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デル、メリット社長が日本での事業方針を発表

顧客、社員にフォーカスし、ナンバーワンを目指す

代表取締役社長のジム・メリット氏
 デル株式会社の代表取締役社長のジム・メリット氏は、6月20日、日本における事業方針などについて記者会見を行った。

 前任の浜田宏氏の社長退任に伴い、今年4月に日本法人の社長に就任した同氏が、会見の形で方針説明を行うのは初めてのこと。メリット社長は、「お客様に信頼されるソリューションプロバイダを目指し、お客様に選ばれる会社を目指す。また、社員が働きやすい、あるいは働きたいと思う会社を目指したい。これに取り組んでいけば、マーケットにおいてナンバーワンになれるだろう」などとした。

 説明のなかで、日本におけるビジネスの概況に触れたメリット社長は、第1四半期(1~3月)は、市場に比べて5倍の成長率となる前年同期比24%増を達成したこと、さらに、すべてのビシネスにおいて前年実績を上回ったことを示し、「サービス分野ではとくに高い伸びを記録。デル・プロフェッショナル・サービス(DPS)では、前年同期比100%増を達成した。また、デルとして過去最大規模となる5万6000台のクライアントPCを防衛庁に納入する案件を獲得した」と、その好調ぶりを強調してみせた。

 また、同社の日本市場における出荷台数シェアは、12.3%と第3位であることを示しながら、「業界に比べて高い伸びであるのと同時に、このポジションは、デルの製品、サービスが日本のユーザーに受け入れられている証し」とした。


日本市場での出荷台数シェアの推移 第1四半期の出荷台数 国内出荷台数シェア推移

成長への取り組み
 今後の具体的な日本での取り組みとして、1)お客様の満足経験の向上、2)エンタープライズ/サービス事業の拡大、3)ハイエンド・コンシューマ市場の開拓の3点をあげた。

 「お客様の満足経験の向上」では、体制強化のための継続的な投資を掲げ、2007年度末までに、400人強の営業・サポート要員を新たに採用することを明らかにし、これに伴い、昨年11月に稼働させた宮崎カスタマーセンターの陣容を、現在の300人体制から年内には500人体制に拡充。DPSの担当者も現在の100人体制から200人体制へと倍増させる考えを示した。さらに、本社がある川崎のカスタマーセンターも100人規模の増員を図る。

 メリット社長は、「新規採用の強化だけでなく、同時に既存の営業・サポートチームに対するトレーニングを強化していくことも大切であり、その部分にも力を注いでいく」とした。


第1四半期のフォームファクター別サーバー出荷台数シェア
 「エンタープライズ/サービス事業の拡大」としては、先ごろ発表したDELL|EMCブランドのストレージ新製品や、本日付けで発表した第9世代サーバー製品といった最新技術を搭載した製品群のラインアップに加えて、DPSのメニューや体制の拡充、営業体制の強化を図ることで、ERPやコンソリデーション、セキュリティといったエンタープライズ分野におけるキーカテゴリーでの展開を強化していく考えだ。

 「EMCやオラクル、マイクロソフトといったテクノロジーパートナーとの強力なパートナーシップも、エンタープライズ事業の拡大には重要な意味がある」とメリット社長は語る。

 さらに、「ハイエンド・コンシューマ市場の開拓」においては、XPSシリーズの本格展開を掲げ、「高級感、高品質、卓越した製品性能を実現するXPSシリーズによって、市場を開拓していく。既存のDimensionやInspironとは異なる差別化したブランドとして、国内市場への定着を図っていく」としている。

 まとめとして、メリット社長は、「第1四半期において、デルは順調な成長を遂げているが、新しい製品の投入とともに、カスタマーにフォーカスした手を打つことで、さらなる成長へとつなげていきたい」と、今後の方向性を示した。


 一方、メリット社長は、米国をはじめとするデルの好調ぶりにも言及した。

 デルの第1四半期となる1~3月の売上高は前年同期比6%増の142億ドルを達成。米国外での売上高は前年同期比12%増、総売上高の44%を占めたという。米国外での売上げ比率は過去最高となった。

 「第1四半期は、米国外の市場の伸びと、サーバーやスレトージといったエンタープライズ事業が、全社の成長を牽引した。また、全世界で1000万台以上の製品を出荷しており、台数ベースでは業界平均の2倍の伸び。とくに日本では3倍の伸びとなった」と語った。

 同社では、エンタープライズ、ソフトウェア/周辺機器、サービス、モバイル製品の4分野を戦略事業分野としているが、それぞれ2けた増の高い伸びを示したという。

 「デルの成功は、ダイレクトモデルである『デルモデル』が世界各国で認められた点にある。これからもデルモデルを推進していくのは明白であり、中国、インドといった新たな市場でもこのモデルが受け入れられている。一部ではシステムインテグレータとパートナーシップを組んでビジネスをすることもあるが、顧客の多くは、デルのダイレクトモデルによる製品/サービス提供を求めている」と、デルモデルの優位性を改めて強調した。

 また、「コスト構造と生産性の改善には今後も継続的に取り組んでいく」とする一方、「コスト削減は、部品調達や組織の仕組みなどについて行うものであり、セールスやサポートといった顧客に対するコスト削減は行わず、投資を進めていく。それは日本でも同じ」と語った。


グローバルでの出荷数 グローバルでの売上高成長 デルモデルの推進


URL
  デル株式会社
  http://www.dell.com/jp/


( 大河原 克行 )
2006/06/20 19:27

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