株式会社シマンテックは6月20日、企業における迷惑メール(スパム)の現状と対策に関する調査結果をプレス向けに説明した。この調査は、企業のIT管理者とエンドユーザーに対して、迷惑メールに対する認識などをそれぞれ問うたもの。Webによる記入式のアンケートで2006年に行われている。有効回答数は、管理者が572件、エンドユーザーが608件。
この調査結果によると、1日あたりの企業のメール受信数は平均7万7126件で、同じく1人あたりの平均メール受信数は91件。そのうち迷惑メールの比率は、ほとんど受信していないという回答がIT管理者で22.9%、エンドユーザーで31.4%あったものの、平均すると20%程度という。また別の設問でも、エンドユーザーの7割が日ごろ迷惑メールの受信を経験しているという結果が出ており、この数字は、不要なメーリングリスト、私用メール、ウイルスといった項目のそれを大きく上回っている状態だ。
またIT管理者に問うたメール運用上の課題でも、「迷惑メール増による従業員の生産低下」を挙げた回答者が33.4%にのぼり、社内からの情報漏えい、ウイルス感染の拡大に次ぐ3番目に高い数字となっている。
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ユーザー規模別の迷惑メール受信状況
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エンドユーザーの迷惑メール接触状況
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ここで、実際に迷惑メールへの対策状況を見ると、IT部門/担当者が一括して対処している企業は38.8%に過ぎず、IT部門が関与しない企業は47.5%にも及んでいるという。この状況を受けて、IT管理者に迷惑メール対策非導入理由を確認したところ、「迷惑メール受信件数が少ない(42%)」「特別な被害を受けていない(31.1%)」という回答が上位を占めたほか、「ユーザーから要望を受けていない(16%)」という回答も多かった。
しかしながらエンドユーザー側では、受信するたびに手動で削除しているユーザーが57.7%と全体の6割にのぼり、平均すると4.4分/日、迷惑メールの受信比率が30%を超える企業では平均11.2分/日の時間を費やしている。また仕事のメールが探しにくくなる、文面・内容を見て嫌な気分になる、業務中断で集中力や生産性が低下する、などという悪影響も出てしまうため、生産性の低下につながっているという。
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IT管理者が迷惑メール対策製品を導入しない理由
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エンドユーザーが迷惑メール処理に費やす時間。迷惑メール比率が高いほど多くなる傾向があるという
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SMB&エンタープライズマーケティング部 セグメントマーケティングマネージャ、田上利博氏
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こうしたことを受けてか、実際に、IT管理者に対策を要請している、もしくは要請したいとしているユーザーは50%と半数にのぼっている状況だ。シマンテックのSMB&エンタープライズマーケティング部 セグメントマーケティングマネージャ、田上利博氏は、この状況をかんがみて「IT管理者は受信件数が少ない、影響を受けていないという認識で、またユーザーからの要望もないというが、ここに企業内個人との認識のギャップがある」と語る。
また、「迷惑メールの比率が高くなればなるほど、生産性のさらなる低下につながっており、会社の経営者にとってもこれは痛手になるのではないか。生産性低下を招くおそれがあるので、IT管理者よりも経営層が、対策を考えていかねばならない」と述べた。
なお、IT管理者が求める迷惑メール対策ツールの要件としては、「ゲートウェイで削除できること(53.1%)」、「検出が正確で誤認が少ないこと(47.9%)」、などが上位に挙げられている。また、「管理を一元化する統合コンソール(27.1%)」といった管理に関する要求も高く、田上氏は「誤認が多いと管理者の負担になる。管理工数を減らしたいということ」と説明した。
シマンテックでは、迷惑メール対策アプライアンス「Symantec Mail Security 8160」や内部メール保護ソリューション「Symantec Mail Security for Microsoft Exchange」「同 for Domino」、ウイルス対策製品など、多数のセキュリティ製品をスイートとして提供している。同社では今回の調査結果を受け、生産性向上などを訴えて、迷惑メール対策製品の拡販を進めたい意向である。
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エンドユーザーからIT部門への迷惑メール対策要請状況
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対策ツール選択時に重視すること
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■ URL
株式会社シマンテック
http://www.symantec.co.jp/
( 石井 一志 )
2006/06/20 17:18
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