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SaaSでソフトを提供する米NetSuite、日本法人と日本向け製品の発売を発表
オンデマンド型の統合基幹業務ソフトを提供する米NetSuite社は、日本法人「ネットスイート株式会社」を設立。元マイクロソフト取締役の東貴彦氏が社長に就任し、CRMアプリケーション「NetSuite CRM+ 日本版」の販売を開始する。
米NetSuite社は、米Oracleの創業者であるラリー・エリソン氏が出資し、1998年に設立した企業。ソフトをパッケージではなく、SaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)で提供していることが大きな特徴となっている。
今回、初めての日本版の製品として、「NetSuite CRM+日本版」を6月末にリリースする。
「当社にはCRM+以外に、ERP、eコマースといったアプリケーションがある。インターナショナル版では、すでに日本語の表示は可能となっているが、eコマースに必要なクレジットカード決済機能や配送との連携機能、ERPに必要な日本の税制や決済への対応は現在のところ、まだ実現できていない。フルスイートの日本版製品は現在開発中で、約1年後の発売を予定しているが、最初に日本版CRMを提供する。日本の中小企業のIT化は、コスト負担の重さ、社内の技術リソースの不足などさまざまな問題点を抱えている。SaaS型統合ソフトはこうした問題点を解決する、ビジネスモデルの転換とニーズの補完を実現する。特にCRMは従来製品とはまったく概念が異なるもので、従来は訪問販売の事業者に頼って行っていたシステム構築が、すべてWeb上で実現できる」(東社長)
ネットスイート 東貴彦社長
CRM+の特徴である全方位による顧客支援体制の概念図
CRM+は、Webブラウザから利用するアプリケーションで、営業管理、代理店管理、販売手数料管理、プロジェクト管理といった機能をもつ。
受注管理機能によって、顧客の基本的な行動特性を把握し、マーケティングROI(投資回収率)、販売効果、予測精度、販売手数料、需要予測といった判断基準を把握することができる。
さらにオプションで、Webサイトのホスティング、Webサイトの分析機能、顧客向け、パートナー向けポータルサイト構築機能、パートナー管理機能などを提供。これまでは、対面での応答や、電話による応対で実現してきたものと同等の応対を、インターネットを介して実現できる。
中心となる顧客データベースは、来年発売予定のERP、eコマースと共通で、すべての業務処理をシームレスに実現することが大きな特徴となっている。
ログイン画面。表示する内容はユーザーによって変わってくる
ログイン画面ではグラフで表示されていた営業担当者別売り上げの詳細を表示
カスタマイズ機能によって、表示したい内容を変えていくことも可能
また、ユーザーインターフェイスとして、Ajaxを採用。以下の機能を実現している。
「AJAX-Poweredレポート作成」は、WYSIWYGタイプのレポート作成機能によって、レポート内のデータ検索、ドラッグアンドドロップ方式の列幅調整、マウスオーバーリンクによる迅速なナビゲーション、全階層の展開/非表示、特定階層の展開/非表示、ページ境界のないスクローリングなど、レポート作成時の、データ列、グループ階層および数式などの操作が大幅に簡素化された。
「AJAX-Poweredスケジュール管理」は、空き時間の状況を一覧で把握できるグラフィカルなフィードバック機能、時間帯を選択するためのドラッグアンドドロップ方式のスライドバー、参加者を簡単に追加できる機能などを装備。
「AJAX-Powered文書管理」は、使いやすい階層ツリー型のナビゲーション機能ならびにファイルキャビネット内のファイル編成のあらゆる階層を展開/非表示できる。
「AJAX-Powered Excelタイプ リスト編集」は、従来のWebアプリケーションで特定レコードの編集を行う場合に必要だった、閲覧モードから編集モードへ切り換えが必要なく、Excelのスプレッドシートと同じようにリスト上から直接レコード編集を可能とする。
「AJAX-Powered スクロール不要("Above the Fold")ユーザーインターフェイス」は、通常のWebアプリケーションのように全データを表示するために、ページスクロールを繰り返す必要がなく、関連した情報をタブとして、インテリジェントにグループ化。個別に展開し、非表示可能な再デザインされたフォームとして利用できるDashboardポートレットを活用することによって、スクロール操作の必要性を軽減する。
提供価格は、見込み管理機能を中心とした、「NetSuite CRM」が1アカウントあたり月額1万1000円。CRMに受注管理、アップセル・クロスセルなどの機能をプラスした「NetSuite CRM+」が1アカウントあたり月額1万5000円。
左から、ネットスイート・東社長、米NetSuite・マンスフィールド・ディーン上級副社長、トランスコスモス・船津康次会長兼CEO、インスパイア・成毛眞社長
なお、ネットスイートの日本法人には、トランスコスモス(奥田昌孝社長)、インスパイア(成毛眞社長)の2社が資本参加。インスパイアはマーケティングアドバイスなどを行い、トランスコスモスは開発および販売パートナーとして協業していく。
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URL
ネットスイート株式会社
http://www.netsuite.co.jp/
プレスリリース
http://www.netsuite.co.jp/portal/jp/press/nlpr05-25-06c.shtml
http://www.netsuite.co.jp/portal/jp/press/nlpr05-25-06b.shtml
http://www.netsuite.co.jp/portal/jp/press/nlpr05-25-06a.shtml
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