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英Symbianのナイジェル・クリフォードCEO
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Symbian OS搭載携帯電話の増加推移
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シンビアン株式会社は3月24日、英国本社のナイジェル・クリフォードCEOが来日したことを機に、同社の提供する携帯電話向けオープンOS「Symbian OS」の世界市場における事業戦略、および日本での事業展開などについて記者説明会を開催した。
クリフォードCEOはまず、2005年までのSymbian OS搭載携帯電話の増加推移を振り返り、「2002年は1年間で100万台の増加ペースだったが、2003年は1四半期で100万台、2004年後半は2週間で100万台、そして2005年には1週間に100万台ペースで出荷されるようになった。これは毎秒1台ずつSymbian OS搭載携帯電話が普及していることを意味する。機種数も2005年末で60機種まで増加し、現在も同等数の機種が開発されている」として、Symbian OSが急速にマスマーケットに広がっていることを説明した。
Symbian OS事業の全体概況としては、2005年末現在で累計5880万台のSymbian OS搭載携帯電話が出荷され、携帯電話世界市場の85%を占める13社のメーカーから搭載製品が発売されている。キャリアについては、250社以上の主要キャリアに出荷実績をもち、パートナー関連でもプラチナパートナー数は300社に達しているという。
クリフォードCEOはSymbian OSの事業展開について、「3つのステップで事業を進めている。まずフェーズ1で、Symbian OSの機能が十分に使えることを証明し、フェーズ2では特定市場において浸透させることに成功した。実際にスマートフォン市場のマーケットリーダーになっており、とくに3G携帯電話では2005年に販売された製品の35%がSymbian OS搭載機だった」という。
そして、「現在は最終段階のフェーズ3に入りつつある。フェーズ3ではマスマーケットをターゲットに、さらに多くの携帯電話にSymbian OSが搭載され、多種多様のシーンで使われるように普及を加速させていく」とし、そのための施策としてマスマーケット向けの最新バージョン「Symbian OS v9」において新ライセンス価格を採用。ライセンス価格を引き下げることによって、低コストで出荷台数増加が見込めるセグメントでのSymbian OSの普及促進を図っていく。
また、今年2月8日にはフリースケール社と共同でリファレンスデザインを発表。マスマーケットをターゲットとした3Gシングルコアプラットフォームを開発し、メーカーがより速く、より低いコストでより多くの3G携帯電話を開発できる環境を提供している。「このプラットフォームによって、メーカーは開発から市場投入までの時間を従来の半分に短縮することができるとともに、差別化に向けた付加価値の部分に集中できる」(クリフォードCEO)としている。
日本市場の位置づけについては、「日本市場は非常に重要なマーケットだと認識している。2005年の全世界売り上げのうち、日本市場は12%を占めたが、他の地域と比べて最も高い成長率を達成した。実際、2005年下半期に発売された18機種のうち半分の9機種が日本市場向けであった」(クリフォードCEO)とその重要性を強調。さらに、「日本はモバイルコミュニケーションの先進市場であり、製品の高機能性だけでなく高品質、高性能性も求められる。こうした要求に応えられるのがSymbian OSの強みであり、日本のモバイル環境に非常に適している」として、今後の事業展開にも自信を見せた。
日本のパートナーとのコミュニケーションも積極的に行っており、富士通、三菱電機、ソニー・エリクソン、シャープの各社と定期的にReview Boardを開催しているほか、NTTドコモとのReview Boardではさらに密な連携体制を整えている。
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シンビアンの久晴彦社長
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日本でのビジネスの発展
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クリフォードCEOの来日会見を受け、シンビアン日本法人の久晴彦社長が、日本市場での事業戦略について詳しく説明を行った。
久社長によると、「日本では2003年に富士通から2機種が発売され、Symbian OS搭載携帯電話が初めて市場に登場した。2004にはノキアと松下電器の2社が加わり、2005年に三菱電機、モトローラ、シャープの3社、そして今年3月22日に日本で27機種目となるソニー・エリクソンの製品が発表になった。Symbian OSは開発が始まると、短期間に次々と製品が発表されるのが特徴で、NTTドコモのFOMA最新機種902iシリーズは全6社のうち4社がSymbian OSを採用している」という。
今後の展望については、「日本の携帯電話業界は、ナンバーポータビリティ開始を始め、新規事業者や海外メーカーの参入、3Gへの移行加速、買換需要の拡大、端末の高機能化、ワンセグ放送開始などさまざまなトピックスが控えている。こうしたなか、携帯電話事業者には、開発期間の短縮、コスト削減、セキュリティセーフティ対策、新規サービスにあった機能提供、海外事業の拡大などが求められるだろう」とし、「国内では32のパートナーと連携してSymbian OSビジネスに取り組んでいるが、この体制をさらに強化していく。とくに国内メーカーの海外進出を支援していきたい」と述べた。
このほか、海外メーカーの国内参入の支援や、NTTドコモの新サービスに対応した高機能の提供、新しいチップセットのサポート、セキュリティとセーフティー機能の強化などを今後の重点施策として挙げた。
■ URL
シンビアン株式会社
http://www.symbian.com/Japan/
( 唐沢 正和 )
2006/03/24 19:27
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