。
まず、Linux管理作業にかかる労力について、「LinuxとWindowsを導入している企業の88%は、Linuxの方が管理労力が少ない」、「Linux管理にかかる労力は、最悪の場合でもWindowsと同等であると97%が確信している」、「高度な管理ツールを利用している回答者の全員が、Linuxの管理作業はWindowsと同等、またはWindowsよりも簡単である」との回答を得たという。
次にLinuxの管理コストに関してデニス氏は、「Linux管理者とWindows管理者の給料は同等であり、サーバー1台あたりの人件費は大規模システムではLinuxの方が圧倒的に安い。さらに、Linux管理者はWindows管理者に比べて、1人あたりでより多くサーバーを管理できる」との調査結果を説明した。
Linuxでのパッチ管理についても触れ、「Microsoftの調査ではLinuxのパッチ管理には大変な労力がかかると報告されているが、今回の調査によると、大半のLinux管理者がパッチ管理にかける時間は、サーバー1台につき毎週5分以内であることがわかった。この労力は、高度な管理ツールによってさらに少なくなっている」(デニス氏)とした。
|
|
|
LinuxとWindowsの管理に要する労力の比較
|
管理コスト面の比較
|
パッチ管理面の比較
|
今回の調査報告書は、全般的にWindowsに対するLinux管理の優位性を訴えるものになっているが、現時点でもWindowsの方が優位であるポイントについてデニス氏は、「ストレージ管理の面では、Windowsと同等、またはWindowsの方が優位だという結果がでている。SANとNASの両方に対応できていないという点がLinuxの少し弱いポイント」と説明している。
最後にデニス氏は、「1つの企業が行った調査結果だけでは、最良の判断をするのは困難である。別の視点、角度から実施した今回の調査によって、公正でバランスのとれた議論と判断が行われることに期待したい」と語った。
なお、調査方法としては、無作為に抽出したIT企業数千社に対する電話調査、自主回答によるWeb調査、さらにはCIOおよびITマネージャー13人への詳細なインタビューが行われた。
回答者はさまざまな業界にまたがっており、テクノロジープロバイダ/サービスプロバイダ(32%)、教育(17%)、コンサルティング(8%)、通信(7%)など。また、回答者のほとんどが年商500万ドル以下の中小規模企業で、従業員規模もほとんどが従業員500人以下だった。
■ URL
米Levanta
http://www.linuxcare.com/
OSDLジャパン
http://www.osdl.jp/
プレスリリース(日本語抄訳)
http://www.osdl.jp/newsroom/press_releases/2006/2006_02_13_beaverton.html
( 唐沢 正和 )
2006/02/27 18:53
|