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日本オラクル、Oracle EBSなど既存ビジネスアプリケーションを継続提供へ


Oracle Applicationsの各製品について、今後も新版の提供を表明した

日本オラクルの執行役員 アプリケーションマーケティング本部長、藤本寛氏
 日本オラクル株式会社は6月14日、日本オラクルインフォメーションシステムズ株式会社(以下、OIS)との協業により、ビジネスアプリケーション製品群「Oracle Applications」の現行製品について、バージョンアップを継続していくと発表した。これまで同社では、個別に提供されている各ビジネスアプリケーションの製品ラインを統合し、次期アプリケーション「Oracle Fusion Applications」として提供すると説明してきたが、今回の発表によって、現行の製品ラインの新版をあわせて提供することが明らかにされた。

 米Oracleの買収戦略に伴い、同社のビジネスアプリケーションのポートフォリオはOracle E-Business Suite(EBS)、JD Edwards EnterpriseOne、PeopleSoft Enterpriseといった基幹系製品と、SiebelのCRM製品を擁するに至っている。日本オラクルと、旧PeopleSoftの日本法人であるOISではこれまで、各製品のサポートは継続するものの、個別製品の新版リリースは2006年までで終了し、これらの持つ最も良い機能、最も使われている機能を実装した新製品、Fusion Applicationを2008年までに開発すると表明していた。

 しかし今回は、「Applications Unlimited」という方針を発表し、個別製品も新規リリースを継続していく旨を発表している。対象製品は、EBS、JD Edwards EnterpriseOne、PeopleSoft Enterprise、Siebel CRM、同 CRM on Demand、同 Analytics、同 Integrations。これに加えて、2005年の説明会では新規リリースを終了するとされていたJD Edwards Worldも継続して製品が提供される。

 「既存製品の製品開発ポリシー、アーキテクチャを、Fusionというスーパーセット型の新しいアプリケーションが出てからも、提供し続けるということ。既存製品を継続的にバージョンアップし、製品そのものの機能拡張を約束するもので、これまでの不明瞭な点をしっかりと解消した」(日本オラクルの執行役員 アプリケーションマーケティング本部長、藤本寛氏)。

 また藤本氏は、「既存製品からFusion Applicationsに移行する場合も、アップグレードであって最初からの再構築ではない」ということ、つまり顧客側の負担は新規システム導入時と比べて低いことを説明。その上で、「今までのバージョンアップは(製品切り替えなど)ベンダ側の都合によるものだったが、今回の発表でバージョンアップ先が2つになり、顧客の都合に合わせて選べる体系になった。現行バージョンのサポートも保証されている」と語り、顧客の選択肢が広がったと説明した。


日本オラクル(右)とOIS(左)、共同チームの位置付け

米Oracleの日本アプリケーション・ビジネス担当シニア・バイスプレジデント、ディック・ウォルベン氏
 なお日本オラクルとOISは6月1日より、両社の製品群に関して相互に営業、販売、サポートを行うことが可能になったという。Oracleでは2005年10月に、日本国内でのアプリケーション事業全般の責任者としてディック・ウォルベン氏を日本アプリケーション・ビジネス担当シニア・バイスプレジデントに任命しており、両社の事業の統合を進めていた。

 今回の協業もそれを受けたもの。日本オラクルが東証一部の上場企業であるため、完全な統合には制約があり、1社への集約ではなく、両社共同での事業強化を図っている。ウォルベン氏は、両社横断的に「Shared Management Services Team」を設置し、マーケティング、プリセールス、パートナー向け活動などを行っていくとした。両社では、プリセールスの営業、支援エンジニアなどを100名から350名へ増員するなど、組織の拡充を順次行っている。

 「国内のエンタープライズの65%はすでにERPを導入済みというが、グローバルの調査では、ERPに投資をした企業の70%が、期待した成果を得られていないとしており、そこにエンタープライズ市場での当社のチャンスが潜んでいる。また、日本における中堅市場も期待できる」(ウォルベン氏)。




URL
  日本オラクル株式会社
  http://www.oracle.co.jp/
  日本オラクルインフォメーションシステムズ株式会社
  http://www.oracle-is.jp/

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( 石井 一志 )
2006/06/14 18:32

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