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ソフトウェア事業担当、三浦浩常務執行役員
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IT業界におけるIBMソフトウェア事業の位置付け
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日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は3月9日、2006年のソフトウェア事業戦略についてプレス向けに説明会を開催した。説明会にはソフトウェア事業担当、三浦浩常務執行役員が出席し、「2006年のソフトウェア事業の戦略は大きく3つある。1つは高付加価値ソリューションの普及を促進すること。2つ目がオープンスタンダードの推進。そして3つ目が日本市場に適したビジネスの推進である」と発表。それぞれの事業戦略を詳しく説明した。
米IBMでは、2005年12月31日現在、世界で57カ所の研究開発拠点、2万2000人の開発者をもち、1万3206点ものソフトウェア製品を扱っているという。まず、三浦常務執行役員は、「これだけのラインアップをそろえてビジネスを展開している企業は他にはない」とし、業界におけるIBMソフトウェア事業の位置付けについて、「パッケージアプリケーションとオペレーティングシステムの中間領域に位置するミドルウェアをメインに展開している」と述べた。
そして、ミドルウェア製品にサポートサービスやコンサルテーションを組み合わせたソリューションを「高付加価値ソリューション」として定義し、「2006年は、この高付加価値ソリューションの普及促進に力を注いでいく」(三浦常務執行役員)考えを示した。
具体的な戦略としては、1)SOA、2)企業改革法関連、3)ポータル、4)ITIL、5)ITLM(IT Lifecycle Management)-の5分野に対象領域をフォーカスし、現在20種類の高付加価値ソリューションを年内に30種類まで拡充させる計画。また、3月1日には高付加価値ソリューションのセールス/プロモーションチームを30人体制で発足し、ハードウェア部門、サービス部門、コンサルティング部門との協業に向けて活動を開始しているという。
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IBMのオープンソースへの貢献
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ミドルウェア製品における機能強化の歴史
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2006年の2つ目の重点戦略「オープンスタンダードの推進」については、「オープンソースミドルウェアの支援を拡大していくことで、日本IBMの高付加価値ミドルウェアをサポートできる層を増やしていく。業務アプリケーション開発にあたって、オープンスタンダードベースの高付加価値ミドルウェアをカスタマイズしていくことは、顧客にとってもリスクが少なく、リターンが大きい方法だろう」(三浦常務執行役員)とした。
オープンソース支援の具体的な活動としては、オープンソースミドルウェアの標準をつくるためのスポンサー、標準化の活動への参加、ソースコード自体のコミュニティへの提供、ライセンスの無償化、次世代SOAのオープン仕様「Service Component Architecture(SCA)」の推進などを行っている。
三浦常務執行役員は、「特に、約40億円規模の資産であった『Eclipse』は、コミュニティへの提供によって開発環境のデファクトスタンダードになりつつある。Eclipseが開発環境の標準として使われるようになれば、システム開発ツールの『Rational』が売れやすくなる」とオープンソース支援のビジネスメリットを語った。
3つ目の重点戦略「日本市場に適したビジネスの推進」では、まずミドルウェアの機能強化に向けてIBMが買収してきた企業のテクノロジーをいち早く国内に提供できる体制を整えていく。買収企業としては、昨年ではRational、OMEGAMON、今年はAscential、Micromuseに期待しているという。
また、ISVやシステムインテグレータなどのビジネスパートナーとの協業をさらに強化し、顧客ニーズにあったソリューションを共同で提供していく方針。三浦常務執行役員は、「パートナーとの協業は一昨年から進めてきたが、現在はソリューションのフォーカスを絞ったかたちで、多くのパートナーに当社のコミュニティに参加してもらっている。なかには、コミュニティに参加したことでビジネスボリュームが2倍になった、顧客数が何倍にも増えたというISVも出てきている」と、協業によるビジネス効果が上がってきていることを強調した。
■ URL
日本アイ・ビー・エム株式会社
http://www.ibm.com/jp/
( 唐沢 正和 )
2006/03/09 18:34
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