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インテル、社内のIT投資で17億ドルの価値を創出

2005年版ITパフォーマンスレポートを公開

「インテル IT 2005年 パフォーマンスレポート」
 インテル株式会社は、2005年における同社の社内向けIT投資の成果について明らかにした。

 これは、同社が「インテル IT パフォーマンスレポート」として、毎年、全世界で公表しているもので、今年で5年目。最先端のグローバルIT企業である同社が、自らのIT戦略によって、経営そのものをどれだけ変革させているかを示す資料となっている。

 現在、インテルでは、12万4000人にわたる社員および臨時社員が勤務し、57の地域と国に、124拠点を有している。

 21万にのぼるLANノードと、4685にのぼる無線LANのアクセスポンイトを持ち、ネットワーク上のデータ保存量は3.2TBにおよび、前年に比べて52%も増加している。また、一日あたりのデータ送受信量は前年比9%増の218TB、1カ月あたりのメッセージの送受信量は30%増にあたる1億1300万件にも達しているという。

 こうしたグローバル企業の同社が、2005年には過去最高の業績を達成しながらも、その一方で、社員1人あたりのIT支出は、前年に比べて8%削減となる1119ドル減の1万1191ドルに抑えたというのだ。


インテル情報システム部・海老澤正男部長
 インテルの情報システム部・海老澤正男部長は、「2005年は、ユーザーと結んだSLA(サービス・レベル・アグリーメント)において100%の目標を達成。さらに、ITサポートに対する顧客満足度に関して、『良い』または『非常に良い』と回答した比率が80%に達した」と語る。

 SLAでは、電子メールの稼働時間を99.5%の目標値に対して99.98%、ネットワークダウンまたはウイルスによる工場内での複数システムの稼働停止件数を5件以下としていたものを1件に留めたほか、業務の継続性として、重大な影響がある支障は0件に、重大な影響がない支障は1件に留めた。

 一方で、EM64Tをベースとした導入を促進することでスケーラビリティを向上。ノートパソコンが8割を占めるクライアントPC環境ととともに、無線LANアクセスポイントの拡大による、ワイヤレスをベースとした利用が可能なオフィスを、インテルの建物の94%を占めるようにしたことで、ユーザーの利用環境を向上。新規オフィスの構築にも設備投資を90%削減できるメリットが出たという。

 そのほかにも、モバイルコアをベースとしたXeonプロセッサの導入によりデータセンターの支出を削減。SAN上のディスクレスサーバーによるサーバーのTCO削減、オーダー管理システムにおいて、RISCからのItaniumへ移行することで、必要なサーバー数を40%以上削減し、応答時間を10分の1に短縮するといった効果が出ているという。

 「ビジネス価値に置き換えると、年間で17億ドルもの効果があった」と海老澤部長は語る。

 サプライチェーンで10億ドル、製品設計で3億8000万ドル、ITイノベーションで3200万ドルなどが主なビジネス価値の創出だ。

 なかでも、製品デザインプロセスでは、約3億ドルのビジネス価値が創出できたと同社では語る。

 シリコンのデザインエンジニアリング向けのサーバーを3万台から5万7000台へと増強。これに1億ドルの投資を行ったが、生産性の増大、コスト削減により、3倍のビジネス価値を創出した計算だ。

 とくに、ある計算センターでは、5000台のハイエンドRISCワークステーションを、Linux上で稼働するEM64T搭載の3600台のワークステーションに移行。これによって、同等のパフォーマンスを維持しながら2005年だけで1億110万ドルのコスト削減が達成できたという。


米Intel IT本部プリンシバルエンジニアのShesha Krishnapura氏
 米IntelのIT本部プリンシバルエンジニアのShesha Krishnapura氏は、「EDA(エンジニアリング・デザイン・オートメーション)の産業は、35億から40億ドル規模の規模と見ているが、インテルはEDAアプリケーションの最大の利用者であるといえよう。この1年の取り組みによって、EDAのサプライヤーが、IA上にLinuxへアプリケーションを移行させることを促進させたほか、EM64Tが、EDA分野において高い価値を提供できることを示す好例となった」と、対外的にも大きな影響を与えたことを指摘した。

 一方、IT部門の社員に対する「働きがいのある職場」環境の実現にも力を注いでいる。

 同社では、27カ国79箇所にITの拠点があり、9500人の社員がここに勤務している。IT部門の社員が、マネージャーの業績に対する満足度は91%に達し、IT部門の社員に対するトレーニングの満足度も90%に達した。また、安全に対するIT部門の社員の満足度は95%に達しているという。

 このように、インテルのIT投資は、同社の成長を維持する上で重要な役割を担っていることを示した。

 2006年に関しても、効率よく機能することが実証させているプロセスを保持し、引き続き、不要なビジネスおよびプロセスオーバーヘッドを削減していく、としている。

 なお、「インテル IT 2005年パフォーマンスレポート」は、今週中にも、インテル日本法人のホームページ上で日本語版が公開される予定である。



URL
  インテル株式会社
  http://www.intel.co.jp/


( 大河原 克行 )
2006/03/27 09:09

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