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NEC、矢野副社長が社長に昇格、金杉社長は副会長へ


新社長に就任する矢野薫氏(左)と、代表取締役会長の佐々木元氏
 日本電気株式会社(以下、NEC)は3月15日、代表取締役執行役員副社長の矢野薫氏が、代表取締役執行役員社長に昇格する人事を発表した。就任は4月1日付け。現社長の金杉明信氏は同日付けで取締役副会長に就任する。

 矢野氏は東京大学を卒業後、1966年にエンジニアとしてNECへ入社。ネットワーク系の事業を長く担当してきており、2002年にはNECネットワークス カンパニーの社長に就任。また2004年6月からNECの副社長を務めてきた。

 金杉社長の辞任は体調不良によるもの。代表取締役会長の佐々木元氏は、「社長の業務執行を続けるのが困難との判断。健康状態を考えると、残念だが辞任は致し方ないと判断した」と述べた。また新社長となる矢野氏については、「通信事業を再建した功績があり、研究開発部門担当の重責を果たしてきた。次世代ネットワーク(NGN)による社会の変革が起きようとしているこの時期に、今後のNECの成長戦略をけん引するのに最もふさわしい人物だと判断した」と紹介したほか、「副社長としての経営経験、技術やマーケットに対する知見、米国での国際経験などを持ち、社長を任せるにふさわしい人物」との金杉社長のコメントを紹介した。

 矢野氏は就任にあたり、「NGNは個人・企業の大きな活動の変化点を作るもので、当社にとってもビジネスチャンス。総合力を駆使して市場の創造に努めていきたい。また当社のDNAはイノベーションにあり、と思っている。これを全社の事業へのドライビングフォースにする」と抱負を述べただけでなく、「NEC全社の営業利益水準は満足できるものではない。中期的にこれを引き上げるのが自分の役目」と決意を表明。また「現在低迷している携帯電話、半導体の両事業をいかに早く黒字にするかが第1。第2が、IT・ネットワークソリューションの利益率を引き上げること」と語り、2つの課題に積極的に取り組む意向を示している。

 このうち、1つ目の課題である赤字事業については、金杉社長から示されていたことを受け継ぎ、「引き続きスピード感を持って(立て直しを)コミットする」と宣言。一方の、UNIVERGEをはじめとするIT・ネットワークソリューションについても、「当社をIT・ネットワークの統合ソリューションの会社にするという旗印を掲げたときに、金杉社長の補佐として進めてきたので、旗印は変わらない」と述べ、事業方針は受け継いでいくことを表明している。

 さらに、「UNIVERGEはおかげさまでようやく市場での認知度もあがり、IPベースネットワークが音声だけでなく、データ、画像などを伝達するメディアとして共通に使える、それが企業の情報システムを変えていく起爆剤になる、という理解がお客様にも深まってきた」との現状を説明。加えて、「この分野は非常に進歩が早い。同じことをやっていけばいいのではなく、NGN元年の今年は大きな変化点に来たと思っている。(自分は)長年ネットワーク事業に携わってきたので、金杉社長よりは若干強みがある。市場・時代・ニーズの変化にあわせて俊敏に変える部分、変えない部分があると考えている」と述べた。

 「当社では過去数年間、改革を進めてきた。攻めに転じるときに金杉社長の入院をむかえたが、引き続き攻めの経営をしていく」(矢野氏)。



URL
  日本電気株式会社
  http://www.nec.co.jp/
  プレスリリース
  http://www.nec.co.jp/press/ja/0603/1502.html


( 石井 一志 )
2006/03/15 20:12

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