株式会社ジャストシステムがxfyを発表したのが、昨年のJavaOneだ。発表から1年経った今、xfyはどのような進化を遂げたのだろうか。今回、JavaOne会場で、xfyの製品コンセプトや戦略を同社代表取締役社長の浮川和宣氏に伺った。
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代表取締役社長の浮川和宣氏
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javaOne会場の同社ブースの様子
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―JavaOneには2度目のチャレンジとなりますが、感触はいかがでしょうか?
浮川氏
昨年はすべてが手探りの状態でしたが、アメリカにオフィスを設立してチームを編成し、本格的な技術をリリースできるようになりました。今年はこの1年で得た成果をデモを通じて参加者に伝えています。
―JavaOneに出展されている理由はなんですか?
浮川氏
xfyはもちろん、ジャストシステムの高いテクノロジーを世の中に広め、特にレベルの高いエンジニアに知ってもらうためです。昨年度にはじめてJavaOneにxfyを出展しましたが、多くの興味を持っていただき、知名度の向上とともに製品についての問い合わせが多くなっています。
―なぜxfyを開発しようとおもったのですか?
浮川氏
10年ほど前から未来のアプリケーションの姿を研究していました。当時はワープロのデータや扱いをどう有効にできるのかと考えていたのがはじまりです。
当時からジャストシステムは高い技術力とSGMLから培っている文書管理のノウハウがあり、XMLという新しく登場したスタンダードの上に新たなITの活用方法を確立したいとおもっていたからです。
―ジャストシステムが考えるxfyの製品コンセプトを教えてください。
浮川氏
xfyを一言でいえば、「XMLをベースとしたアプリケーションプラットフォーム」です。利用方法は限定されるものではありませんが、XMLドキュメントを利用するフロントエンドや企業のXML処理(バックエンドとしての利用)が考えられます。
現在XMLは報告書などのドキュメントと財務情報などのバックエンドのデータの2種類があるかとおもいます。しかし、現在PCで扱えるのは数値だけであり、ドキュメントは数値にあわせるものとなっています。しかし、本来ドキュメントはそのときの数値を受けてのプランが反映されているので、単純に数値にあわせていくのは疑問です。
xfyは単純に部分を最適化するのではなく、ユーザーのことを本当に考えた上で設計しています。人間が介在する限り、データの整合性をとってユーザーにとって快適なものでなくてはなりません。
そのためにはユーザーの利用方法を柔軟にする必要があり、真の意味でのBusiness Intelligenceを実現します。このことは多くの企業にとってイノベーションになるとおもいます。
―xfyの日本での展開や市場戦略について教えてください。
浮川氏
7月以降に「xfy Enterprise Solution 1.0」をリリースしますが、まずはIBMと協業していく予定です。DB2を利用しており、業務効率改善のために従来にはないXMLフロントエンド導入を考えている企業様に導入されていくのではないかとおもいます。
―xfyを企業にとって導入するメリットとはどのようなものであるとお考えでしょうか?
浮川氏
企業にXMLDBが導入されるようになっており、もはやXMLを有効に利用するという次の段階にきているとおもいます。XMLで構築されたデータをWebブラウザなどで1つずつ表示する、単に組み合わせるということはできます。しかし、XMLは非定型なので、ありとあらゆるものが想定できます。
xfyが目指すのは1ランク上のフロントエンドです。XMLの本当の有効利用なのです。
―xfy Community(http://www.xfytec.com/community/)がありますが、このコミュニティはxfyにどのような影響を与えていますか。
浮川氏
今はBBSを中心として展開していますが、本年7月に出荷を予定している統合XMLアプリケーション開発・実行環境である「xfy Enterprise Solution 1.0」のリリースにあわせて拡充させていく予定です。
―他社との協業や提携といったプランはありますか?
浮川氏
DB2についてはIBMと共同研究を進め、「DB2 Viper Extension Kit」と組み合わせ、XMLに対応したDB2 Viperのフロントエンドとして、XML Queryの作成と結果のXMLの視覚化を自動的に行っています。また、「xfy Enterprise Solution Plus for Oracle Database 10g」はOracle Database 10g Release2と連携し、UltraRAD(業務システムの迅速な構築)環境を実現できます。xfyは従来にないインタラクティブなフロントエンドを実現します。
―ジャストシステムは日本企業として「ODFアライアンス」への唯一の参加企業ですが、アライアンスへ参加した理由はなんですか?
浮川氏
日本はITの標準化については海外に遅れをとっているので、それを埋める必要があります。ODFはISOになりましたし、より重要性が増していくとおもいます。現在、他のODFアライアンス参加企業であるIBMと次世代Notesの共同研究をしており、xfyをフロントエンドとして利用できるようにしています。これにより、多くの企業で採用されているNotesの可能性がより広がるのではないでしょうか。
―同時期に行われている他のイベントはいかがですか。
浮川氏
スペイン・マドリッドでXBRLのイベントである「第13回XBRL国際会議」が開催されていますが、600人規模のスペシャリストが集まって大盛況です。ヨーロッパの方がEC統合や文化的なもので日本よりも欧州の方がXBRLが進んでいるといえるでしょう。
―xfyやXMLといったテクノロジーにおける今後の展望を教えてください。
浮川氏
XMLは国内外問わずに、まだ早い段階であるといえるでしょう。XMLが有効利用されるのには数年かかるとおもいますが、xfyがそのリーディングソリューションでありたいとおもっています。xfyでXMLの可能性を示したいです。
企業では多くのデータがXMLで整備・蓄積されるようになってきました。しかし、インターフェイスやソフトウェアの機能にあわせてデータを利用するのは間違いだとおもいます。
自分がしたいやりかたで複数のデータを扱うこと、それこそが究極のIT利用方法ではないでしょうか。まさに、「My Life」でのIT活用方法ではないでしょうか。そして、XMLの広がりとともにxfyの可能性も広がっていくのです。
企業内のデータをXMLとして蓄積することは広く行われ、XML環境が整備されているといっても過言ではない。ただ、その活用が多くの企業で行われているかは疑問である。複雑なソリューションが多い中、10年以上前の設計段階からシンプルにユーザー視点を貫いているxfyに大きな可能性を見出すことができた。今後も日本発のXMLの可能性を引き出すソリューションであるxfyから目が離せそうもない。
■ URL
株式会社ジャストシステム
http://www.justsystem.co.jp/
xfy
http://www.xfy.com/jp/
( 石黒大介=ThinkIT )
2006/05/22 12:40
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