3月1日から東京国際フォーラムで開催されている「Oracle OpenWorld Tokyo 2006」。2日目となる3月2日には、米Oracleのラリー・エリソンCEOが基調講演に登場。「より多くの顧客を獲得してナンバーワンになれば、Oracleにも顧客にもメリットが生まれる」と、終始強気の発言を繰り返した。
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米Oracleのラリー・エリソンCEO
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基調講演は和太鼓と横笛の演奏から幕を開けた
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Oracleは数多くの製品を手がけているが、その中でも最も広く知られているのはデータベースであり、とても高い実績を残してきているのは誰もが認める通りだ。エリソン氏はその強みとしてグリッドを挙げ、「ソフトウェアを複数のPCのサーバーで走らせ、巨大なスーパーコンピュータを使っているかのように提供する。大型コンピュータをもっと大型に乗り換えるのは高価だし、ダウンタイムも生じるが、グリッドでは、もっと容量が必要な時はもう1台つなげばいい」と、低コストで、拡張性に富むグリッドの利点を説明する。
また「メインフレームはコンポーネントの障害でアプリケーションが止まってしまうが、グリッドでは数台のPCが止まってもそのまま動く。システムがダウンすることは決してない。これこそは、高性能データコンピューティングの将来だ」と述べて、可用性の面でもグリッドに大きな優位性があるとした。
さらにミドルウェアを提供していく上では、それが統合されていることも重要だと主張する。「従来はミドルウェアスイートにいろいろなコンポーネントがあったが、統合されておらず、ユーザーの責任においての統合だった。しかし当社では、多くのコンポーネントを標準ベースで提供しているし、すべて統合されている」と述べ、JavaやBPELといった標準技術への対応をいち早く済ませ、統合したスイートとして提供していることを強みとして、シェアでは負けている米IBMを追撃し、ナンバーワンを目指していくと宣言する。
エリソン氏がナンバーワンにこだわるのは、「決して自己満足ではない」(同氏)。「より多くの顧客を獲得すれば、エンジニアリングに関してそれだけ多くの投資ができ、継続的な改善をしていけるから。また、ボリュームでまかなえる分、アグレッシブに価格を下げることもできる」からだというのである。
残念ながらビジネスアプリケーション分野では、オラクルはまだナンバーワンではないが、エリソン氏は単純に製品別だけでなく、業界的に分析した方がいい場合もあるとして、「特有のビジネスの課題に照準を絞って提供したおかげで、当社は通信事業者や金融、リテール分野ではナンバーワンになった。それだけ、多くの価値を提案できるし、継続的にアプリケーションを向上させる努力をしている」と述べた。
こうして、イノベーションで価値を向上させ、ナンバーワンを目指していくのはもちろんだが、エリソン氏はまた買収も大きな役割を占めるとし、「イノベーションと買収の組み合わせが成長戦略。先進的なプレイヤーを買収して、アプリケーションスイートの中に統合していく」と語っている。
またこの日に製品を発表したエンタープライズサーチ分野に関しては、「世界で一番有名な検索会社はGoogle」としながらも、「インターネット検索のための技術を提供しているが、プライベートデータの検索は欠けている」と指摘。セキュリティに気を配った、セキュアエンタープライズサーチの領域に踏み込めたのは、「25年間、セキュリティ、認証に力を入れてきた成果」だとし、「信頼性、性能向上に努力を費やしてきたすべてが相まって、斬新なセキュアサーチを発表できる」と説明した。
「Oracleは業界でも古株になった。しかしそれでも革新は起こし続けなくてはいけない。先駆者となって新しい動向を牽引する立場を貫き通さなければならない」(エリソン氏)。
■ URL
Oracle OpenWorld Tokyo 2006
http://www.oracleopenworld.jp/
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( 石井 一志 )
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