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マイクロソフト・ヒューストン社長、「相互運用性の確保と生産性の向上に力を尽くす」

~Interop Tokyo 2006 基調講演

 幕張メッセで6月7日から開催されている「Interop Tokyo 2006」。6月8日には、マイクロソフト株式会社の代表執行役社長、ダレン・ヒューストン氏が「安心・安全なユビキタス社会の実現へ向けて」と題した基調講演を行った。


マイクロソフトの代表執行役社長、ダレン・ヒューストン氏
 ヒューストン氏はまず、「発展している国の大半では、さまざまなレイヤをまたがって異機種混合の環境を利用している」と切り出す。そして、「これはソリューションの選択があるということではいいことだが、一方では、製品の相互運用性という課題がある」とする。

 ここで日本企業を見た場合、同様の問題があるという。15~20年ほど前の経済成長がピークだった段階で、日本企業はITに大きな投資をしたが、これらのシステムは相互運用性がなかった。その後景気が停滞した際に、これらのシステムはそのまま保持されてきた。その後、ここ数年の景気が持ち直したため、新しい投資をするようになってきたものの、多くの企業は相互運用性という課題に直面している。

 「特に日本では、何らかの標準を用いてシステムを作る米国と違い、1から作るカスタムのシステムが多いため、それを避けて通ることができない」としたヒューストン氏は、Winnyとそれを媒介としたウイルス(Antinny)に触れ、「当社は35万以上のファイル共有ウイルスをPCから取り除いたが、日本企業と政府が最新のインフラを使っていればおこらなかったかも」とした。

 さらに東証のシステムが限界に達した問題を取りあげたヒューストン氏は、「ロンドンや米国の市場は簡単にインフラを追加したのに、東証がそれをできなかったのは、相互運用性の問題。最新のITを導入しなくてはならない」と主張する。「ロンドンやNASDAQはWindowsで動いている。このようにMicrosoft製品は基幹の中でも使われているのだ」(ヒューストン氏)とも述べている。


 では同社は、どういう解決策を持っているのか。ヒューストン氏は「当社の強みはユーザーのインターフェイス。インフォメーションワーカーと呼ばれる人たちの30センチメートルの部分だ」と主張。そのインターフェイスを備えたExcelやPowerPointなどを提供して企業を支援するとともに、相互運用性を確保しているとした。

 Microsoftでは、People Readyというキャンペーンを世界的に展開している。これは、社員の能力を適切に発揮できるようにソフトで支援していくというもの。そのために「企業の中で、相互運用性をどう担保していくのか、どう情報にアクセスするのかを、しかも機密性の高い形で考えなくてはいけない」と述べ、続けて「複雑性の解消とスピードの強化にポイントがある」と主張した。

 同社ではサーバー関連製品とPC関連製品の2つの製品ラインを柱としているが、たとえばサーバーでは「99.9999%の信頼性を実現しなくてはならない。そのためには複雑さを取り除き、1つのダッシュボードで全体を管理できるようにした」としたほか、「ユニファイドコミュニケーションサーバーもサーバーの一例で、将来的には、PCを見ている状況で、電話、IM、電話会議、プレゼンスなどをボタン1つでできるようにする」と述べている。

 基調講演中ではデモも行われた。ヒューストン氏も触れたダッシュボードも披露されたほか、Longhorn Server(コードネーム)のロールベースの管理機能や、Active Directoryを用いたポリシー配布機能、ボリュームごとの暗号化機能である「ビットロッカー」、コマンドラインの新しい管理インターフェイスなどを紹介し、これらの機能によって生産性の向上などを支援するとした。


新たな管理コンソール。さまざまな情報を一元的に参照・管理可能だ 1つ1つの機能がモジュール化されており、個々に詳細な管理を行える 開発中という、コマンドラインのインターフェイス

 最後にヒューストン氏は、Microsoftが標準化に力を尽くしている点に言及。相互運用性を協議する各国の組織、団体にすべて加盟していること、日本でも努力していることを説明し、例として無線LANを挙げる。また、「MicrosoftはWi-Fiに積極的に貢献したと自負しているし、相互運用性を日本市場でも開拓したい。異種混在環境を管理するためのものをこれから多くリリースするが、その中には日本のために開発したものがたくさんある」と述べた。

 「Plan-Jも大事な要素。日本への投資に全社あげて注力しており、大学、政府、企業に積極的に働きかけている。この壮大なエコシステムの一員になっていきたい。これからもパートナーシップを開拓し、相互運用性を達成していく。また、People Readyという視点は重要。インフォメーションワーカーの生産性向上にも力を注いでいく」(ヒューストン氏)。



URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/
  Interop Tokyo 2006
  http://www.interop.jp/


( 石井 一志 )
2006/06/08 18:29

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