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Nortel、コタ・キナバルでパートナーフォーラムを開催


フォーラムが開催されたマレーシア コタ・キナバルのシャングリラホテル
 加Nortel Networksは4月10日から13日、マレーシアのコタ・キナバルにおいて、アジア・パシフィック地区エグゼクティブ・パートナー・フォーラム(EXECUTIVE PARTNER FORUM 06)を開催した。このフォーラムは今年4回目にあたり、同地区のエグゼクティブ・パートナー達約160名が参加、日本からも9社16名が名を連ねた。ここでは、エンタープライズビジネスにフォーカスし、同社技術が顧客のビジネス戦略においていかに有益であるかを、プレゼンやミーティング、交流イベントなどを通じてアピールされ、同時に今後の方向性や製品戦略なども示された。


マイク・ザフィロフスキー新CEO就任効果てきめん

ビデオ会議で登場したマイク・ザフィロフスキーCEO
 トロントの本社からMCSを介したビデオ会議で登場したマイク・ザフィロフスキー氏は、昨年11月に新CEOに就任したばかりだ。同氏はこの30年間、General Electric社やMotorola社の経営最前線で活躍してきた人として知られるが、今日までわずか半年足らずではあるが、早くもその手腕を発揮している。ザフィロフスキーCEOは、今年2月から世界規模で展開する広告および会社全体のスローガンである“BUSINESS MADE SIMPLE”を旗頭に「顧客ニーズをにらんだ意思決定やビジネスプロセスの簡素化を行い、ソリューションも簡素化させる。結果、カスタマーのネットワークも簡素化させ、彼らの収益向上に貢献する」ことを強調した。

 その証として「Nortelのオペレーションコストは削減させつつもR&Dの費用として92億ドルを堅持。そこから生まれる高品質かつ高信頼のソリューションをパートナーたちとの確かな連携のもと、顧客にもたらすのだ」と、あたかも参加者達に宣誓するかのように改めて訴えた。とくに、Nortelではグローバルベースで12のR&Dセンターを所有し、Nortel全社員の3分の1がこれらに関与、うち80%が高付加価値のソフトウェア開発に従事している。これがとりもなおさず、Nortelが5500以上の特許を所有するゆえんである。また85以上の標準団体にも参加して活動を展開、あくまで標準に根ざしたソリューション開発に顧客やパートナーたちに安堵感をもたらしている。

 こうした姿勢がアジア・パシフィックにおけるビジネスで有効に働いてくることはいうまでもない。就任以来ザフィロフスキー氏は、グローバルにビジネス戦略を展開しつつも、新チーフストラテジーオフィサーほか肝となる幹部達を登用、フォーラム開催中の11日にもサービス部門強化のためにIBM出身のディートマー・ウェン氏を同部門プレジデントに任命したことを発表、引き続きマーケティングオフィサーほか要職につく人材を発掘中である旨を明らかにした。

 こうしたザフィロフスキー新CEOの情熱的な取り組みは、従来にもまして社内の評価を高め、フォーラムの進行をつかさどったアジア・パシフィック地区エンタープライズ・ネットワーク部門社長のリック・シート氏や同地区チーフオペレーティングオフィサーのマイク・パンジア氏らも口をそろえて「新CEOほど情熱的でエネルギッシュな人はいない。彼のおかげでNortelは明らかに変貌を遂げた。新幹部達すべてが彼のエネルギーを共有しNortel勝利に向けてこれまでになく燃えている」と、組織における人材の間でも、同社ソリューションが目指す“コラボレーション”が起こっていることをうかがわせた。Nortelはいま、これまでの顧客層に加えて、提携などにより、新たにSMB市場への進出もターゲットにすえた。ザフィロフスキー効果は、目に見える形で現れ始めてきている。


パートナーと一心同体で加速拡大させるアジア・パシフィック地区のビジネスチャンス

 アジア・パシフィック地区のエンタープライズ事業展開ではチャネルパートナー戦略が最重要という。とくに、補完的スキルとしてパートナー達に何を持ち込むか、逆にパートナー側からNortelには何を持ち込めるのか、パートナーとの間でどう精巧なロードマップをつくるか、パフォーマンスの測定管理をどう実現させるか、などを最重点課題にすえている。こうしたチャネルパートナー戦略を通じて、アジア・パシフィック地区の顧客の間のニーズとして根強い高信頼性や耐障害性の実現に注力し続けているのである。中でも耐障害性は肝にもなっており、かつてのデータ主役時代には故障復旧時間がおよそ30秒以内でも許されていたものが、データのみならず音声などIP電話のようなコンバージェンス環境では1秒以内という厳しい条件が課せられており、Nortelではこうした過酷な耐障害性に根ざしたソリューション提供に精力的だ。

 そのような中、アジア・パシフィック地区で注目されるいくつかの技術がある。たとえばコンタクトセンターだ。Nortelのコンタクトセンターに向けたおもいには並々ならぬものを感じさせる。いまインドでは、1900万人加入者を抱え、月々100万人ずつ加入者が増え続けているGSMのテレコム事業者がいる。顧客からの呼は1カ月2億4000万にもなるという。ここに同地区パートナーを通じて関連ソリューションを納入した。

 「Nortel史上でも、コンタクトセンターに関するソリューションは最高のもの」と、マルチメディア・アプリケーション事業部門バイス・プレジデント兼ゼネラルマネジャーのロクサン・スワンソン氏は胸を張る。「標準に準拠することでオープンだし最先端、しかもパーフェクト。しかもこれからのSIP採用コンタクトセンターでは、Nortelがマーケットリーダー。このSIPコンタクトセンターはトライアルの段階に入っており、これまでのコンタクトセンターがもつリソース外のところでサポートを得ながら拡大中」という。今日、コンバージェンス傾向が強くなってきたコンタクトセンターの世界では、カスタマーは投資に対する対価にシビアになっている。効率のよい着呼管理が不可欠であり、よりハイスキルなルーティングテクノロジなどで、カスタマーを導きたい意向だ。いま競合の動向を気にしつつも、日本市場への本格的な進出に余念がない。


 また最近の話題では、ワイヤレスメッシュネットワークをあげないわけにはいかないだろう。Nortelでは2005年暮れにこのソリューションを発表した。これは、アクセスポイント(AP)どうしをこれまでのように有線ではなく、ワイヤレスで接続させようというものだ。これにより屋外でも、コストパフォーマンスのよいスケーラビリティに富んだローミングが可能になる。すでに報道されてはいるが台北市内での事例は最たるもので、1万台のAPを設置、272平方キロメートルのエリアで人口262万の90%以上に向けたサポートまで可能にした。また「オーストラリアのエディスコーワン大学では、教室内外キャンパス全体をサポート、とりわけセキュリティに細心の注意を払っている。ワイヤレスメッシュネットワークも発表以来今日までにとくに耐障害性対策は強化させつつある。今後は耐障害性の中にセキュリティ機能を強化させるつもり」(リック・シート氏)という。日本でも教育関係を中心に攻めていきたい考えだ。

 そのほかアジアパシフィック地区でNortelがパートナーとともに構築してきた成果には、めざましいものがある。インドやパキスタンでの大規模GSMネットワークの構築、韓国での3Gモバイルネットワークの構築、カイロにおけるVoIPベースのパケット・ネットワークへの移行ほか意欲的なところをみせている。これらはほんの一例ではあるが、結果、新規顧客が着々と増大しつつある。

 今後の技術展望として、エンタープライズ・ソリューション&パケット・ネットワーク事業部門ストラテジー&アーキテクチャ担当CTO兼バイス・プレジデントのフィル・エドホルム氏は自らOmni-Networkingを提唱している。これは「たとえば、散在するデバイスを使ってワイヤレスで呼の自由な移動ができるバーチャリゼーション、いく通りかある通信手段でもSIPサーバーにアクセスすれば最適な手段を選び出せるハイパーインタラクティビティ、アプリケーション構築もWeb化させるWebフィケーションをコンバージ」した考え方という。ここにはもちろんセキュリティが必要ではあるが、「これまでのようにネットワークの端ではなく、ネットワークそのものに組み込まれることが必要」という。たとえば、ある米国の大手銀行の例をあげて顧客情報を紛失してしまったことを公開したら即株価低落を引き起こしてしまった例もあるほどだから。


顧客とパートナーとNortelもコンバージェンス

会場入り口近くのスポンサーブースでは話題のデモが行われ、参加者たちはフォーラムでアピールされたソリューションを自分の目で確かめることもできた
 フォーラムの中では、カスタマー・パネルディスカッションが行われ注目された。ベトナムはじめインド、オーストラリア、マレーシアからの顧客が参加、「パートナーはもっとカスタマーのシステムやそこで展開されるビジネスの現状を理解しなければならない」、またNortelに対しては「Nortelを知らないユーザーのためにもっと市場での売り込みを強化しなければならない。某コンペはユーザーのわからないことを忌憚(きたん)なく教えてくれる。Nortelもさらにサービス倫理を貫いてほしい」などちょっぴり本音も飛び出した。しかし、これらは最初にNortelやパートナーに対し全面的に満足している旨述べた後のことで、決して彼らの皮肉ではない。今後のビジネス展開のために、Nortelにもパートナーにも向けた顧客たちの真摯(しんし)な期待、愛の鞭的なもの、と受けとるべきだろう。それが証拠に、最後にはやはり、自分たちと直接関係するパートナーやNortelに対する敬意の念を改めて示していた。

 なお、Nortelではこのフォーラム開催中の12日に、2005年度に特に貢献度著しいパートナーに対して、nPowerパートナー・オブ・ザ・イヤーの表彰を行った。nPower・チャネル・パートナー・プログラムは、2002年に発足したアジア・パシフィック地域における戦略的なイニシアティブとして、IPテレフォニーやアプリケーション、データおよびオプティカル分野におけるソリューション提供能力を高め、技術やサポート能力の向上を目指して提供されている。特に日本では、富士ゼロックスが過去4年間も含めて販売代理店の中でも売り上げトップであったことから受賞、他にマレーシアのAlurtenaga、インドネシアのAneka Spring Telekomindo、インドのGTL Lmitedらが受賞した。

 このたびのフォーラムには、パートナー以外にも一部顧客も参加した。いまNortelは、提供するソリューションにおいてデータ・音声・映像のコンバージェンスを基本とし、BUSINESS MADE SIMPLEのスタンスにたって精力的にチャレンジを続けている。しかし同時に、このコンバージェンスという概念は、Nortelの組織自体、あるいはパートナーのみならず顧客までもコンバージドさせた形で、NortelビジネスのDNAとしてしっかり根付き始めているようにもみえた。



URL
  ノーテルネットワークス株式会社
  http://nortel.com/jp


( 真実井 宣崇 )
2006/04/17 08:50

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