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中小企業の経営に役立つIT化を-関東IT経営応援隊がイベントを開催


関東IT経営応援隊プロジェクトの事務局である特定非営利活動法人OCP総合研究所の桑山義明理事長

イベントの様子
 経済産業省が中小企業の戦略的情報化を促進する目的で立ち上げた「IT経営応援隊」の関東ブロック・関東IT経営応援隊は5月26日、「DAY2006 Spring」を開催した。

 IT経営応援隊の正式名称は、「中小企業の経営改革をITの活用で応援する委員会」で、専任担当者がいない中小企業のIT化を支援するために、経済産業省が立ち上げたプロジェクト。2004年6月から3年の期間限定で活動を行い、関東の他に、北海道、東北、中部、関西、中国、四国、九州地域ブロック連絡会、沖縄に地域で中小企業を支援する組織を設けている。

 今回開催されたDAY2006 Springは、中堅・中小企業の経営者およびIT担当者、ユーザー企業へのIT活用サポートを目指すITベンダーおよびコンサルタントを対象に開催された。

 第一部は、「ユーザー迫られている経営課題とユーザーが要望するベンダー像」と題して、関東IT経営応援隊のプロジェクト事務局を担当する特定非営利活動法人OCP総合研究所の桑山義明理事長が、「e-Japan戦略からIT新改革戦略への動き」と題して、企業を取り巻く環境の変化を紹介した。

 桑山理事長は、「e-Japan戦略によってIT化を妨げる社会的制約の排除という目標が掲げられ、ネットワークインフラの整備が進んだ。中小企業の企業活動においても、ネット化を避けて通ることができなくなった。従来のOA化はあくまでも社内の効率化が目的であったが、ネット化が前提となっているIT化では、スタッフのうっかりミスも社内だけにとどまらず、外部に広がってしまう。つまり、ネットの使い方の教育が不可欠になった」と企業環境が大きく変化したと説明。

 今年1月に策定されたIT新改革戦略の中で「IT経営の確立による企業の競争力強化」という目標が掲げられ、東京都をはじめとした自治体でも電子入札や電子調達などがスタートしていることから、ネットを使った取り引きが中小企業にも避けられないものとなっていると強調した。

 こうしたユーザー側の変化にともない、情報システムの構築を行う事業者側も、「従来のように、顧客の情報システム構築支援だけを担当すれば十分という時代は終わり、世の中や社会の変化にどう経営を合わせていくのかという視点で、顧客のサポートが必要になった」と強調した。

 続けて、「企業が直面する時代のキーワード30」として、ネット社会と企業経営、日本版SOX法、e文書法、共通XML・EDIプラットフォーム、電子カタログ、個人情報保護、情報セキュリティ、Windows Vistaなどをあげた。


 また、前回のイベントにユーザーの立場で参加し、講演などの内容を聞いて、実際に関東IT経営応援隊にシステム構築を発注した、三友鋼機の石坂左京取締役総務部長が、「ユーザーが要望する地域ベンダーの姿」と題して、講演を行った。

 石坂取締役は、「これまで20年にわたり社内のコンピュータ化を進めてきたが、基幹システムのベンダーは基幹システムに関する相談しか乗ってくれない。社内すべてのシステムについて相談に乗ってくれるところはまったくなかった」など、ユーザー側の思いが、きちんとベンダーに伝わらなかったことを強調。

 「ベンダーにとっては、『販売が終着点』かもしれないが、ユーザーにとっては『購入は出発点』」と、ユーザーの思いと、ベンダー側の思いにすれ違いが起こっている現状をアピールした。


 第2部として、戦略デザイン研究所の代表である水口健次氏の特別講演、「勝負はこれから~知恵の勝負が始まる 新マーケティング戦略」、第3部として流通業、サービス業、建設・設備業など産業別にグループディスカッション形式でキーワードの研究を実施した。

 関東IT経営応援隊では、秋にもイベントを実施。中堅・中小企業ユーザーのIT化の必要性をアピールしていく計画だ。



URL
  関東IT経営応援隊
  http://www.kan-ouentai.com/it/
  DAY2006 Spring
  http://npo-ocp.jp/day2006spring/


( 三浦 優子 )
2006/05/26 18:17

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