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単なるアナライザからエンタープライズソリューションへ-Snifferの進化を図る米Network General


 ネットワーク管理ソリューションの代表格といえば、多くのユーザーが“Sniffer”の名を挙げるであろう。そのSnifferを提供している米Network Generalは、Snifferを単なるアナライザからエンタープライズでの総合ソリューションに成長させるべく、研究開発活動などを地道に行っているという。

 そんな中同社は、超高速・広帯域のニーズに応えるべく新ソリューションを投入する。このほど来日した同社チーフマーケティングオフィサーのカーラ・ウィルソン氏と、プロダクトマーケティング・ディレクターのロバート・バーリン氏が明らかにしたもので、4月30日~5月5日に開催されるInterop LasVegasで正式発表されるはこびだ。これは、「Sniffer InfiniStream 3.0」と呼ばれ、本格的に10Gigabit Ethernet(10GbE)に対応した初のデータキャプチャ・管理ソリューションという。

 同社ではいま、昨今のITガバナンスやコンプライアンス、SOX法に対するニーズの高まりをにらんで、Sniffer Enterpriseソリューションにおける製品ラインアップを、今回の新製品を含めて着々と整備させつつある。今回はそのInfiniStream 3.0投入に代表される、同社の新しい戦略について両氏に聞いた。


苦境を越えて新生Network Generalへ

左から、日本ネットワークジェネラルの諸橋日本代表、米Network GeneralのウィルソンCMO、バーリンディレクター
 Network Generalは、実に波乱含みの歴史を持つ。設立は1986年であるが、周知のように9年前に米McAfeeに買収され、Network Associatesとなった。しかし、2年前には再びスピンアウトして新生Network Generalに生まれ変わっている。

 もっとも苦しかったのは、Network Associates時代で、ウィルソン氏は「このとき製品開発に向けた投資は決して十分とはいえず、マーケットシェアを失うことさえあった。だが新生Network General誕生後、競合ベンダに移っていった社員を呼び戻すなど、体制にてこ入れをし、とくに昨年はNetwork Associates時代7年間を上回る数の新製品を投入できた」と、これまでの苦労をかみしめるように成果を語る。

 強力なブランドであるSnifferも、Cisco Systemsの参入やIBMによる米Micromuse買収などによる市場の活性化も手伝って、従来の単なるプロトコル解析ソリューションから脱却。これまでのSniffer PortableやSniffer Distributedなどに見られる分析・解析に加えて、管理およびレポーティングソリューション、インテリジェンス、VoIP、ワイヤレス、アプリケーション管理など、新しい機能を付加しつつある。今年2月にはFedeliaを買収して管理ツール「Sniffer Enterprise NetVigil」を投入するなど、競合との差別化をしつつ、新たな飛躍を目指しているところだ。


自信作“Sniffer Enterprise”ソリューションをさらに足場固め

Sniffer Enterpriseソリューションのラインアップ

Application Intelligence

Sniffer Enterprise NetVigil
 あたかも日本の戦国時代を思わせるような、お家の一大事を経て誕生したSniffer Enterpriseソリューションは、新生Network Generalが絶対的な自信を持つ製品群だ。これは大きく3つのレイヤで構成され、各レイヤでユーザーにおなじみの製品を擁している。

 たとえばSniffer Enterprise PlatformレイヤにおけるSniffer Portableは、障害発生地点に手軽に持ち込み、400種類以上のプロトコル翻訳やモニタリングで障害検出や切分けを行うことが可能。またSniffer InfiniStreamはStream to Diskという特許技術で、大容量データを長時間にわたりキャプチャでき、ネットワークの状況を過去にまでさかのぼって分析できるとともに、最大3TBのストレージにデータを格納可能。まさにSOX監査の柱的なソリューションとして位置付けられている。

 またSniffer Enterprise Intelligenceレイヤにおいては、Application Intelligenceがある。この製品では、各種アプリケーションを自動検出し、アプリケーションの応答時間をネットワークの伝送時間やサーバー処理時間、そのほかのトランザクションにかかる時間に分離してモニタ可能であり、管理者は問題の原因がネットワークにあるのかアプリケーションにあるのかを視覚的に把握できる。

 さらにMultiSegment Intelligenceは、あるWAN越え通信があった場合WAN側拠点やサーバー側などそれぞれのポイントでキャプチャを行い、どこで遅延発生があるのかを把握できる。Sniffer VoIPはVoIP通信をモニタリングし問題時はキャプチャリングで障害解析が可能だし、ジッタやパケットロス、コールセッションのフローなどVoIP特有の通信状況を確認できる。

 しかし最近、顧客からはこうした解析や診断の製品だけでなく、ネットワークの管理ツールに向けたニーズが増大してきた。Network Generalでは今年2月Fedeliaを買収しSniffer Enterprise Managementレイヤに、セキュアなコンソール環境を実現するSniffer Enterprise Administratorや、ネットワーク解析および傾向レポートを作成するWebベースのSniffer Enterprise Visualizerに加えて、Sniffer Enterprise NetVigilを追加した。

 バーリン氏は「これにより、アプリケーションやネットワークデバイス、サーバーなどを1つのスクリーンで見通せるハイレベルなダッシュボードビューを提供可能になった。結果、たとえばネットワークに問題が生じた場合アイコンの色が緑から赤に変わり、管理者はそのアイコンをクリックしさえすればアプリケーションからトラブルのあるパケットへ到達でき、さらに該当パケットの診断が可能になる」と大幅な機能アップを強調する。


初の“10Gigabit本格対応”管理ソリューション登場

現行のSniffer InfiniStreamの筐体。同 3.0もほぼ同じ筐体で提供される
 Network Generalではこのほど、米国にも先駆けて、10GbE対応のソリューション、Sniffer InfiniStream 3.0の投入を明らかにした。これは近々開催されるInterop LasVegasで正式に発表・出荷される予定だ。企業内LAN環境では、ますます10GbEサポートに対するニーズが高まりつつあり、Sniffer InfiniStreamの高速ネットワーク対応版である同 3.0は、こうしたニーズを支援する業界初の“本格版”としている。

 企業ではすでに、テスト環境で10GbEを導入しているユーザーもあり、デスクトップでのTV会議やビデオのストリーミングなどにより商用トランザクションが増大、加えて個人情報保護やファイナンシャルデータ保護なども重要視され、さらにはITガバナンスやコンプライアンス、日本版SOX法に向けたサポートが必要とされるなど、高速・広帯域ニーズを後押ししている。

 日本ネットワークジェネラル株式会社 日本代表の諸橋隆也氏も「日本でも米国ほどではないにしろ、10GbEのニーズは着実に高まりつつある」と断言する。「競合は以前から10GbE対応の管理ソリューションを出しているといっているが、それらは物理的に接続されているのみで、実際のデータキャプチャ量はそれほど多くはないとの見方が顧客やパートナーサイドでも少なくない。新製品は名実ともに10GbEの実環境において、負荷をかけても大半のデータをきちんとキャプチャできる自信があるので、このたび発表のはこびとなった」(諸橋氏)と自信のほどを語る。

 なおSniffer InfiniStream 3.0は、これまでのGigabit Ethernet対応のInfiniStream 2.5からのバージョンアップになるが、3.0になってWebブラウザ経由でレポートを見ることができるようになる。またGigabit Ethernetポート数も2から4になり、2ポートで全二重/半二重のデュアルモード動作が可能で、インライン接続あるいはミラーポート接続のいずれも選べる。光インターフェイスは、データセンター向けの100メートルまでの短距離対応と、10キロメートルまでの長距離対応の2バージョンが用意される。既存のInfiniStreamで利用可能だったオプションや機能はすべて対応可能なので、顧客は新バージョンでも、これまでと同じコンフィギュレーションや機能を使えることになる。価格はInteropで明らかになるもようだ。なお、現行のSniffer InfiniStreamは、300万~1500万円程度でパートナーから販売されているようである。


顧客の熱意が成長させたSniffer

 日本ネットワークジェネラルのマーケティングスペシャリスト、キサン・ベイ氏は「これまで顧客のデータ保持は数日あるいは数週間でよかったが、SOX法などによりさらに長期間の保持が必要となる。トラブルシューティングも、CPUやストレージの高速化でネットワークレイヤのみのアナライジングからキャプチャまで可能になった。加えて長期間のデータ保持と上位レイヤにおけるデータまでのキャプチャ、それの保持も可能となり、キャプチャデータの意味が大きくなっている。これで、アプリケーションレイヤまでの管理が可能になり、SOXに向けての意義がますます大きくなった」とSnifferの進化が大きく貢献することを強調する。

 このあたりはインテグレーションを行うパートナーの役割も見逃せないであろう。日本ネットワークジェネラルは現在、住商情報システムと日立インフォメーションテクノロジーがパートナーではあるが、さらにSIerもリクルーティング中といい、今後パートナーが果たす役割の重要さも増すようだ。

 これまでNetwork Generalは紆余(うよ)曲折があったが、その子であるSnifferは大きく成長し、いまユーザーの間ではネットワーク管理のデファクトスタンダードとまで評価されるようになっている。その強さは「インストールした顧客サイト数が1万3000に及んでいること、Sniffer Universityで10万人以上がトレーニングを受けていること、などが大きい」とウィルソン氏はいう。またバーリン氏は「Network Generalは顧客からは革新を引き起こす会社と認識されている」と胸を張る。

 特にネットワークプロトコル解析分野でのリーダーという認識は根強い。Network Associates時代にはR&Dへの投資は減少していたが、その後売り上げの多くをR&Dにつぎ込むなど積極投資を行っている。その額は昨年度3000万ドルであり、これは競合ベンダ上位4社を合わせた額をも上回るという。バーリン氏は「これで昨年1年間に10以上の新製品を生み出せた。今後1年間でも6~8製品は投入したい」とさらなる意欲を示す。

 そして20年以上R&Dでソフト開発に取り組んできた経歴を持つというベイ氏も、手前みそになるがと断りながら、「20年前に初めてSnifferを見たときの製品のすごさには驚がくした。顧客にもそんな人たちが多く、なにがあってもSnifferだけは殺したくないと言っていただけるくらい。顧客とともに育ってきたこのブランドの偉大さにつきる」と熱っぽく語る。そうした熱意に支えられ、いまSnifferは、アナライザからエンタープライズにおけるネットワークソリューションとしての道を歩むテンポを加速させている。



URL
  米Network General
  http://www.sniffer.com/


( 真実井 宣崇 )
2006/04/28 10:42

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