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「セキュリティ対策を実施する文化の形成を」-マイクロソフト


Microsoftのセキュリティテクノロジユニット担当コーポレート副社長、ベン・ファティ氏
 マイクロソフト株式会社は6月1日、プレス向けのセキュリティ説明会を開催。その中で米Microsoftのセキュリティテクノロジユニット担当コーポレート副社長、ベン・ファティ氏が、近年のMicrosoftと日本法人のセキュリティに対する取り組みを解説した。

 ファティ氏がまず挙げたのは、ワーム作成者などの意識の変化。数年前に登場してきたワーム、例えば「SasserやSlammerなどのワームはほとんどが無差別なもので、ワーム作成者は有名になりたいという欲求からばらまいていた」という。しかし、今では金品が目的に変わってきており、ボットやrootkitのようなやっかいな技術も登場してきている。さらに、「携帯電話やPDAから感染してPCに入っていく攻撃も見つかっており、これも検知と駆除が難しい」とした。

 こうした流れに対してMicrosoftでは、「悪意あるソフトウェアの削除ツール」(MSRT)を提供。これは総計32億回実行され、1820万回マルウェアを駆除したとのことで、ボットやAntinnyなどの感染数を大幅に減じることができたという。「すべてのマルウェアを駆除するのはできないが、マルウェア、ボット感染の対策としては効果的だ」(ファティ氏)。またWindows XP SP2やWindows Server 2003 SP1などのセキュリティ強化型サービスパックの提供や、スパイウェア対策ツール「Windows Defender」の提供(現在はベータ)も行っている。

 一方、今後はどうリーダーシップを取っていくのかということについて、ファティ氏は「技術革新によって安全性を確保するとともに、コンピュータ業界のほかの企業や政府と協力して、インターネットの安全性を高めていくことが重要。消費者や各企業に対しての情報提供も行っている」と説明する。

 そのうち技術面では、Windows自体のセキュリティを向上させているとしたほか、米国で提供開始されたPC保護サービス「Windows Live OneCare」を紹介。あわせて、提供予定の企業内クライアント向けのウイルス/スパイウェア対策ソフト「Microsoft Client Protection」についても触れ、「ウイルス対策とシステム保護をまとめたもので、中央管理ができる」とコメントした。

 Windows Serverへの対策状況については、「Vistaで導入される向上はクライアントだけでなくサーバーまで適用可能だ」として、Longhorn Serverでも暗号化機能「BitLocker」は利用できると述べた。また提供中の企業向けウイルス/スパイウェア対策ソフト「Microsoft Antigen for Exchange」、ベータ提供中のスマートカードを扱う技術「Microsoft CLM(Certificate Lifecycle Manager)」などにも言及している。

 技術以外の面では、世界中のISPと行っているGlobal Infrastructure Alliance for Internet Safety(GIAIS)を例として挙げたほか、マイクロソフトのセキュリティ戦略グループ シニアプロダクトマネジャー、古川勝也氏が日本での活動を説明。日本語による脆弱性受付を設置したことや、JPCERT/CC・IPAとのパートナーシップ、またWindows XP SP2の郵便局での配布などを行ってきたと述べた。


賞状を手にするファティ氏
 マイクロソフトでは、「ツールや技術だけでなく、セキュリティの意識や対策の理解を促進し、理解するだけでなく、セキュリティ対策を実施する文化を形成する活動を継続」するとしており、これからもセキュリティに関する活動を推進していく意向だ。

 なおマイクロソフトは同日、特にMSRTによるAntinnyへの対応などを評価され、「平成18年度情報通信月間 総務大臣表彰」を受賞。その賞状のお披露目も行われている。



URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/jp/

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( 石井 一志 )
2006/06/01 20:25

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