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富士通、2005年度連結決算は増収増益に


小倉正道取締役専務
 富士通株式会社は4月27日、2005年度連結決算を発表した。

 売上高は前年比0.6%増の4兆7914億円、営業利益は13.3%増の1814億円、経常利益は41.6%増の1260億円、当期純利益は114.8%増の685億円と増収増益。「営業利益、経常利益、当期純利益においては、すべて年初の計画値を上回る結果となった」(富士通・小倉正道取締役専務)という。

 また、事業セグメント別でも、テクノロジーソリューション、ユビキタスプロダクトソリューションが前年実績を上回ったほか、デバイスソリューションも継続事業では前年実績を上回っており、「主要3部門において、すべて前年実績を上回ったともいえる」(小倉取締役専務)とした。

 また、有利子負債が9286億円と、当初目標としていた1兆円未満の目標を達成。財務指標での改善も進んだ。


 事業別には、テクノロジーソリューションの売上高が前年比1.7%増の2兆9839億円、営業利益が15.6%増の1642億円。そのうち、サーバー、モバイルシステム、光伝送システムなどのシステムプラットフォームは、売上高が前年比2.2%減の7176億円、営業利益は41.8%減の262億円となった。

 「海外でのUNIXサーバーの伸張、北米での光伝送システム需要の回復、生産革新への全社的な取り組み強化による棚卸資産の圧縮とコストダウンの成果といったプラス要素がある反面、国内のサーバービジネスの競争激化が響いた。また、海外におけるサーバー価格の下落も影響している。営業利益が大きく落ち込んだのは、次世代サーバーへの開発費用を前倒し計上した影響などもある」(小倉取締役専務)とした。

 システムプラットフォームのうち、システムプロダクトの売上高は6.8%減の3542億円、ネットワークプロダクトは2.7%増の3634億円となった。

 アウトソーシングやSI、保守などが含まれる「サービス」は、売上高が3.0%増の2兆2662億円、営業利益は42.2%増の1379億円となった。「国内における不採算プロダクトが大きく減少。国内ソリューション/SIビジネスでの不採算損失の発生を通常レベルに圧縮できた。さらに、英国では引き続きアウトソーシングビジネスの拡大や、北米におけるコンサルティング事業の拡大がプラス要素となった」(小倉取締役専務)という。

 サービスのうち、ソリューション/SIの売上高は1.8%増の1兆204億円、インフラサービスは6.3%増の1兆372億円。

 国内における情報化投資環境は厳しい、と小倉取締役専務は指摘するが、「業種によってまだら模様の傾向がある。製造、流通分野は1~2%増、社会基盤分野や前年並、金融分野は2~3%増であるのに対して、公共は医療分野における電子カルテ需要などもあり、8~9%増の伸びが期待できる。また、地方において、少しずつ情報化投資拡大の動きが見え始めており、地域という切り口では4%程度の伸びが期待できる」とした。

 ユビキタスプロダクトソリューション事業は、売上高が2.8%増の1兆599億円、営業利益は10.0%増の344億円となった。

 パソコンおよび携帯電話の売上高は2.5%減の7566億円、HDDの売上高が21.2%増の2854億円となった。

 「海外のパソコン事業は増加傾向にあるが、国内は競争激化で減少傾向にある」とする。

 パソコンの全世界での出荷台数は、前年比10.9%増の825万台。2006年度は9%増の900万台を目指すという。

 また、携帯電話の出荷台数は、3.7%増の362万台。2006年度は3.3%減の350万台の計画。

 デバイスソリューション事業は、売上高が11.0%減の7075億円、営業利益は2.2%増の333億円。「フラットパネルディスプレイの事業譲渡を除いた、継続事業ベースでは前年比0.5%増の増収になる」と小倉取締役専務は語る。

 そのうち、LSIの売上高は1.7%減の4601億円、電子部品その他の売上高は24.2%減の2474億円となった。

 事業売却によってフラットパネルの赤字分が減少したものの、2005年9月から量産稼働した三重工場の300mm新棟の立ち上げ費用が利益減少に影響した。


 一方、2006年度の連結業績予想では、売上高は前年比8.5%増の5兆2000億円、営業利益は4.7%増の1900億円、経常利益は19.0%増の1500億円、当期純利益は16.7%増の800億円と、2005年度に続いての増収増益を見込む。

 事業セグメント別では、テクノロジーソリューションの売上高が前年比6.6%増の3兆1800億円、営業利益が12.7%増の1850億円。そのうちシステムプラットフォームは、売上高が前年比4.5%増の7500億円、営業利益は4.9%減の250億円。サービスは、売上高が7.2%増の2兆4300億円、営業利益は16.0%増の1600億円。

 システムプラットフォームのうち、システムプロダクトの売上高は7.3%増の3800億円、ネットワークプロダクトは1.8%増の3700億円。サービスのうち、ソリューション/SIの売上高は6.8%増の1兆900億円、インフラサービスは8.0%増の1兆1200億円。

 ユビキタスプロダクトソリューション事業は、売上高が9.4%増の1兆1600億円、営業利益は12.9%減の300億円。そのうち、パソコンおよび携帯電話の売上高は5.7%増の8000億円、HDDの売上高が19.1%増の3400億円。

 デバイスソリューション事業は、売上高が14.5%増の8100億円、営業利益は5.1%増の350億円。そのうち、LSIの売上高は10.8%増の5100億円、電子部品その他の売上高は21.2%増の3000億円とした。

 今年3月に北米とインドであわせて2000人規模のコンサルタントを有するラピダイム社を買収したことで、サービス事業の拡大を見込むほか、基幹IAサーバーのEDSへの提供開始、オープンシステムの検証センターの海外主要拠点への開設によるIT基盤「TRIOLE」のグローバル展開などでの事業拡大を見込んでいる。



URL
  富士通株式会社
  http://jp.fujitsu.com/
  2005年度(平成17年度) 連結および単独決算概要
  http://pr.fujitsu.com/jp/ir/finance/2005/


( 大河原 克行 )
2006/04/27 20:08

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