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アジアパシフィックのSMB覇者“LG-Nortel”が狙う日本上陸


 近年、Nortel Networks(以下、Nortel)の顕著な取組みとしてあげられるのが、エンタープライズ部門における提携・買収による製品ポートフォリオの拡充だ。その1つとして、韓国のLG電子との間に合弁会社として「LG-Nortel Co.Ltd.」(以下、LG-Nortel)を設立させた。この4月10日から13日に、マレーシアのコタキナバルで開催されたEXECUTIVE PARTNER FORUM 06では、そのLG-Nortelがいま取り組んでいるソリューション例が、初めて紹介されている。今回はそれをご紹介しよう。


技術が自慢のLG-Nortel

 LG-Nortelは、韓国のLG電子とNortelとの合弁により設立され、LG電子の通信インフラ事業と、Nortelの韓国における販売・サービス事業とを統合したものだ。新会社では、ワイヤーラインをはじめオプティカル、ワイヤレス、エンタープライズ向け最先端通信・ネットワークソリューションの開発を行い、次世代通信インフラにおける規格策定や激烈を極める環境における製品開発時間短縮などを目的に両社が協力、最終的には全世界でのビジネス展開までを視野に入れている。

 韓国は、過去2年を振り返ってみても明らかなように、イノベーションや技術面で世界を先導している、といわれる。当然LG-Nortelのお家芸も技術だ。それは、同社の従業員1400人中、1000人がR&Dの担当者ということにも裏付けられている。先週は、多くの競合たちとの激戦を勝ち抜き、コリアテレコムとの間でIPTVソリューションに関する契約を締結したばかりだ。LG-Nortelの具体的な技術には、ワイヤーラインではIPセットアップボックスによるNortelのIPTVソリューションとの統合、標準化はされてはいないもののコリアテレコム内部のソリューションとしても使用中のWDM-PON、FTTHなどがあり、もっともホットなところではワイヤレスとしてのソリューション「WiMAX」もある。


ビデオフォンやSIPベースIPフォン、デジタルハイブリッドPABXなどを披露

フォーラム会場のLG-Nortelデモブース。これからアジアパシフィック地区でビジネス展開をめざすためのソリューションに参加者たちの関心が集まった

ビデオフォン

SIPベースやMGCP対応のIPフォン
 今回のフォーラムでは、Nortelが最近SMB市場への進出を本格的に目指す中、LG-Nortelのソリューションに重要な役割が課せられていることがあらためて浮き彫りになった。

 具体的には、ビデオフォンや、SIPベースあるいはMGCP(Media Gateway Control Protocol)にも対応するIPフォン、デジタルハイブリッドPABX(Private Automatic Branch Exchange:自動式構内交換機)などが、Nortelの販売チャネルを通じて、アジアパシフィック地区に提供する製品の例として披露された。

 ビデオフォンは昨年開発されたもので、PSTN(公衆網)でも使用することができ、ビデオ会議などを手軽に実現可能とする製品。TELECOM ITALIAはビデオフォンサービスをすで開始しており、30万ユニットが使用されている。また、これに次いでスペインのTelefonicaも2005年末にサービスに参入、提供を始めたという。そのほかLG-Nortelでは、France TelecomやBritish Telecom、オーストラリアのTelstraなどとも交渉中だ。

 一方SIPベースのIPフォンも、すでに北米で販売しているという。いまLG-Nortelがここで力点をおいているのが、インターオペラビリティ(相互接続性)だ。これは、IPフォンとNortelのSIPベース・マルチメディアサーバー「MCS5100」との間で実証することを当面の目標としている。これを完遂した暁には、NortelではMCS5100とこれらSIPベースのIPフォンとのセット販売が可能となるし、またLG-NortelでもIPフォンにMCS5100のソフトウェアを組み込んで販売することが可能になる。

 インターオペラビリティは、そのほかの大手ベンダのソリューションとの間でも取り組んでおり、そうしたベンダにはBroadSoftやCerpac、NetCentrexほかの各社がある。そして販売は、Net2PhoneをはじめSBC、TDC、France Telecomほかとの間で展開中だ。

 またデジタルハイブリッドPABXは、デジタルであれアナログであれ双方の電話機接続が可能なことを売り物としている。この種の小型PABXは、これまでのNortelにおけるポートフォリオにはみられず、これでソリューションにおけるギャップを埋められるという。CIS(Caller ID Service)とSMS(Short Message Service)がビルトインされ、容易な操作性やコストパフォーマンスのよさもチャームポイントとしてアピールされている。

 そのほかSIPトランキングも可能。最小構成で外線数3、内線数8であり、最大構成では外線数12、内線数32、アナログだと48回線まで可能という。オプションには、最大8チャネルまでのVoIPをはじめボイスメール、メール機能などが付加される。

 いずれも具体的な価格は検討中だが、SMB市場向けに見合う値ごろ感にしたい意向だ。


まずはアジアパシフィック地区がターゲット-日本のSMB市場も視野に

デジタルハイブリッドPABX
 LG-Nortelは、韓国のSMB市場では占有率60%という。また、イタリアでは第2位のメーカーであり、オーストラリアでは第1位、イギリスでは第5位、ニュージランドでもシェア70%を確保しており、グローバルでは30カ国以上で販売、覇者的存在を誇る。これから、上記製品をアジアパシフィック地区へも提供していくことになるが、現時点では具体的にいずれの国から提供していくのかは明らかではないものの、時期は第3四半期ではないかとみられている。

 フォーラム期間中におけるデモブース担当者の言葉によれば、この分野は韓国にも当然競合はあるし、かつて日本市場への参入を考えたとき展望が見いだせなかった苦い思い出もあり、若干慎重にはなっているようだ。

 しかし、「アジアパシフィック地区では、サービスと価格が勝負の分かれ目で、ブランドも重要なファクター」といい、競合としても日本では、小規模オフィス向けにPBXを提供する松下電器やNECなど有力企業名を具体的にあげており、虎視眈々(たんたん)とねらいを定めているようにみえた。いずれにしても、LG-Nortelは各技術分野で多品種の製品を擁していることを最大のコアコンピタンスとしており、いつでも準備完了という体制である。



URL
  ノーテルネットワークス株式会社
  http://nortel.com/jp
  LG-Nortel Co.Ltd.
  http://www.lg-nortel.com/


( 真実井 宣崇 )
2006/04/17 18:35

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