VoIPインフラソリューションのリーディングベンダである米Sonus Networks(以下、Sonus)はいま、ワールドワイドベースで好調なビジネスを展開中だ。これを裏付ける近況を、このほど来日したCEO兼取締役会会長のハッサン・アメット氏に聞いた。
■ 通話分数で突っ走る
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CEO兼取締役会会長のハッサン・アメット氏
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Sonusは、音声トラフィックにおいて通話分数が月ベース190億分に達した。これは、今年2月に紹介した170億分をすでに上回っており、アメット氏は「競合である2位ベンダの通話分数の3倍以上になった」と胸を張る。まさに悠々第1位という順調さであり、この伸びは、実に年率60%にも達するペースという。これから先の伸びは、25~40%程度かという第三者の見方もあるというが、ちょっと予測をつけにくそうな気配である。Sonusのこうした好調ぶりを支える代表的ソリューションが、GSX9000/4000Open Services SwitchをはじめNetwork Border Switch、IMX Application Platformなどであり、中でもGSX9000が製品売上げの中でかなりの比重を占めている。1997年の設立以来、ユーザー数も新たに、KDDIをはじめJAPAN TELECOM、cingular、WILLCOMなどを加え、ワールドワイドで50社以上となった。
特に、Sonusがさきごろ発表した2006会計年度第1四半期(2006年1~3月期)の決算では、売上げが5997万2000ドルと過去最高の実績となり、前年第4四半期5725万ドルをクリア、前年同期3361万ドルと比較すると80%近く上回った。また現金や預金、有価証券、長期投資が3億4000万ドルであったり、オペレーションによるプラスのキャッシュフローも2万6000ドルであるなど、バランスシートの好調さも誇る。アメット氏は1998年にSonusに入社しているが、かつてアセンドコミュニケーション社コアシステム部門の副社長兼部長時代に10億ドルの売上げを達成したというから、持ち前の「財務体質こそ顧客からの信頼を得る道」という同氏の信念およびビジネス感覚がここでも生かされているようだ。
■ 決め手はR&Dに向けた意欲
こうした、どちらかというと地味ながらも好調なSonusの実績の背景には、長距離系の通信事業者やサービスプロバイダ向けVoIPソリューションに長けており、とりわけ技術力向上には社をあげて情熱的に取り組んでいる点があげられる。
それがR&Dへの投資姿勢に如実に表れている。今般の5997万2000ドルという売上げの中でR&Dは1289万1000ドルと21%を占めている。この数字は2005年第4四半期の1248万3000ドル、前年同期の1101万7000ドルからの推移をみても着実に伸長し続けていることがうかがえる。
アメット氏は「長期的な視点では、売上げのうち15~17%がR&Dの目標。これは現在の21%からすれば下がったように思われるかもしれないが、実はそうではない。売上げ増大を見込んだ相対的なもの。今後も売り上げからその多くをR&Dにかけていく」とあくまで技術先行の姿勢を貫くかまえだ。
こうしたR&Dにおける具体的な開発のターゲットは、Webおよび電話ベースの統合環境であるIMX Application Platform、業界標準であるIMS(IP Multimedia Subsystem)インフラ、ワイヤレス分野、クラス5のアクセス製品などである。結果、今後期待されるソリューションとして、すでに発表されてはいるが「NBS(Network Border Switch)でGSXシリーズをベースにセッションボーダコントロールとスイッチングをワンボックス化させたもの、あるいは既存製品をベースにIMSソリューションをフルライン展開すること」などをあげる。
もちろん組織面でのサポートも忘れない。これは先に紹介したことではあるが、たとえばSonusでは、革新的IP技術開発のためにアクセス回線事業部門を開設した。「いまVoBB(Voice over Broadband)ソリューションの開発を積極的に進めているが、これに伴うアクセス関連はシステムソリューションでもあり、社内の有能な人材を一カ所に集結させた力の入れ方をしなければならない。顧客であるAOLやATTなどもこの分野に力をいれようとしているほか、日本でもアクセス製品は導入されはじめており、マーケットは立ち上がっている。タイミングもいい」という。Sonusではここに、R&D部門にかかわるスタッフの20%程度を投入している。
■ 日本、ヨーロッパに照準
いま、ドイツやイギリスなどヨーロッパ市場が立ち上がりつつあるが、同時にアジアには、さらに大きな期待を寄せている。とりわけ日本は、次世代ネットワークへに向けた関心の盛上がりを含めて、新しいブロードバンドサービスが生まれ続けているのできわめて重要かつエキサイティングとの見方だ。たとえば、最近ではKDDIがこれまでの伝統的なインフラをVoIPソリューションに置き換えようとしており、2008年までには長距離トラフィック分野すべてをSonusソリューションでVoIP化させ、日本最大級のIP電話にする計画に取り組むことを明らかにしている。
アメット氏は、今後のソリューションとして、最も重要な「サービスオーバIPを実現するブロードバンドワイヤレス分野」をはじめ「現在Sonusがまさに提供し続けているところでもあるIP上で音声その他のサービスを提供する分野、TVやゲームなどIPベースのデジタルエンターテインメント分野」に注目している。「これらはSonusの顧客であるサービスプロバイダにとってビジネスチャンスを見出せる分野でもありきわめて重要。ここを強力にサポートさせていただく」と確信をもっていう。
■ URL
米Sonus Networks
http://www.sonusnet.com/
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( 真実井 宣崇 )
2006/05/18 11:14
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