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ジャストシステム技術者が語るxfyの魅力


 前回の浮川氏のインタビューに続いて、今回はxfyの製品コンセプトや戦略を株式会社ジャストシステムxfy projectのシニアエンジニアの羽鳥氏とエンジニアの吉田氏に伺った。


ジャストシステム xfy projectシニアエンジニアの羽鳥正彦氏(左)とエンジニアの吉田崇氏(右)
―xfyとBIツールとの違いを教えてください。

吉田氏
 BIツールも企業内の資産に対して、エグゼクティブ・中間管理職・ユーザーなどでフロントエンドを使い分けることができます。しかしxfyでは部門ごとに限らず、極端な話、全社員が違うビューを持つことができるのです。ここがビューを変えるのにアプリケーションに手を入れなければならないBIツールとの大きな差です。

 xfyでは「xfy View Designer 1.0」という機能を使えば、オフィス製品を使用したことのあるユーザーなら簡単にビューを作ることができます。このユーザーが自分でデータを思ったとおりに利用することをUltra RADといいます。

 本当に必要な機能であっても、少人数しか使わないという理由で実現できない場合が多いと思います。しかし、xfyではアナログ的な需要を反映することが可能です。必要なデータをいつでも組み合わせることができますし、棒グラフから円グラフなどレイアウトの切り替えもできるのです。このように、従来のBIツールにない柔軟性をxfyは持っています。

 エンジニアはビューを作るのに多くの時間をとられていると思いますが、xfyはユーザーの力を引き出すだけでなく、エンジニアを負担から解放することができるのです。また、「xfy View generator 1.0」ではウィザード形式でビューを作ることができます。


―使い方は使う側のアイデア次第なんですね。

吉田氏
 そうです。これもxfyが優れたMashup機能を持っているから可能なのです。Web上にある多くの情報を自由に連動させ、新しい価値ある情報を生み出すことをMashupといいますが、残念ながら従来はサーバーサイドでしか実現の手段がありませんでした。xfyはその価値あるMashup環境をクライアントサイドだけでも実現できます。

 今回のJavaOneにxfyは「Web 2.0 and beyond」というキーワードで臨んでいます。Web 2.0では多くの情報を組み合わせて利用することができますが、あくまで存在する情報を組み合わせるだけです。

 しかしxfyは持ってきた情報を関連づけることができます。下の左図はいくつかの株式情報を組み合わせたものですが、入手先はすべて違います。しかし、xfyでは同じ色でタグ付けされますので、単純な情報の組み合わせではありません。

 またxfyでは専用ブラウザを利用しますが、アプリケーションサーバーにxfyを実装することで下の右図のようにWebブラウザで利用することもできるのです。ただし、一部機能は制限されます。


株式情報画面 Internet Explorerでのxfy利用

―xfyはSOA(Service Oriented Architecture)のための優れたXMLクライアントアプリケーションプラットフォームとプレスリリースにありますが、具体的にはどういうことでしょうか?

羽鳥氏
 例えば、AとBという企業が合併したとします。この場合は合併前のデータをバラバラに持っていて、合併後にデータを統合して利用することになると思いますが、xfyはどんな規約のXMLデータでも柔軟に利用できますので、データの統合について考える必要がないのです。


―データを統合する際には多くの問題がありますが、合併前に開発したアプリケーションを使い分ける必要もなくなりますね。

羽鳥氏
 はい。また、IBMの次期DB2(コードネームViper、以下Viper)のフロントエンドとしてxfyを利用する場合、ViperはXMLとRDBのハイブリッドなので、(RDBへの問い合わせもViperの場合はSQL文ではなくXML文で返してくれるので)RDBのデータを使うことができます。


―コミュニティはxfyとどのような関係を築いていますか。

吉田氏
 コミュニティに参加しているエンジニアがコンポーネントを1つ作れば、世界中の人が利用できます。実際、数値が記述されたXMLを自動的にチャートにするコンポートネントは人気があり、多くのエンジニアからダウンロードされています。


―コンポーネントの作成は簡単にできますか?

吉田氏
 Google Calenderと連携するコンポーネントをジャストシステムで開発したのですが、数時間で作ることができました。Google CalenderのAPIが公開される数日前でしたので、Google Mapと連携するものとしてxfyのコンポーネントは世界初となります。


―ODF(Open Document Format)がISO標準になりましたが。

羽鳥氏
 これから日本でもODFに対して多くの取り組みがなされていくと思います。またxfyだけではなく、今夏に一太郎がODFに対応します(対応モジュールを無償ダウンロード)。


―ODFアライアンスに参加している唯一の日本企業ですが、エンジニアとしてどういったことを行いたいですか。

羽鳥氏
 まだ設立してから間もないのですが、ダブルバイト圏の国としてその対応を訴えていきたいです。また、日本固有の縦書きや下線、そしてルビなどへも対応も考えなくてはなりません。


―他社との連携に関して教えてください。

吉田氏
 Oracle OpenWorld Tokyo 2006で「xfy Enterprise Solution Plus for Oracle Database 10g」を発表しました。またIBMと共同研究しており、xfyのEclipseフレームワークへのポーティングを進めています。また浮川の話にもありましたが、次期Notes上でxfyをフロントエンドとして利用する研究も進めています。


―パビリオンで一番Javaファンに驚かれたxfyの機能はなんですか。

吉田氏
 複数のデータを組み合わせ、それらデータを関連づけて1つの画面に表示するだけでも驚かれますが、結果としてある画面の内容を変更するとあわせて他の項目も変更される機能には目を丸くされます。

 またどんな規約のXMLデータであっても、自動的に表組みにすることができます。XMLには複数の規約が存在するという問題がありますが、xfyはそういった問題点を解消します。


―最後にxfyを導入するメリットとはなにか、なぜ必要になるのかを教えてください。

羽鳥氏
 xfyは多くのことができるので、その魅力をお伝えすることはなかなか難しいです。しかしあえて一言でいえば、「XMLを利用する上での最良なフロントエンド」だといえます。柔軟なデータであるXMLは無限の可能性がありますが、規約などの差異が問題となっています。しかし、xfyはそういったXMLに関わる問題を打破し、本当の意味でのユーザビリティを実現していきます。




 今回はエンジニアにxfyの魅力を語ってもらったが、単純に従来のツールと比較できないと感じた。つまり、xfyは従来の考えを覆すくらいのイノベーションを秘めているのである。「今までできないことができるようになる」という、漠然であるがすべてのITに関わる人間にとって重要なテーマをxfyは掲げているといえよう。

 ジャストシステムは一太郎やATOKなど、日本人にとって使いやすいソフトウェアを開発してきた。しかしxfyを通じて、もはや日本にとどまらず世界中で使いやすいソフトウェアの開発に挑戦している同社の動向に注目していきたい。



URL
  株式会社ジャストシステム
  http://www.justsystem.co.jp/
  xfy
  http://www.xfy.com/jp/

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  ・ 「xfyでXMLの新たな可能性を導く」ジャストシステム浮川社長(2006/05/22)


( 石黒大介=ThinkIT )
2006/05/23 17:01

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