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日本オラクル、金融事業戦略を説明-i-flexとの共同活動も推進中


執行役員 インダストリー第三統括本部 金融インダストリー本部長の桑原宏昭氏

i-flexへの資本参加の状況

日本オラクルの考える「次世代金融機関における情報システム」
 日本オラクル株式会社は4月6日、記者向けの説明会を開催し、同社の金融事業戦略を説明した。

 執行役員 インダストリー第三統括本部 金融インダストリー本部長の桑原宏昭氏によれば、日本オラクルは金融向けビジネスアプリケーション市場においては非常に強く、調査会社によっては7~8割のシェアがあるとされているという。桑原氏はその強さの源について、日本オラクルでは2000年から金融向けの専用ビジネスアプリケーションを提供しているほか、それに先立つ1998年からは、銀行ERP研究会を開き、「今後の銀行業界における情報経営はどうあるべきか」という議論をしてきた歴史に触れ、「一番最初に市場に入っていったのが成功のもと」と説明する。

 また米Oracleがここ数年、PeoplesoftをはじめOblix、TimesTen、Siebelといった企業を買収しただけでなく、インドのi-flexの株式を46%あまり取得するなど、企業買収戦略を進めているが、これも金融向けポートフォリオを拡充する上で高い効果があるという。

 特にコアバンキングへの参入を可能にしたi-flexの統合銀行業務パッケージ「FLEXCUBE」は、基幹系との融合による相乗効果が見込めるなど、高い可能性を秘めているとのこと。i-flexに関しては、本社側ではOracleのチャールズ・フィリップ社長が取締役に就任したほか、国内でもマーケティング、プリセールスの共同展開、複数の共有案件に対する共同の営業活動を開始するなど、協業が強化されている段階。

 日本オラクルは直接かかわっていないが、国内でも新生銀行、日本振興銀行などが採用を始めていて、i-flexに対するニーズがあることは証明されている。同社では、具体的な案件についてはこの場では言及しなかったが、すでに関心を示している企業があることを明らかにし、今後、公開が可能であれば随時発表していくとした。

 なお日本オラクルでは、今後の金融機関で必要とされるであろうソリューションとして、SOA(サービス指向アーキテクチャ)による、異なったソフト、ハードでの業務プロセス連携と、Enterprise Data Hubによる仮想的なマスター統合を想定している。

 これまでは、一元的なデータ管理の必要性から、巨大なデータウェアハウスによる物理的なデータ統合のアプローチを採用しているところが多かったとのことだが、この手法では、システム間接続のためのインターフェイス開発コストや、データウェアハウスの巨大化による保守費用の増大がネックになっていた。そこで日本オラクルでは、SOAとData Hubを用いたソリューションのメリットを訴えていく考え。

 インダストリー第三統括本部 金融インダストリー本部 ディレクタの島藤孝弘氏は、「今までの投資を守りながら、新しいアーキテクチャに移行可能。SOAによるプロセス連携と統合でコスト削減が図れるほか、BAM/BPELによって業務プロセスの可視化も実現できる」と説明した。



URL
  日本オラクル株式会社
  http://www.oracle.co.jp/


( 石井 一志 )
2006/04/06 18:26

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