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日本HP、Adaptive Infrastructureに関する説明会を開催

24時間365日、完全自動化されたITインフラ実現へ

マーケティング統括本部インフラストラクチャ・ソリューション本部の染谷優本部長
 日本ヒューレット・パッカード株式会社(日本HP)は6月1日、変化適応型IT基盤「Adaptive Infrastructure(アダプティブ・インフラストラクチャ)」の実現に向けた同社の取り組みについてプレス向けの説明会を開催した。

 Adaptive Infrastructureは、エンタープライズ領域において同社が展開している「HP アダプティブ・エンタープライズ戦略」に不可欠となるITインフラ。同社では、「アダプティブ・エンタープライズ」について、“ビジネスとITが同期して変革を活用できる企業、組織体”と定義しており、これを支えるITインフラとしてAdaptive Infrastructureの実現を目指している。

 マーケティング統括本部インフラストラクチャ・ソリューション本部の染谷優本部長は、「当社が考えるITインフラの理想像がAdaptive Infrastructure。わかりやすく説明すると、24時間365日、完全自動化されたコンピューティング環境を実現するITインフラ」としている。

 今回の説明会では、Adaptive Infrastructureの構築事例として、HPがコンパックと合併した際の具体的な取り組みを紹介するとともに、Adaptive Infrastructure実現に向けた同社の戦略などを説明した。


 染谷本部長は、まずAdaptive Infrastructureが必要とされる市場背景について、「現在、日本の経済環境は発展成長経済から不連続成長経済に移っている。この経済環境下では、継続的な成長が見込めないため、企業は経営全般のスリム化、コスト削減が求められる。しかし、突発的な需要拡大に即座に対応できる準備もしておかなければならない。つまり、企業にとって“俊敏性”が非常に重要なキーワードになっている。この俊敏性を実現するために必要不可欠なのがAdaptive Infrastructureである」と述べた。

 そして、Adaptive Infrastructureの具体的な構築事例として、HPとコンパックとの合併の際に取り組んだ、「データセンターの統合」と「ITを共有サービスとして提供」の2点を挙げた。

 データセンターの統合については、合併から3年間で85以上のデータセンターを6つに統合している。その中でAdaptive Infrastructureへの取り組みとしては、物理レイアウトの最適化、電源・クーリングの最適化、オペレーションの自動化、リソースの仮想化、コンポーネントの標準化などを実施したという。

 「このなかでも大きな問題になったのが電力と冷却。それぞれのコストはデータセンターの全コストの2~3割を占めており、この部分をいかに効率的に最適化するかがポイントになった」(染谷本部長)としている。

 ITを共有サービスとして提供する取り組みでは、合併前はプロジェクトごとに最適化されていたIT資産を共有サービスにするため、統合化、最適化、仮想化、シンプル化、標準化、モジュラー化などを実施。ユーティリティサービスとしての提供を可能にした。

 「合併時において一番最初にITインフラの共有化に取り組んだのは人事システム。従来20個あったサーバーを8個に、データセンターも4カ所から1カ所に統合するとともに、より戦略的な人事システムの構築を目指した。システム統合は合併から10カ月で完了した」(染谷本部長)という。


データセンター統合の事例 ITを共有サービスとして提供する取り組み

アダプティブ・エンタープライズ・エクスペリエンス・センター
 同社では、こうした自社の事例で蓄積したノウハウをベースにAdaptive Infrastructureに求められる製品やサービスの研究・開発に取り組んでおり、その重点カテゴリとして、「ITサービス」「電源&冷却」「管理」「セキュリティ」「仮想化」「自動化」を挙げている。

 染谷本部長は、「今後、HPではAdaptive Infrastructureを戦略として強力に推進していく。そのために、HPの情報システム部が自身で実践した経験やノウハウを製品・サービス・ソリューションの開発部門に展開するとともに、ベストプラクティスとして顧客に提供していく」との方針を述べた。

 なお、同社では、実際にAdaptive Infrastructureを体験できる環境として、「アダプティブ・エンタープライズ・エクスペリエンス・センター」を用意している。同センターでは、「シンプル化、標準化、モジュール化、統合化された環境」をコンセプトに、サーバー、ストレージ、ネットワークが水平統合され、仮想化された統合環境を始め、一元化・自動化された運用・管理環境、セキュリティを確保したアクセス環境などを整備し、エンタープライズ顧客向けにデモンストレーションを行っている。



URL
  日本ヒューレット・パッカード株式会社
  http://www.hp.com/jp/


( 唐沢 正和 )
2006/06/01 16:50

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