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日立・古川新社長、HDDなど不振3事業の下期黒字化をあらためてコミット


代表執行役 執行役社長の古川一夫氏
 株式会社日立製作所(以下、日立)は4月3日、1日付けで代表執行役 執行役社長に就任した古川一夫氏の記者会見を開催。その中で古川氏は「HDD、薄型テレビ、液晶の3事業を計画通り黒字化することが短期的な課題。下期の黒字化は絶対達成できる」と述べ、不採算部門の黒字化などによって、営業利益率5%を早期に実現すると主張した。

 古川氏は冒頭で、これまで行われてきた同社の事業構造改革の基本的な考え方は今後も堅持していくことを明らかにした。その上で、現在赤字であるHDD、薄型テレビ、液晶などについて、「これからの日立を支える事業だと確信し、積極的な投資を行ってきた。現時点では収益性に課題があるが、計画通りの黒字化を達成すべく全力をあげる」と述べた。このうちHDD事業の改善については、開発力の強化、品質・歩留まりの改善、中国での生産力の向上、の3点を柱に行ってきたとのことで、こうした効果により、2005年の第4四半期は黒字基調だと説明している。

 またグローバル企業としての最低ラインが営業利益率5%だとした古川氏は、「地道に収益回復に取り組み、できるだけ早くクリアしたい。グループの経営資源を効率よく活用することで収益力を高める仕組みを用意してきた。シナジーをより生かしていく」と述べたものの、具体的にいつまでに達成するという目標は示さず、「早期に」とするにとどまっている。

 古川氏は、今後経営を進めていく上で、「イノベーション」「グローバル」「シナジー」がキーワードだとする。イノベーションということでは、「技術進歩のスピードが速くなる中で、どの技術が本物か、先を読む力が必要になる。次世代の社会インフラを日立が世の中に先駆けて提供したい」と述べたほか、グローバル化では、「これからはグローバルに通用しないと淘汰(とうた)される。国内主体の発想を変え、多様性を受け入れる必要がある」と説明。

 シナジーでは、日立の持つ幅広い事業基盤における「事業シナジー」と、事業運用の効率化を図る「オペレーションシナジー」があるとする。古川氏は、事業シナジーについては「幅広い多様な企業を持つグループは世界に類を見ない」と述べ、総合力を発揮し、新たな価値を創出していくと抱負を語った。一方のオペレーションシナジーでは、グループとしての経営基盤を整理して、グループ内にあるリソースを最大限活用して、新たなつながりを見いだすことにより、グループの収益力の改善につなげる」と述べている。


 「総合、という看板には強いこだわりがある。社会の多様化が進む中で、日立の果たすべき役割はますます大きくなった。日立は今、もう一度原点に立ち返り、技術によって社会に貢献するという創業の理念を社員ひとりひとりが心に刻み、さらなる発展を遂げていきたい」(古川氏)。

 また、社長就任発表に際して掲げた「信頼、挑戦、飛躍」というキーワードからは「挑戦」を取り上げ、「日立で働く人々すべてが挑戦し続けることにより、日立はさらに発展していく。創業の精神である『開拓者精神』にもつながる挑戦の気概が、日立の発展の原動力。グローバルな企業になるべく、イノベーション、グローバル、シナジーをキーワードに挑戦をしていきたい」と述べ、あいさつを締めくくっていた。

 なお代表執行役 執行役会長に就任した前社長、庄山悦彦氏との関係については、「会長がグループ全体の選択を決め、自分が具体的なアクションを行っていく。会長を置いたのは、今まで以上にグループ経営を強化していこうということ。グループとしての力をさらに拡大する」と述べ、ここでもグループ全体での経営にこだわる姿勢を見せている。



URL
  株式会社日立製作所
  http://www.hitachi.co.jp/
  日立製作所社長就任会見での挨拶(抜粋)
  http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2006/04/0403a.html

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  ・ 日立、古川副社長が社長に昇格、庄山社長は会長へ(2005/12/15)


( 石井 一志 )
2006/04/03 18:17

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