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米IBMパルミサーノCEOが日本で講演、イノベーションの重要性を語る


米IBMのサミュエル・パルミサーノCEO
 日本アイ・ビー・エム株式会社は6月9日、「IBM Systems and Technology Innovation Forum」を開催し、そのなかで、来日した米IBMのサミュエル・パルミサーノCEOが、「Innovation That Matters~なぜ今イノベーションが重要なのか?」をテーマに講演を行った。

 冒頭、パルミサーノCEOは、小泉純一郎首相やブッシュ大統領が、自らの政策のなかに「イノベーション」を持ち込んでいることや、成功した企業の多くがイノベーションに取り組んでいることに触れながら、「多くのリーダーが、イノベーションこそが価値であると認識しはじめている」などと語った。

 IBMビジネスコンサルティングサービス(IBCS)では、全世界のCEOを対象にした意識調査を行っているが、その最新のデータを引き合いに出し、パルミサーノCEOは次のように語った。

 「CEOのうち、自分たちのビジネスモデルを変えなくてはならないと考えた人は83%に達している。しかし、そのうち、うまく変えられたと回答した人はわずか20%にとどまっている。また、コラボレーションには価値があると考えている人は76%もいるが、実際にコラボレーションを実現したのは51%。さらに、80%のCEOがイノベーションをカルチャーとして社内に植え付けたいとしているのに対して、実際にそれが定着している企業は50%。競合他社と差別化し、成長力を維持し、競争力を維持するには、CEO自らがもっとイノベーションを考え、実行していかなくてはならない」とした。

 また、中国やインドを訪問してきたことに触れながら、「インドや中国の成長によって、新興国のGDPは、1兆6000億ドルに達し、先進国よりも2000億ドル以上も上回っている。さらに、中国の就労者平均年齢は39歳、インドでは20代後半と言われる。インドのIBMの社員の平均年齢は24歳だ。これらの国からは、2100万人もの理学士、工学士、物理士が誕生しており、急速な勢いで力をつけ、変化が進んでいる。それに対して、日本は2010年には人口の30%以上が65歳を超え、イタリアでは2015年には就労人口と退職人口とが50%ずつとなる。先進国は、こうした新興国の変化を脅威ととらえるのではなく、インターネットなどのインフラによって、こうした力を生かすことができると考えるべきだ。コラボレーションというのも重要な手段だろう。エリアやビジネスの領域を守るという考え方には限界がある。例えば、米国の50の州が、守ることだけを考えているのであれば、それは決してうまくはいかない。脅威におびえて守るだけの考え方では、競争力がなくなり、生活水準も下がるだけ。これは政府、民間企業も同じこと。変化をとらえ、イノベーションのリーダーシップを取り、前進していくことを考えなければならない」とした。


人体心臓のレンダリングをリアルタイムで行う様子
 一方、会場には、Cell Broadband Engineによるブレードシステムが展示され、人体心臓のレンダリングをリアルタイムで行う様子をデモンストレーションしていた。Cell Broadband Engineを2個搭載したボードを3枚差し込んだ同システムでは、特殊な眼鏡を使うことで、モニターの画像を3次元リアルタイム表示し、わずか2枚のボードで、約400GFLOPSの性能を実現するという、その性能の高さを見せつけていた。

 さらに、参考展示として、IBM BladeCenterに搭載できるブレード型ストレージを展示。ブレードサーバー3台分のシャーシ内に最大24台のストレージが搭載可能で、1.7TBの容量を実現した。サーバーとストレージを同一シャーシ内に搭載することから、性能向上や運用管理の面でも大きな威力を発揮するものとして、来場者からも高い関心を集めていた。


Cell Broadband Engineを搭載したブレードシステム。左側から3枚のボードが差し込まれている 参考出展されたBladeCenterに統合できるストレージブレード スーパーコンピュータであるBlue Geneも展示していた


URL
  日本アイ・ビー・エム株式会社
  http://www.ibm.com/jp/


( 大河原 克行 )
2006/06/09 17:08

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